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2013年12月 5日 (木)

映画『清須会議』の感想(ネタバレ少々あり)

 

先日、映画『清須会議』を見て来ました~

僭越ながら、本日は、その感想など・・・

とは言え、あくまで個人の感想である事とともに、お話するにあたっては少々のネタバレがある事をお覚悟のうえ、お聞きいただければありがたいです。

・・・まずは、ひと言で感想を言わせていただくならば・・・「期待通り」でした。

なので、オモシロイです。

ただ、私の場合、もともと三谷作品が好きなので、いつの間にか期待以上の物を期待していたわけで、そういう意味では、「期待通り」だったけど「期待以上では無かった」というのがホンネです。

なので、あの『のぼうの城』(11月9日参照>>)のような興奮&ワクワク感はなかったわけですが、随所に見られる小ネタの入れ具合は、さすがのウマさを感じ、クスリとする場面もあり・・・

三谷作品ファンの私としては、ドラマ『古畑任三郎』に見るような小気味いい心理戦を期待していたわけですが、そもそも、歴史上の出来事として、そのおおまかな流れを知ってしまっているものですから、「こうしてああしてこうなるんだろうな」と予想していたら、その通り「こうしてああしてこうなる」わけで、そこに、アッと驚くようなサプライズを盛り込む事には、はなから限度があるわけです。
(そこを、三谷さんだから…と期待していた事も確かですが(*´v゚*)ゞ)

すでに、いくつかのページで書かせていただいているように、家臣・明智光秀(あけちみつひで)の謀反=本能寺の変(2008年6月2日参照>>)にて織田信長が死亡し、家督を譲られていた嫡男・信忠(のぶただ)も亡くなってしまった事で、織田家の後継者を決める事になるのが、今回の『清州(清須)会議』ですが、

11人か12人いた信長の息子の中で、なんだかんだで上から順番という事で、次男の信雄(のぶお・のぶかつ)と三男の信孝(のぶたか)との後継者争いになるわけですが、ここは、映画でもあったように、ほぼ同時期に生まれている二人なれど、信雄の母が生駒の方(生駒吉乃)(9月13日参照>>)なのに対し信孝の母の身分が低かったために、信長自ら、ちょっとだけ後に生まれた信雄を次男とし、逆に、先に生まれた信孝を三男としています。

ただし、これも映画であったように、武将として優れていたのは信孝の方だったと言われ(と言っても、信雄さんもあそこまでバカ殿ではないでしょうが←あのキャラ設定は、それこそ三谷作品のギャグという事で…)、そこに、後継者はどっちにする??って問題が起き、家臣の筆頭である柴田勝家(しばたかついえ)信孝を推し羽柴(後の豊臣)秀吉信雄を推すという構図になるわけです。

Toyotomihideyoshi600 ・・・で、どっちもどっちの両者の中で、最後の方になって秀吉が、信長とともに死んだ信忠の嫡男・三法師(さんほうし)を引っ張り出して、三法師を後継者に推す・・・

そうです。
先にもお話しましたように、すでに信長は信忠に家督を譲り、後継者と定めていたのですから、その嫡男である三法師が継ぐのは、むしろ妥当な線で、問題は、その年齢が幼い事くらい・・・で、その三法師の後見人に信孝を据える事で、四方丸く収まる・・・

この後の展開を知っている後世の人間から見れば、秀吉が口火を切った三法師が後継者となる事で、何やら、会議の勝利者が秀吉のように思ってしまいますが、この時点では、むしろ、勝家の勝利とも言える形だったというのがホントのところでしょう。

ただ、以前の清州会議のページ(6月27日参照>>)で追記させていただいたように、この会議決定の後に、幼い三法師を手なづけた秀吉が、その三法師を抱きかかえて、家臣たちの前に登場し、「織田家の当主となった三法師様である!頭が高い!」と言ってのけ、波いる家臣たちが、秀吉(に抱かれた三法師)の前にひれ伏す・・・というのがあって、なんだか勝利宣言のような印象・・・

このシーンは映画でも見せ場となってましたが、それが本当にあったかどうかはともかく、ここは歴史好きがやって欲しい名場面ですので、そういう意味でも「期待通り」という事になります。

また、映画では、この三法師の母が、武田信玄(たけだしんげん)の娘・松姫(12月18日の真ん中あたり参照>>)となっています。

私的には、三法師の生母は、別の人のように思っていて、信忠と松姫は1度も会った事が無いんじゃないか?なんて考えてますが、実際に、未だ母親は特定されておらず、生母が松姫だとする説もある(西山家文言覚書秘伝録)ようですので、そこのところは、松姫にする方が映画としてはオモシロイ・・・

映画の中で、三法師が後継者に決定した事を聞いた松姫が、
「これで武田の血を引いた者が天下人となる」
と不敵な笑みを浮かべるシーンは、あまたの歴史好きが「松姫が母なら、こうなるだろう」と妄想するシーンにピッタシカンカンで、これまた「期待通り」の場面を見せてくれるわけです。

なので、冒頭に書かせていただいた感想=「期待通り」だったけど「期待以上じゃ無かった」という事になるわけですが、歴史好きではなく、これらの清州会議の流れを知らない方にとっては、信雄VS信孝だったところに三法師を引っ張り出してどんでん返し、三法師を担いで高らかに笑みを浮かべる秀吉に、ほくそえむ松姫・・・となるのが、それこそ、小気味いい三谷ワールドとなるかも知れません。

ただ、残念なのは、あくまで清州会議が主であるため、そこに至る本能寺の変や山崎の合戦などのシーンがほんのわずかしかなく、ナレーションも無いため、予備知識無く、映画を見た場合に、「なぜに清州会議となったのか?」が、見ている側に理解できるのかどうかがいささか不安・・・

造り手側としては「そこは、これまで、ドラマや映画で何度も描かれているので、もうイイでしょ?」てな事なのかも知れませんが、ここまですっ飛ばしてしまうと、あまりにも人間関係が解り難い気がしました。
(この人誰、という人物名のテロップも出ないので)

つまり、歴史を知ってる人にとっては、歴史の通りに話が流れるだけだし、歴史を知らない人にとっては、会議の展開は楽しめても、周辺の状況がわからないのでは??と・・・
ちょうどええ感じのターゲットが少なすぎる気が(゚ー゚;

ただ、そこかしこに織り込まれるギャグは楽しめます。

(黒人の弥助(2月23日参照>>)がいるので、おそらく)天正九年(1581年)のお馬揃え(2月28日参照>>)に秀吉が出席しているのは計算ずくのツッコミ待ち?としても、

会議に遅れそうな滝川一益(たきがわかずます)(6月18日参照>>)が、供も無しに馬にも乗らずにたった一人で走り続けたり、そこに、あの『金縛り』の更科六兵衛(さらしなろくべえ)さんが出てきたり、

はたまた、堂々と中庭を走って暗殺に失敗する頼りない刺客や、信雄くんのバカ殿っぷりも・・・

とにかく、豪華でスゴイ役者さんたちの、リキ入れまくりの演技は、充分に見ごたえあり・・・長い上映時間にも関わらず、その長さを感じなかったですから、「期待通り」で「期待以上では無い」とは言え、私的には「オモシロかった」「見てよかった」という事になると思います。

PS:映画では、この後に、賤ヶ岳の戦い(4月20日参照>>)がある事を匂わせて終わってましたが、私としては、その賤ヶ岳の前に秀吉主導の信長の葬儀(10月15日参照>>)がある事も推したい(*^-^)
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コメント

そうですね!わたしも賤ヶ岳の戦いに言及するよりも、秀吉の最後の台詞は「御館様のご葬儀を盛大にするぞぉ」みたいなほうがよかったなぁと思います。それでこそ、秀吉が御輿に乗って現れた登場シーンとぴったり合って「人心を掌握する男」としてまとまると思うんですよね。あそこまで言っちゃうと「予言者」ですから。
ホトトギスが空を舞う画も絶妙でしたが、知っている人にか判らないかもしれません。
でも、大泉さんの秀吉は本当に素敵でした!最近大河などでは年配の方が演じられることが多く、「女信長」では伊勢谷さんでしたし、しっくりくる演者さんは久しぶりのような気がしました。

投稿: やんたん | 2013年12月 8日 (日) 18時13分

やんたんさん、こんにちは~

>秀吉が御輿に乗って現れた登場シーン…

そうです。そうです。
私も、予告編であのシーンを見た時は、葬儀の場面なのかな?って思ってました。

でも、おっしゃる通り、大泉さんをはじめ役者さんの演技はすばらしかったし、皆さんステキでした!

もちろん、知ってる人だけがほくそ笑むような絶妙な小ネタも良かったです(゚ー゚)

投稿: 茶々 | 2013年12月 9日 (月) 10時53分

この映画の登場人物の風貌(主に織田家の人)については肖像画を参考にしたようです。
三谷さんによると織田信長役の篠井英介さんに関しては、若い時に「あっ、信長に似ている」と感じたようで、篠井さんをいつか信長役に起用したいと思っていたようです。
大河ドラマで他の大名や武将の役でも、年配の俳優が演じる傾向は同様ですね。来年の大河で黒田官兵衛を演じる岡田准一くんは現在33歳ですが、この年齢で官兵衛を演じるのは大河以外を含めても初めてかも。
ところでこの映画は「清須会議」ですが、テレビや映画によっては、「清州」と「清須」の字を使い分けることがありますが、作品によって違う理由は何でしょう?

投稿: えびすこ | 2013年12月24日 (火) 10時01分

えびすこさん、こんにちは~

大河ドラマは主人公の若い時から晩年まで描きますから、上司にあたる人は必然的に年上となって、結果、年配の方がキャスティングされる事になるのでしょうね。

「清州」と「清須」は古文書にも混在されて使用されていますので、「使い分け」というよりは「どっちでもいい」って感じでしょうね。
三谷さんが「清須」にしたのには、何らかの思い入れがあるのかも知れませんが…

昔の人は、そういう事にあまりこだわりが無かったのでしょうね。
一般的には、「現在の大阪は明治以前は大坂」と言われていますが、明治以前にも「大阪」表記の古文書も存在しますし、あの坂本龍馬も、自分自身で「良馬」と書いたりしてるそうですから…

投稿: 茶々 | 2013年12月24日 (火) 14時20分

茶々さま、えびすこさん、こんにちは。
今回の映画のタイトルですが、「清須会議」となったのは、三谷さんらしく「画数がいいから」だそうです。
映画の宣伝番組でそうおっしゃっていたのをききました。
生誕50周年で小説を書くと発表があった時は「KIYOSU」という題でした。
やはりタイトルは作品の顔ですから、いろいろ悩まれて然るべきなのでしょうね。

投稿: やんたん | 2013年12月28日 (土) 07時45分

やんたんさん、こんにちは~

そうなんですか~
やはり造り手側の方々には、こだわりや思い入れがあるのでしょうね。

投稿: 茶々 | 2013年12月29日 (日) 11時53分

清須在住なので、歴史ファンとしては、地元きたーーー!って大喜びしました。が、江のときほど地元は盛り上がらず、このチャンスに清須をアピールしてほしかったです…。ちなみに、以前は清洲町だったこの地も平成大合併で清須市と改名されました。なので旧清洲町に住む我々は、住所のなかに清須と清洲が混在するプチパニック発生してますが、、、プラモデルみたいな清洲城のあるかわいい街ですよ。
映画としては、歴史にあまり詳しくない人は、ちょっと小ネタに気づかないのではーーという印象でした。わたしは楽しめたけど、書籍のほうがニヤニヤ笑っちゃったかな。でもセエベエさんが出てきたから嬉しかった!

投稿: ぷんちゃん | 2014年1月 2日 (木) 22時42分

ぷんちゃんさん、こんにちは~

>清須と清洲が混在するプチパニック

それはややこしいですね。
地元の盛り上がりは、そうでも無いのですか?

でも、オモシロイ映画でした。
おっしゃる通り、小ネタがたまりませんね。

投稿: 茶々 | 2014年1月 3日 (金) 14時06分

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