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2013年7月 6日 (土)

富士山~最古の噴火記録

天応元年(781年)7月6日、記録上最古の富士山の噴火がありました。

・・・・・・・・

まずは、『祝\_(^◇^)_/世界遺産決定!』ですね。

もちろん、念願だった地元にとっては万々歳の朗報ですが、最近のニュース番組によれば、「これを機会に登ってみるか~」てな安易な気持ちで、何の準備も無く、普段着にぞうりをはいて登山に挑み、途中でリタイアする厄介な人たちが急増した・・・なんて話も聞きます。

また、「知らずに…」ならまだしも、逆に、「わかってて…」あるいは「わざと…」ワルサをしていく人も大勢来ちゃう・・・

富士山に限らず、世界遺産となれば、それだけ訪れる人が増えて活気づくぶん、新たなる問題がある事も確かで、関係者の方にとっては、これからが正念場になるでしょうね。

ところで、本日の話題は、その富士山の噴火について・・・

もちろん、火山の営みは、人間のソレを遥かに超える歴史がありますから、この富士山も、おそらくは最終氷河期が終了した1万年ほど前から、大小の噴火をくりかえしていたとされていますが、当然ですが、そんな記録は残っていないわけで・・・

で、冒頭に書かせていただいた最古の記録というのが、天応元年(781年)7月6日・・・『続日本紀(しょくにほんぎ)に記録されている
「秋七月癸亥、駿河國言、富士山下雨灰、灰之所及木葉彫萎」
というもの・・・

つまり
「“富士山から灰が降って木々がしおれちゃった”という報告が駿河(静岡県)から届いたよ
って事で、それ以上の様子はよくわかりません。

以来、信憑性の高い物だけでも・・・
延暦十九年~二十一年(800年~802年)、
貞観六年~七年(864年~866年)、
承平七年(937年)、
長保元年(999年)、
長元五年(1033年)、
永保三年(1083年)、
永享七年(1435年)、
永正八年(1511年)の8回、
そして、さすがに江戸時代とあって多くの記録が残る宝永四年(1707年)の噴火・・・これをを最後に、現在に至っています。

もちろん、文献によって曖昧なために信憑性の低い物や、記録としては信憑性が高いものの、噴火とは断定できない火山現象なども加えると、もっと沢山の記録がある事になりますが・・・

こうして見ると・・・

永享の乱(2月10日参照>>)嘉吉の乱(6月24日参照>>)が起こった、まさに戦国の幕開けの時代の2回から、江戸文化華やかなりし徳川綱吉(1月10日参照>>)の時代を最後に現在までの間は比較的間隔が開いているのに比べ、今回の奈良時代の最初の記録から平安時代後期にかけては、けっこう頻繁に噴火している事がわかります。

なるほど・・・なので、昔々の学校では「富士山は休火山もしくは死火山」なんて習ったんですね~~ 間隔が徐々に開いてきてますもんね~

もちろん、現在では、そんな「くくり」はありません・・・有史以前からの火山活動を考えれば、100年や200年なんて、地球の呼吸の一吐き・・・富士山は今でも活火山で、地中にはマグマがガンガンですからね。

また、竹取物語(9月25日参照>>)の最後で、「帝が天に一番近い山の上で、かぐや姫から貰った「不死の薬」を燃やし、今でもその時の煙がたちのぼっている(だから富士の山と呼ぶ)・・・としているのも、平安時代に噴火が頻繁だった事を思えば、納得ですね。

さらに、それは富士登山に関する記録とも一致しますね。

古くは、聖徳太子が登ったの、あるいは、流罪になった役行者(えんのぎょうじゃ=役小角)(5月24日参照>>)が登ったの、という記述はあるものの、これは、お察しの通り、あくまで伝説・・・

おそらく本当に登った、あるいは登った人から聞いたとおぼしき記録の最古は、平安時代の学者=都良香(みやこのよしか)の記した『富士山記』の貞観十七年(875年)でしょうが、

確かに、そこには、富士山の名前の由来や見た目の紹介とともに、
「頂上有平地、廣一許里、其頂中央窪下、體如炊甑、甑底有神池…」
と、
「頂上には一里ほどの平地があって、そこには窪みがあり、その炊飯釜の底みたいな所には怪しい池が・・・」
てな、見た人にしかわからない描写が書かれていますので、やはり、本人では無いにしろ、誰かしらが登った記録なのでしょう。

とは言え、上記の通り、未だ記憶がある間に、また噴火するような頻度では、学者さんはともかく、さすがに一般人は登山しようとは思わないわけで・・・

・・・で、結局は、一般庶民の間でも、富士登山が盛んになって来るのは、徐々に噴火の間隔も開きはじめた戦国時代も後半からという事になって来ます。

実は、このあたりを今川家が治めていた頃から、現在の吉田口の登山道入り口付近に関所が設けられ、1人:244文の登山料を、関所にいる浅間神社の係員に支払い、その証となる手形を持って、登山したのだとか・・・

もちろん、いつの世にもいるタダで登ろうとする輩=手形を持ってない登山者は、速やかに追放されるというシステム・・・

その後、今川家の後に支配者となった武田が、この登山料を半額に値引きした・・・なんて話もありますが、この関所システムは明治の頃まで続いていたようです。

まぁ、この頃の富士登山は、登山というよりは聖地巡礼みたいな感じ・・・なんせ、この富士山は神のおわす山で、浅間神社に祀られておるのは、記紀神話に登場するコノハナサクヤヒメ(木花之佐久夜毘売・木花開耶媛)・・・

しかも、以前も書かせていただいたように(7月9日参照>>)江戸時代の初めの慶長二十年6月1日=1615年7月9日に江戸に雪が降るという異常気象が発生し、不安にかられた人々の間で富士山信仰が盛んになったという出来事もありました。

そのページにも書きましたが、遠くて富士登山に行けない人のために、江戸の各地にミニ富士山が造られたりも・・・

Fugakukanagawa850 お馴染の「富嶽三十六景」神奈川沖浪裏(日本浮世絵博物館蔵)

今回の富士山は、世界文化遺産・・・まさに、その信仰も含めた、文化芸術の世界遺産ですから、美しさとともに、その日本人の心も守って行かねばならぬもの・・・

地元関係者の方々は、もちろん、訪れる側の私たちも、世界に誇れる霊峰富士が、永遠に誇れる姿を保ち続けられるよう、心がけねばなりませんね。
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コメント

確かに富士山は「休火山」,「死火山」と書いてある本,小学生の頃よく読みました。でも,現在の研究では,そのようなくくりはしないのですね。

我が愛する鹿児島には,桜島があります。
噴火・爆発がすごいです。

大正3年の爆発で鹿児島湾に浮かんでいた桜島は溶岩が流れて,大隅半島と陸続きになりました。

富士山でこのようなことが今後起こらないとは言えない…。もちろん起こってほしくないですが…。

でも富士山噴火の最古の記録が781年なのですね。平安遷都の前ですね~。

投稿: 鹿児島のタク | 2013年7月 7日 (日) 08時23分

富士山については今いろいろいわれていますね^^
噴火するとかしないとかも…。
例え何が起ころうともそれは必然、受け止めないと、と思っています。
霊峰富士、聖地であることは疑いの余地もなく
私たち日本人にとっては特別な聖山ですよね^^
その美しさ、恵み(水)、神秘…。
崇めるだけで未だに登ったことはないですが
可能ならいつまでも今の姿を留めて欲しいものです^^
富士は日本一の山~♪

投稿: tonton | 2013年7月 7日 (日) 14時36分

静岡市葵区に住んでいます。
富士山登頂1回。八合目までで断念が1回です。
江戸時代の噴火で現在の美しい末広がりの形になったと言いますが、
いづれ近い将来、噴火は過去の噴火サイクルを見れば、確実ですね。
伊豆半島自体が、マントルの動きによって、南から島が流れて本州に食い込んできたものだそうなので、箱根山や富士山が地下マグマの噴出口という運命は変えられませんね。ただ、噴火の威力は、箱根山のほうが、5倍も6倍も大きく、従って箱根山の頂上は、吹き飛んだということのようです。できれば、富士山は今の形を維持しつつ、日本の美の象徴でありつづけてほしいです。

投稿: ちあき | 2013年7月 7日 (日) 18時20分

平安時代に登った人はすごい勇気ありますね。
しかし関所があったのなら昔の方がしっかり管理出来てたんですね。
入山料は千円を任意で取ることになったんですっけ?
個人的には一万円でも良いと思うんですけど、どうして弱腰なのかなあ。

投稿: | 2013年7月 8日 (月) 23時42分

鹿児島のタクさん、こんばんは~

今は静かな富士山ですが、この頃は、ちょっとヤンチャな感じだったんでしょうかねえ。。。

投稿: 茶々 | 2013年7月 9日 (火) 00時33分

tontonさん、こんばんは~

そうですね~
誰もが見て感動するあの姿…
日本人のDNAに刻まれているのでしょうね。

投稿: 茶々 | 2013年7月 9日 (火) 00時35分

ちあきさん、こんばんは~

>今の形を維持しつつ、日本の美の象徴でありつづけてほしい

美の象徴ですね~ホント、美しいです。

投稿: 茶々 | 2013年7月 9日 (火) 00時37分

こんばんは~

>入山料は千円を任意で取ることに…

そうみたいですね。
環境を守り続けるためには、やはり、お金がかかりますからね~

投稿: 茶々 | 2013年7月 9日 (火) 00時39分

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