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2012年3月 5日 (月)

後白河天皇と今様~大河ドラマ・平清盛、第9回「ふたりのはみだし者」を見て

 

昨日、3月4日放送の大河ドラマ「平清盛」は、第9回「ふたりのはみだし者」という事で、松田翔太くん演じる雅仁(まさひと)親王=後の後白河天皇(法皇)登場の回でしたね。

どこかの芸能ニュースに「ラスボス登場!」と書かれてましたが、まさに平家にとっても源氏にとってもラスボスのような存在・・・敵なのか?味方なのか?はたまた、どーしたいのか?

この先、その動向に目が離せない重要人物となるわけですが、その登場が、あまりにもインパクトあり過ぎて、昨日は、なにやら、主役の清盛さんがおとなしく見えた感じでしたね。

題名は「ふたりのはみだし者」でしたが、もはや、清盛ははみ出して無いような・・・いや、ひょっとして、雅仁親王とともにはみ出してるのは、祝いの席で空気の読めない歌を披露したあげく、妻子ある身で鳥羽院の嫁=待賢門院璋子(たいけんもんいんたまこ)に手を出す佐藤義清(のりきよ=後の西行)(10月15日参照>>)のほうで、はみ出してる二人とは、この二人の事なのか?

とにもかくにも、役者さんが皆さん頑張っておられるので、その個性がビンビンに感じられ、何やら、王家のドロドロでお腹いっぱいになりそうな回でしたが、子供の成長ぶり(冒頭で生まれた清盛の子が後半にサイコロ振ってた)でもお解りのように、実際には、ある程度の年月の出来事を、ドラマでは45分で集約せねばならないのですから、そこンところは致し方ないところで、何でもかんでもすっ飛ばされたアレよりは良いのでは?と、個人的には満足して見ております。

ちなみに、昨日のドラマの段階では、雅仁(まさひと)親王=後の後白河天皇(法皇)は12~13歳くらい、清盛が9歳年上なので、21~2歳くらいでしょうか・・・

その年齢を思えば、あのはみだし皇子ぶりも納得・・・一番はみだしたいお年頃ですからね~大人になってもはみ出してた平成のティッシュ王子よりは、賭け事での負けっぷりも初々しいです。
(双六については11月14日【ギャンブルの歴史】でどうぞ>>

てな事で、ドラマの感想はこのへんにしておいて、本日は、放送の最後で、そのはみだし皇子が、かたつむり相手に歌っていた今様(いまよう)という物について・・・

・‥…━━━☆

Gosirakawahouou600 そもそも、雅仁親王という人は、本来なら天皇の座につく事は無かったお方・・・

以前、その即位のページでも書かせていただきましたが(10月26日参照>>)、第74代鳥羽天皇の次は、その息子の崇徳(すどく)天皇で、その次は、鳥羽天皇と藤原得子(なりこ)との間に生まれた体仁(なりひと)親王(昨日の放送で松雪泰子さんが生んだ赤ちゃんです)が第76代近衛(このえ)天皇となったので・・・

その時点で、すでに天皇候補としては、すっ飛ばされていたわけですが、その近衛天皇が17歳の若さで亡くなってしまったため、その椅子が雅仁親王のところに回って来た・・・

とは言え、その時点でも、
「即位の器量にあらず」
「文にも武にもあらず、能もなく芸もなし」

散々な人物評を書き残されるくらいの、仰せの通りの「はみだし皇子」だったのです。

まぁ、皇位継承の列から外された人としては、もはや、破天荒な生き方をするしか無かったのかも知れませんが、そんな雅仁親王の1番の趣味が今様でした。

今様については、このブログでも何度か出て来ていますので(3月1日後半部分参照>>)、すでに皆様ご存じかも知れませんが、その言葉の意味としては「当世風」という意味で、もともとは、「今ハヤリの歌」という事で、今様歌と呼ばれていた平安後期に流行った歌の事を指します。

和歌の「五七五七七」のような決まった形はありませんが、文芸というよりは歌うための歌で、七五調や八五調の語呂の良い物が一般的で、日本の歌の原点とも言える物・・・

今でも、小学校唱歌や演歌には、七五調や八五調の物が多くありますよね?

・・・で、若い頃から、この今様にハマって3度も声を潰したという雅仁親王は、その後、後白河法皇となって君臨した後も今様を愛し、その集大成と言える『梁塵秘抄(りょうじんひしょう)を残します。

この書物は、今様の歌詞&楽譜集=10巻と、歌唱法などを記した口伝(くでん)集=10巻から成る、まさしく集大成だったわけですが、残念ながら、現在は、第1巻の一部と第2巻と口伝集の第10巻が残るのみ・・

しかし、それでも、そこには540余りの今様が収められているというのですから、後白河法皇の収集マニア度はネ申の領域!!

『梁塵秘抄』「梁塵」とは、
「ひとたび歌を歌うと、その声の響きによって、家の梁(はり)に積もった塵(ちり)が震えるほどの歌の名手がいた」という中国故事からとったもの・・・つまり「塵も落とすほどウマイ歌唱法の秘伝書」という意味ですね。

現存する口伝集には、
「若い時から積み上げて来た今様という一芸ではあるけれど、後の世に伝えるべく弟子がいないので、せめて書物に残して伝えたいと思った」
と、後白河法皇が、この『梁塵秘抄』を残すに至った経緯が書かれていますが、今となっては、よくぞ残してくれたという感じですね。

なんせ、流行歌という物は得てして一過性の物・・・今でこそ、ビデオ&DVDという映像の記録やレコードやCDなどの音声記録が残せますから、懐メロとしても楽しめますが、それこそ、そんな記録媒体も無い時代なら、もはや歴史の彼方に消え去ってたかも知れませんからね~

だって、何と言っても、我が国の民衆歌謡の原型なんですから・・・もちろん、流行した当時にどのように歌われていたかは、まだまだ解明の余地があるわけですが・・・

では、最後に、後白河コレクション=『梁塵秘抄』から代表的な1曲を・・・

♪仏は常に 在(い)ませども
 現
(うつつ)ならぬぞ あはれなる
 人の音せぬ 暁に
 ほのかに夢に 見えたまふ  ♪
「仏様はいつも、自分に身近いらっしゃるのに、それをありありと見る事のできひん人間って哀れやな~
けど、未だ人が目覚める前の夜明けに、ほのかな灯りに包まれた仏様の姿を夢に見る事ってあるよね」

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コメント

『梁塵秘抄』というタイトルは古文の教科書の文学年表に載ってました。後白河さんの残したものだったんですね。
今様に精通してこういう作品集も残せるのに、「文にも武にもあらず」はともかく、「能もなく芸もなし」ですか…。そんなこというたら現代人なんて大半がそうやがな!

現代では進学校や有名大学に在籍していて、部活のレギュラーやパートリーダーやってれば、「文武両道」とか「たしなみ豊か」と言われる時代ですが、昔の文武両道や豊かなたしなみはスケールが違いますね(汗)

20世紀前半、クラシックの声楽家は流行歌の歌手を一段下に見ていたという話を聞いたことがありますが、この時代もそうだったんでしょうか。「親王ともあろう方が、そんなの歌っちゃいけません!」みたいな。

投稿: おぺりん | 2012年3月 5日 (月) 19時25分

後白河院が打倒平家となるまで、どう描かれるか楽しみです。能「大原御幸」は真実だったのかと思ってしまいます。

投稿: やぶひび | 2012年3月 5日 (月) 22時49分

おぺりんさん、こんばんは~

>20世紀前半、クラシックの声楽家は流行歌の歌手を一段下に見ていたという話

それ、あると思います。
芸事&芸術の世界って、ハヤリ物や新参者を下に見る傾向が昔からありますからね~

襖絵を描く絵師から見れば、ハヤリの浮世絵は下だったでしょうし、現在でも落語は古典をやらないと…なんて話を聞きますもんね。

一過性のハヤリ物の中にも、100年経って芸術と称される物が混ざっているわけですが、それを現在進行形で見分けるのは難しいですから、

この時代の今様は、そんな感じだったのかも知れませんね。

投稿: 茶々 | 2012年3月 5日 (月) 22時52分

やぶひびさん、こんばんは~

清盛との蜜月の時を経て…その変貌が楽しみですね。

投稿: 茶々 | 2012年3月 5日 (月) 22時53分

茶々さま、今晩は〜

今様の文句いいですよね。意外に 深いです。

)20世紀前半のクラシック音楽

どころか、21世紀の今日でも、由緒正しい音楽教育を受けたクラシックの演奏家は原則、ポップスを演奏しません。N響が五木ひろしを伴奏した時、女性ヴァイオリニストが「ついに一線を越えてしまった」と面白おかしく文章に書いていて、笑えますが。

茶々さま仰せの通り、新しい物は玉石混淆という理由の他、文化は階級的なものゆえに。とくに欧州においては 劇場も、アーティストも画然と分かれています。むしろ、異様に均質な、日本の方が例外的。

投稿: レッドバロン | 2012年3月 5日 (月) 23時23分

レッドバロンさん、こんばんは~

そうですね。
日本のほうが例外的かもしれませんね。

現在のアニメやドラマの中にも、年数が経って評価される物もあるんでしょうね~

投稿: 茶々 | 2012年3月 6日 (火) 01時58分

後白河天皇は十歳の頃から今様を好んでうたわない日は無く、連続千日以上うたい続けたこともあると晩年回想しているそうですね。

例え新参者の今様でも、のどを3度もつぶすほど熱中できるってかっこいいです。
21世紀だったら、カラオケに熱中する感じですかねkaraoke

投稿: ティッキー | 2012年3月 8日 (木) 16時11分

ティッキーさん、こんばんは~

声を潰すほどですから熱唱するタイプなんでしょうね。

カラオケだと、さしずめ「愛のメモリー」か「マイ・ウェイ」みたいな感じでしょうか?

投稿: 茶々 | 2012年3月 8日 (木) 22時18分

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