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2013年4月23日 (火)

気はやさしくて力持ち…大井子の力石伝説

 

今日は、『古今著聞集』に残る、オモシロイお話を・・・

琵琶湖の西にある、現在の滋賀県高島市安曇川町安閑神社に、水口石あるいは力石と呼ばれる石があります。

ちなみに、その石の隣には、神代文字とおぼしき、見た事も無い文字が刻まれた石が鎮座していて古代史ファンにはけっこう知られた神社らしいのですが、今回のお話は、神代のお話ではなく、平安時代のお話・・・

・・・・・・・・・・・

その高島に住む大井子(おおいこ・おいね)という女性は、なかなかの器量よし・・・

あたり一帯に広い水田を所有していた彼女ですが、ある時、近所の村人たちと水の事で言い争いになってしまい、彼女の水田には水が割り当てられなくなってしまったのです。

もちろん、それでは、広大な水田は維持できないわけで・・・

やむなく、その夜に彼女は、闇にまぎれてひと作業・・・六~七尺(一尺=約30cm)四方はあるかという大石を担いで水門の所まで行き、その大石を横向きに置いて、他方へ行く水をせき止め、全部の水が、自分とこの田んぼに流れるようにしたのです。

翌朝、この光景を見た村人たちはびっくり仰天・・・あわてて大勢を呼び集めて、その大石をどかそうとしますが、100人がかりでも(そんなオーバーな(^-^;)その石はビクともせず・・・

また、これを大井子が一人で動かした事を思うと、もし、勝手にどかして、彼女が怒りでもしたら・・・と、恐ろしくなって、一同相談の結果、彼女にワビを入れる事に・・・

「水は使っても良いので、どうか石をどけてくれんか?」
と・・・

その申し出を快諾した大井子は、その日の夜に、またまた一人で大石を動かし、それ以来、広大な田んぼが干上がる事はありませんでした。

また、その後は水争いもなくなり、村も平和に・・・と、つまり、この大石が、安閑神社に残る石との事なのです。

Ooikohokusaimanga 北斎漫画に描かれた大井子の物語

一方、そんなこんなの高島に、一人の男が通りかかります。

彼の名は佐伯氏長(さえきうじなが)・・・越前(福井県)の人で、この7月に行われる宮中での相撲大会に参加すべく、京の都を目指して旅している途中の力自慢の男でした。

そんな彼が、ふと見ると、目の前には川の水を桶に汲んで頭の上に乗せて運ぼうとしている美目麗しい少女・・・

ひと目でその少女に心奪われ、素通りできなくなった氏長は、馬から降りて、その少女が桶をささえる腕をつかんだところ、彼女は微笑みを浮かべて、嫌がる様子でも無い・・・

「おぉ!これイケるんちゃうん?脈ありやん」
と、さらに腕を強く握りしめる氏長・・・

すると、彼女は、桶から手を放して、氏長の腕を小脇にかかえ、ギューっと挟みこみます。

好意を持ってる美目麗しい少女にそんな事されて、もう氏長は心ウキウキ(≧∇≦)

しばらく、そのままでいましたが、少女がいつまでたっても手を離さないのにたまりかね、彼女の小脇から腕を引き抜こうとしますが、これがビクともしない・・・

それどころか、逆に、腕を小脇に挟んだ彼女にグイグイと引っ張られ、いつしか彼女の家の中へ・・・

家に到着して片手に持っていた桶を置いた彼女・・・
「それにしても、真昼間から、いたいけな少女に、とんだお戯れを・・・いったい、あんたはんは、どこのどなたはんで?」

聞かれた氏長は
「僕は越前の者です。
今度、宮中で相撲大会があるんで、国々から力の強い者が召しだされて都へ行くんですが、僕は福井代表で、そこに参加するんですわ」

と、答えました。

「そうですかいな。
けど、危ない危ない・・・あんたは、もうちょっとでケガをするところやったで・・・」

「?」

「都は広いでっせ・・・しかも、今回は全国大会やないですか。
どんだけ強い人間が集まって来るか。
あんたはんは、弱いことはおまへんけど、そないに強い事もなく、全国大会に出られるほどの力量は持ってはりませんわ。。。
 

ここでウチに会うたんは、何かのご縁・・・
もし、相撲大会まで日にちがあるようでしたら、ここに20日間ぐらいいときなはれ。
その間に、ウチが鍛えてあげますさかいに・・・」

そう、彼女が先の大石伝説を持つ大井子だったのです。

まだまだ日数に余裕があった氏長は、言われるままに、ここに滞在する事に・・・

「どんだけハードなメニューが用意されてんねやろ?」

ちょっとドキドキの氏長でしたが、意外にも大井子が用意したのは、運動メニューではなく、食事のメニュー・・・

なんと、彼女の怪力で、思いっきり固く握った握り飯を食べるというもの・・・

ところが、これが・・・
食べるというより食べさされる・・・

始めは、固くて固くて、食べ割る事すらできなかった大井子特製握り飯・・・
やがて1週間経った頃、ようやく食べ割る事が出来るように、さらに次の1週間が経つと、もはや、普通に食べられるように・・・

こうして、20日間・・・彼女は毎日食事の世話をしました。

やがて約束の日・・・
「よう、頑張らはりました!
これまでになりはったら、めったな事で負ける事はおまへんやろ。
急いで、都へ行っといなはれ~」

送りだされた氏長は、その後の相撲大会で大いに活躍して名を挙げたのだとか・・・

・‥…━━━☆

「気はやさしくて力持ち」は、男性に対する褒め言葉・・・

今でこそ、女性アスリートも絶賛されますが、残念ながら、この日本でも、長い間、女性は非力でおしとやかなのが魅力的とされ、強い女性は敬遠され、疎外される傾向にありました。

上記の物語の中で、「大井子の田んぼには水をやらない」という一件も、おそらくは、そんな偏見から・・・

しかし、一方で、やさしく叱咤激励する母にも似たほんわかな雰囲気が感じられる大井子のお話は、そんな偏見にもめげず、頑張りながら強く生きた女性たちがいた事を物語っているのでしょうね。
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