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2013年2月26日 (火)

「二・二六事件」で暗殺された高橋是清

 

昭和十一年(1936年)2月26日、世に『二・二六事件』と言われる皇道派の青年将校たちによる反乱事件高橋是清が暗殺されました。

・・・・・・・・・・・

『二・二六事件』の詳細については、5年も前の記事で恐縮ですが【2008年2月26日のページ】>>でご覧いただくとして、本日は、それで命を落とした大蔵大臣高橋是清(これきよ)について・・・

ちなみに、そのページでも書かせていただいたように、首相の岡田啓介(おかだけいすけ)は何とか難を逃れています。

Takahasikotekiyo600 高橋是清は、この岡田内閣で、実に7回目の大蔵大臣に就任していた人物で、特に昭和四年(1929年)から始まった世界恐慌では、混乱する日本経済をいち早くデフレから脱却させる事に成功・・・
 .

この、
「恐慌の影響を受けた世界の中で、日本が最も早く復活した」事は大変評価が高く、今現在でも、「平成の高橋是清」の出現を熱望する声も少なくありません。

とにかく、悪い評判をあまり聞かない是清さん・・・

その根底にあるのは、若い頃から苦労して、何度も挫折を味わいながらも、その都度、自分自身の力で立ちあがる・・・それでいて、そこには自分本位の身勝手さはなく、常に、自分の事は置いといて、仕事の本位を最優先して取り組んだ姿勢にあるのです。

13歳でのアメリカ留学で、現地の人に騙されて奴隷として売られてしまった事・・・

ペルー銀山の経営に失敗して、家も名誉も失ってしまった事・・・

意に反して復帰した政界でのゴタゴタ・・・

さらに、途中、校長を務めた共立学校(現在の開成高校)時代では、あの『坂の上の雲』の中で、秋山真之(あきやまさねゆき)正岡子規(まさおかしき)の恩師として登場してますね。

それこそ、それらの逸話に関しては、いずれ個々の日づけにて書かせていただくつもりではありますが、とにかく、弱きを助け強きを挫く、国民優先の政策をした人物として、現役当時でも人気が高かったと言います。

でも、それなら・・・
なぜに、そんな人気の高い敏腕な人物が暗殺されなければならなかったのか???

実は、それも経済対策がらみ・・・

かの世界恐慌からの復活の後の昭和十年(1935年)、財政再建の一環として、公債漸減(こうさいぜんげん)をうちだして、軍事費を削ろうとしたのです。

当然の事ながら、それは職業軍人が職を失う事になるわけで、青年将校たちの反発をかったというわけです。

昭和十一年(1936年)2月26日・・・その日、
寒さに弱い是清は、寝巻の上に綿入りのチャンチャンコを着こみ、布団に入って寝ていたと言います。

目撃者の証言に、
「掛け布団をはがされるまで眠っていた」
というのと、
「彼らが入って来た時点で起きていた」
という喰い違いがあるようですが、

とにかく、是清の寝室に侵入したのは、中橋基明(なかはしもとあき)中尉中島莞爾(なかじまかんじ)少尉の2名で、中橋が「天誅(てんちゅう)!」と叫ぶと、是清が「馬鹿者!」とどなり返したとの事・・・

しかし、もはや、その状況ではどうしようもなく、銃で撃たれて倒れたところを刀で斬りつけられ、82歳の生涯を閉じたのです。

遺族の証言によれば、それは、すでに銃にて死んでいる者に対して、さらに幾度も太刀を浴びせるという残酷なものだったようですが・・・

それほど評判の良い人物が、このような最期を迎える事は何とも悲しい限りですが、それこそ、何度もの挫折にめげず、自らの努力で、その度に這いあがって来た是清さんの事を思えば、後世の人間としては、その生き方こそがすばらしい教材・・・

彼は、幼い頃、養祖母に
「おまえは運の良い子じゃ」
と、何かにつけて言われて育ったと言います。

そして、それは、自身が窮地に立った時、
「自分は運が良いのだから、絶対に乗り越えられる」
と、頑張りの原動力になっていたとの事・・・

そう、日本という国は、運が良い国です。

帝国からの侵略の時には神風が吹き、幕末の動乱に外国に侵攻される事もなく、未曽有の敗戦から、その努力で見事な経済大国に成長させたのです。

きっと、この先も・・・
乗り越えられるに違いないと、是清さんが教えてくれているような気がします。
 .

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明治・大正・昭和」カテゴリの記事

コメント

高橋是清氏は,3年間NHKが続けたスペシャル大河「坂の上の雲」で,確か西田敏行さんが演じておられたと思います。…間違っていたらすみません。

日露戦争は,後年の私どもには,どうしても直接的な戦争(戦闘)が思い出されますが,軍事費などお金の工面やスパイ活動など…こちらの方もすごいみたいですね。

是清のやった「日本国債」をヨーロッパで売り抜くなど,どうやったのか詳しく知りたいです。…難しいのでしょうが…。私は,司馬遼太郎氏の書いた『坂の上の雲』で読んだ程度しか知りません。

情報戦でもあったようで…日本が戦闘で勝っているという報道をロイターが流すかどうかが日本国債が売れるかどうかにかかっている…。

それにしても,この「二・二六事件」は,日本が戦争へ突き進む大きなターニングポイントですね。この日(事件)の真相を,もっと一般の日本人が知っていた方がいいような気がします。

投稿: 鹿児島のタク | 2013年2月26日 (火) 21時44分

鹿児島のタクさん、こんばんは~

近代史のウトい私ですので、同じく、スペシャル大河「坂の上の雲」で見た程度の知識です。

政治経済も苦手なので、なかなか難しいですが、勉強して、是清さんの敏腕ぶりを知りたいですね~

おっしゃる通り、もっと日本人が知っていた方が良い事ですからね。。。

投稿: 茶々 | 2013年2月27日 (水) 00時47分

茶々さんこんにちは(^O^)

高橋是清さんの記事、興味深く読ませて頂きました。今まで、お名前だけは存じ上げていましたが、こんなにスゴイ人だったとは……!!

特に、13才の時留学先のアメリカで、奴隷として売られたという事ですが、どうやって日本に帰って来られたのでしょうか? ぜひ、記事に書いて頂きたいです[笑]

ペルー銀山の経営に失敗し、財産を失ってしまったというエピソード、 何だか「少公女」のセーラー のお父さんを思い出してしまいました(>_<)

是清さんが、暗殺されずにもう少し長生きされていれば、太平洋戦争は回避されていたのだろうか?…と考えると興味深い です。

…日本は運の良い国…

本当にそうですね。日本が、戦争の痛手からいち早く立ち直り、驚異の復興を成し遂げられたのは、沖縄、広島、長崎を始め、全国の空襲で命を奪われた方々の犠牲の上に成り立っているのだと思わさせられました。

いつも、素晴らしい記事 ありがとうございます。

投稿: 伊集院みちこ | 2013年2月28日 (木) 10時16分

偶然のタイミングですが、ついこの間、「恐慌に立ち向かった男 高橋是清」(松元崇著 中公文庫)を読んだばかりでした。

経済に疎い私にも多少勉強にはなりましたね!

茶々様にもご一読をお勧め致します。

コメントにもありましたが、2・26事件で高橋是清が暗殺されなければ、軍部の暴走は出来なかったでしょうね!

お金が無いのに戦争は出来ないと言っていたとか。
金融家・財政家ならずとも分かる理屈なんですが、あの時代は農村が疲弊して格差が広がっていた背景が軍部のつけいるところになったんですね?!

時代の状況が恐いほど現在の状況に似ているのは、やはり歴史は繰り返されるってことでしょうか?

ただ戦争はまっぴらごめんです、ボケても平和が一番!

今、尖閣諸島の問題、竹島の問題、また北方領土の問題がありますが、資源の無い日本は局地戦で勝つことはあっても、長期戦は絶対無理だし、財政的にも無理があると思いますね〜!

脅威に備えることは必要でしょうが、やはり外交巧者にならないと駄目ですね!

投稿: オルガ | 2013年2月28日 (木) 11時51分

伊集院みちこさん、こんにちは~

>どうやって日本に帰って来られたのでしょうか?

そうなんです。
今回も、書くべきか、書かざるべきか迷ったんですが、話が長くなりそうなので、また別の機会に…という事にしました。

とにかく、ただ「反発する」「逃亡する」ではなく、正式なルートで契約破棄に持っていったらしいです。
スゴイですよね~

投稿: 茶々 | 2013年2月28日 (木) 14時59分

オルガさん、こんにちは~

>外交巧者…

そうですね。
戦争が×なのは、もはや周知の通りですから、それがウマイ人に登場して来てもらいたいですね~

投稿: 茶々 | 2013年2月28日 (木) 15時01分

いつもブログ楽しく拝見させていただいてます。
高橋是清という人物について勉強させていただきました。

死ぬ間際に言った「馬鹿者!」という言葉。
高橋是清は短期的な目線でしか日本を見れていないことや自分たちのことしか考えてないことに対して怒鳴ったんでしょうね。

自分のことは置いておいて、国の先のことまでちゃんと考えての政策って今の日本でもなかなか指示されず、国民もばらまき型の政策に同調してしまっているのかもしれません。

長期目線で国のことを考えて行動してくれる高橋是清のような政治家が今の日本にもほしいですね。

投稿: ネオバックパッカー | 2013年3月 1日 (金) 13時06分

ネオバックパッカーさん、こんにちは~

コメントにもありましたが、当時の経済状況が、「今と似ている」として、ここ最近注目されてますね。
確か、何日か前にも、麻生さんが「学ぶ事は多い」という発言をされてました。
大いに学んでいただきたいです。

投稿: 茶々 | 2013年3月 1日 (金) 15時20分

こんにちは。
高橋是清邸は、江戸東京たてもの博物館に
移設されています。行ったことがあります。

http://tatemonoen.jp/area/index.html

投稿: やぶひび | 2013年3月 2日 (土) 20時13分

やぶひびさん、こんばんは~

そうですか…
事件直後の高橋是清邸の古写真を見た事がありますが、きっと、その邸宅でしょうね。

投稿: 茶々 | 2013年3月 3日 (日) 02時37分

あくまで噂ですが、外務官僚になる人は大学を卒業もしないまま入省してしまうと聞きました。
頭のよさは申し分ない方々とは思いますが、そんな純粋培養みたいな官僚に国民の利益を守ることができるのかなあ、と思います。(違ってたらごめんなさい)
たくましくて人情が分かる人が官僚になってくれると嬉しいです。

投稿: りくにす | 2013年3月 5日 (火) 17時38分

りくにすさん、こんばんは~

そうですね。
学校の勉強ではなく、人生経験での勉強を一所懸命した方に官僚になっていただきたいですね。

投稿: 茶々 | 2013年3月 5日 (火) 19時18分


あんまし関係ないけど今「山一証券」の映画を見てました
でもこの2.26事件となにか似てるな、と感じました

この山一、社内の誰かが裏切ったような・・・・(2.26事件も内部に密告者がいたように思える)
ちなみに現代でも自衛隊によるクーデター計画はある・・しかし、密告者により未然に漏れてすべて失敗に終わってる

この事件の黒幕は官僚かな・・・・(どこかのライバル証券会社が一枚噛んでるような・・お金や女を官僚へ渡して権力を動かしたんだろうね恐らく))

どこの証券会社も似たようなことをしてるんだけどね
どちらにしろ、金を扱う職種はもう人間としての行動は出来ないんだろうね

中世の連中が金貸しや銀行家を忌み嫌った理由が分かったよ

うーーん似てるね

2.26事件・山一証券

共に何らかの策謀で罠に堕ちた

投稿: 黒幕は財閥なり | 2015年9月22日 (火) 00時24分

黒幕は財閥なりさん、こんばんは~

闇深きぶん、謎が多いですね。

投稿: 茶々 | 2015年9月22日 (火) 01時23分

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