上杉景勝・上洛!…の前の一大事
いや~、今回の「天地人」は、放送日がピッタリでしたね。
上杉景勝の上洛は、天正十四年(1586年)6月14日の事・・・実際には、旧暦なので、梅雨というよりは夏真っ盛りの季節だったでしょうが、とにかく、都の皆様は、皆やさしくてよかったですね~。
以前、今回の「天地人」は、ツンデレばかりがご登場で・・・と書かせていただきましたが(ツンデレの意味も含めて5月25日参照>>)、今回ばかりは、皆さん、初対面からデレデレ。
途中に立ち寄った金沢のガードマン利家さんも、豊臣秀吉の奥さんの緋牡丹おねさんも・・・まるで、息子を諭すように親切に教えてくださり、あの福島天気予報士のウザイもてなしだって、悪意があってやってるわけではなく、都になじませてやろうという親切心からきているのですから・・・戦国の腹の探り合いとは無縁のやさしさです。
果ては、利休の娘まで、ほぼ、初対面で愛の告白・・・
それにしても、なんで、皆、あの兜の前たての「愛」の文字の意味を聞きたがるんだろう?
このブログでも、あの「愛」の文字は、愛染明王の「愛」か愛宕権現の「愛」・・・個人的には、おそらく、愛宕神社の「愛」だと思うという事と、戦国時代には、現在の私たちが「愛」という言葉を聞いて思い描くような意味で「愛」という文字は使われてはいなかったであろうという事を書かせていただきました(3月23日参照>>)。
しかし、そこを、あえて、現代の私たちが「愛」という言葉を聞いて、即、思い描くようなそのまま意味でドラマの中で使用して、愛溢れる武将として描きたいという事なのでしょうとも書かせていただきましたが、どうやら、違うみたいですね。
だって、今現在、私たちの回りで、胸に「LOVE」という文字が書かれたTシャツを着ている人に、「なんでLOVEて書いてるの?」「LOVEってどういう意味?」と聞く人はいませんよね。
それは、皆が「LOVE=愛」という事を知っていて、その「愛」という言葉が表す意味も知っているからなのですが、会う人会う人が、「なんで?」と聞くという事は、ドラマの中でその意味を知っているのは、兼続と奥さんだけって事?
おかげで、デ~ンと「愛」という文字を掲げている事が、とってもカッコ悪い事のようになってませんでしたか?・・・いったいどう描きたいのか?とても不可解です。
とは言え、京都でのとまどいぶりは良かったですね。
やはり、あの時代、越後から初めて都に行くとなると、現在の海外旅行の比じゃないくらいの一大事だったと思います。
ましてや、冒頭に書いた通り、真夏の京都・・・ジリジリと太陽が照りつける中、オッサン連中への挨拶まわりとなれば、耳鳴りもすりゃ頭痛もして、倒れるのもムリはありません・・・そのワリには兼続はメチャメチャ元気なご様子だったので、何となく、倒れた景勝が我がママ適応障害ようになってしまってましたが・・・。
ところで、景勝も初の上洛で大冒険だったでしょうが、大河ドラマもイロイロと冒険してくれてますね~。
本能寺の変の時に、「サブリミナルでは?」と疑われたために、さすがに今回は少しゆっくりめではあったものの、まるで外国ドラマのようなカット割りとBGM・・・
さらに、ワイヤーアクションで福島天気予報士が飛んだ時は、「めちゃイケの色とり忍者」よろしく、庭一面に粉があるのでは?と思ってしまいましたが、さすがにそれはなかったです~(当たり前だ!(*´v`*))
まぁ、ドラマなので、こんなお笑い色の強いのんびりした回があっても、それはそれでよいのですが、やはり、歴史として押えておきたい事が・・・。
それは、先日の落水での秀吉との対面から真田幸村の人質うんぬんと、今回の上洛との間の起こった出来事・・・。
ドラマでは、その間、兜の「愛」の文字の決定と、オヤジがやたら若い後妻を連れて訪問し、その嫁が、「ひとりでは寝られないのぅ」と、久々の親子水入らずの夜をジャマするという鬼のようなママ母ぶりを披露しただけで終ってしまいましたが、歴史上では、上条政繁の出奔という一大事が巻き起こっています。
この上条政繁(まさしげ)という人は、畠山氏の出身で、上杉謙信の養子となっていた人・・・つまり、景勝、景虎と同じく、謙信の後継者だったわけですが、謙信が亡くなった時には、すでに上杉の一門である上条家を継いでいたので、あの御館(おたて)の乱(3月17日参照>>)では、景勝についた人なのです。
・・・というより、実は、ドラマでは兼続がやった事になってた春日山城の占拠・・・謙信が亡くなる前に、いち早く占拠したのは、実際には、この政繁さんなのです(3月13日参照>>)。
上記の5月25日「ツンデレ満載」のページで、「天地人」には、新発田重家(しばたしげいえ)さんは出て来ないかも・・・と書かせていただきましたが、この重家さんは、あの武田勝頼を寝返らせるために大金を手土産に交渉に行ったとされている人なのです。
つまり、史実としての御館の乱では、ほとんど史料に登場しない兼続の見せ場として、ドラマでは、あの春日山城の占拠と、武田との交渉という重要事項を兼続がした事にしてしまっているので、重家を登場させる事ができない状況なのだと・・・
(注:ドラマでは主人公に見せ場を与えるのは当然ですので、ドラマを批判しているのではありません)
なので、この政繁さんも・・・・
ただ、まったく登場しない重家さんとは違い、この政繁さんは、すでにチョコッとだけドラマに登場してましたが、どこかに救援に向かったきり戻ってきてない状態ですので、この後どのような扱いになるのやら・・・
とにかく、史実とされているのは・・・
今回の上洛で秀吉の傘下となる上杉は、救援を求めてきた真田がそうであったように、景勝の上洛にさきがけて、秀吉へ人質を差し出すわけですが、子供がいなかった景勝は、この政繁さんの孫(養子の子)を養子に迎えて、その子を人質として差し出しています。
景勝と同じように謙信公の養子という立場にあった人ですから、血縁関係はなくとも、彼の孫を人質に・・・というのは当然、しかも、先に書いたように、御館の乱の時は、いち早く春日山城を占拠して、その後も一門の重臣として大活躍していた人なのですから・・・。
・・・で、そんな政繁なら、さぞかし景勝も大事に・・・と思いきや、これが、ご存知、兼続が大出世して、結果的に、彼をも追い越す力を持ってしまった事で、政繁は、上杉を出奔し、秀吉のもとへと走ったわけです。
これが、景勝が上洛するより前の事だとされているので、おそらく、ドラマでは描かれないのではないかと、本日は書かせていただきました。
★それにしても、木村佳乃がミョーにカワユかったのはなぜだろう??「流転の王妃」の時は常盤ちゃんのほうがキレイだったのに・・・
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コメント
やっぱり、トレンディドラマになって来てますね~。冷徹無情のタカピー君では、人気が出なくなるのは必定ですから、脚本する人も解っていて、ウケを狙うんでしょうね~。ウケを狙うって、脚本家は関西人(大阪の出身)なら、面白いでしょうね~
投稿: 山は緑 | 2009年6月15日 (月) 20時55分
ども!おひさしぶりでございます。「天地人」はもはや録画だけしている御堂です。
上条政繁の件、なかなか鋭いトコをついておられますね。
たぶん、その答えは来週の秀吉の兼続への扱い・対処と同じですよ(他に、徳川方の石川数正とかもそうかな?)
何せ、秀吉は人たらしなもんですから!
投稿: 御堂 | 2009年6月16日 (火) 01時45分
山は緑さん、コメントありがとうございます。
少しの間だけ、確認後に公開する設定に切り替えましたので、ご迷惑をおかけします~
先日のサブリミナルと言い、今回のカット割りやワイヤーアクションと言い、なんだか、これからの方向を模索してるような、実験してるようなドラマですよね。
ただ、極力わかりやすくしたいというスタッフの気持ちはよくわかりますが、敵になる人と味方になる人の描き方が極端ですよね~
3代目格さんの北条氏康は、家康の渡したわけのワカラン薬を、その場で飲んじゃうくらいオマヌケに描かれていて、なんだかお気の毒です。
投稿: 茶々 | 2009年6月16日 (火) 02時03分
御堂さん、こんばんは~
>その答えは来週の・・・
おぁ・・・それは楽しみです~
あのまま、登場しない政繁さんが気になっていたのですが・・・ヒント的なものを見逃さないよう録画して見ときます
ワクワク
投稿: 茶々 | 2009年6月16日 (火) 02時15分