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2007年7月 1日 (日)

風林火山・孫子の兵法11・地形篇

 

今日は、『風林火山・孫子の兵法』の11回目、『地形篇』をご紹介させていただきます。

・‥…━━━☆

地形篇は、その題名の通り、最初は地形について語られますが、「こんな地形では、こう戦え」などと、そのまま読んでみても、現代の私たちには、あまりピンときません。

地形を、そのまま地形と見るのではなく、「このような状況では・・・」あるいは、「このような場合には・・・」という風に介錯してみると理解しやすいかも知れません。

孫子では、大きく別けて6種類の地形があるとしています。
『孫子曰く、地形には、
 なる者有り、
 なる者有り、
 なる者有り、
 なる者有り、
 なる者有り、
 なる者有り。』

・通(つう)・・・敵からも味方からも、行き来しやすい地形。
   ここでは、敵より先に着いて高地に布陣し、補給路を
   確保して戦えば有利。
(かい)・・・進攻しやすいが、撤退し難い地形。
   ここでは、敵の守りが薄ければ有利、守りが強固であ
   れば不利。
(し)・・・敵にも味方にも不利な地形。
   ここでは、敵が誘いをかけて来てもそれには乗らず、
   逆に敵を誘い出してから攻撃を仕掛ける。
(あい)・・・くびれた地形。
   ここでは、先に入り口を固めてから敵を待つ。
   もし、敵が先に来て、すでに入り口を固めていたらす
   みやかに撤退、まだ入り口を固めていなかったら攻
   撃する。
(けん)・・・けわしい地形。
   ここでは、敵より先に到着し高地に布陣して敵を待つ。
   もし、先に敵が到着していたなら撤退する。
(えん)・・・地元から遠いアウェイな場所。
   ここでは、相手の勢力が均等であれば、不利なので
   戦わない。

そして、もう一つ。
負け戦になる六つの状況というのもあるとしています。
『故に兵には、
 なる者有り、
 なる者あり、
 なる者あり、
 なる者有り、
 なる者あり、
 なる者あり。
 およそこの六者は、天の災
(わざわい)にあらず、
 将の過ちなり。』

  • (そう)・・・10倍の勢力の敵と戦わなければならなくなった時。
  • (し)・・・兵が強いのに、軍の幹部が弱い時。
  • (かん)・・・軍の幹部が強いのに兵が弱い時。
  • (ほう)・・・トップが幹部の能力を知らず、幹部はトップの命令に従わず勝手に攻撃したりする時。
  • (らん)・・・甘やかしてばかりの将軍で規則も徹底せず、よって兵を統率できない時。
  • (ほく)・・・トップが敵の情報を知らず、こちらが劣勢なのに優勢な敵と戦えと命令し、向かう先を見失っている時。

・・・で、これらは、全部、たまたまの偶然ではなく、君主や将軍が自ら引き起こしている状況だと言うのです。

今まさに、湊川の戦いに挑む楠木正成(5月25日参照>>)・・・大坂夏の陣に挑む真田幸村(5月6日参照>>)思い出しました。

その時、正成は、「天皇は、この正成に討死せよとのお考えである」と、死を覚悟して出陣し、幸村は独断で討って出るも、奮戦中にやはり退却命令が出て、しかたなく大坂城に戻っています。

結局この両方ともが負け戦となったのは、ご存知の通りです。

・・・で、孫子は言います。
『戦道必ず勝たば、主は戦うなかれと曰(い)うとも必ず戦いて可なり』
「勝てる見通しがあるなら、君主が反対しても戦うべきである」と・・・。

もちろん逆も・・・勝てる見込みがないのであれば、君主が戦えと命令しても戦うべきではないのです。

『地形は兵の助けなり』
先ほどの六つの地形、六つの状況は、勝利への助けとなる物です。
地形を知り、状況を判断し、君主に反対してでもやる時はヤル!

その結果、功績を挙げても名誉を求めず、失敗しても責任から逃れようとしない・・・
『・・・ただ人をこれ保ちて而して利、主に合うは、国の宝なり』
「ただ、人々の安全を願い、君主の利益のために働く、これこそ国の宝である」

まるで、金曜日の夜の「ザ・ガードマン」のような言い回し・・・(宇津井健=キャップ=ある年齢以上ならわかる)

たしかに、「功績を挙げても名誉を求めず、失敗しても責任から逃れようとしない」ような上司なら、下の人間も「ついて行きます!」と言いたくなりますわな。

・・・で、この地形篇の後半には、このつながりで、将軍から兵の・・・つまり部下の扱い方が書かれています。

『卒を視(み)ること嬰児(えいじ)の如し・・・卒を視ること愛子の如し・・・』
「赤ちゃんのように・・・わが子のように・・・」
そうやってこそ、兵士は、将軍と生死をともにしようと思うようになるのです。

かと言って、可愛がってばかりで命令せず、規則に違反しても罰則をあたえないようであれば、わがまま息子(娘)に育ってしまい、用をなさないようになると、ちゃんと釘を刺しています。

上杉鷹山が、下級武士たちとともに畑を耕した話(3月12日参照>>)を思い出しますね~。
まさに理想の上司です。

味方の兵士の事を知り尽くしていても、敵の強さを知らなければ勝敗は五分と五分。
敵の強さを知っていても、味方の兵士の事を知らなければ、やはり勝敗は五分と五分。
さらに、敵の事も味方の事も充分知り尽くしていても、先ほどの地形の事を把握して、地の利を生かす事ができなければ、やっぱり勝敗は五分と五分。

ですから、敵・味方・地形を知っていれば、
『動いて迷わず、挙げて窮せず』
「事を起こしてから迷う事は無いし、挙兵してから窮地に立たされる事もない」
のだそうです。

そして、最後に地形篇のまとめとも言うべき金言で、この章は締めくくられます。

『彼を知り、己を知れば、勝、乃(すなわ)ち殆(あや)うからず。天を知りて地を知れば、勝、乃ち窮(きわ)まらず』
「敵と味方を把握し、時を待って地の利を活かせば、必ず勝つ」

以上、今日は『地形篇』をご紹介しました。

Sonsi11sansuicc 今日のイラストは、
中国のイメージで『山水画』風な絵を書いてみました~。

いつか行ってみたいな・・・

・・・・・・・・・・・・

★続編はコチラ→『風林火山・孫子の兵法12九地篇』>>

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