2007年12月28日 (金)

風林火山~孫子兵法・全十三章:目次

 

Sonsihatamokuzicc 2007年の大河ドラマ・風林火山の放送に合わせて、この2007年には、ほぼ1年に渡り、風林火山の旗印のもととなった『孫子』の全十三章を、普段の歴史ページ更新の合間、おりに触れて、ご紹介させていただきました。

このページは、バラバラな日づけで公開した、それらのページを見やすくするための目次として制作しました。

このページを起点に各ページを閲覧・・・という形で利用していただければ幸いです。

 

・‥…━━━☆

 

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2007年10月16日 (火)

風林火山・孫子の兵法・最終章「用間篇」

 

今日で、いよいよ『風林火山・孫子の兵法』最終章・・・孫子の中で最も重要とされる『用間篇』を書かせていただきます。

・‥…━━━☆

用間の「間」は、間者の「間」・・・つまり、スパイの事です。

何かと影で動き、謀略や策略に従事するスパイ活動は、以前は陰湿でダーティなイメージがありましたが、近頃では、メディアの発達に伴い、「いかに情報が重要であるか」が、私たち一般人も知るところとなったせいか、情報の収集や敵情視察などは、当然の事という感じになってきましたね。

孫子が、この兵法書を通して、常に強調している事は、戦争には莫大な費用と、膨大な人数の兵士が必要であるという事。

戦いが長引けば、その費用も人の数も山のように積み重なって、たとえ戦争に勝ったとしても、その損失は国家を傾ける事になるかも知れないのです。

『而(しか)るに爵禄百金愛(おし)みて敵の情を知らざる者は、不仁の至りなり』
「金銭を惜しんで敵情を視察しない者はアホだ」

戦争にかかる費用の何百・・・いや、何千分の一のお金を出せば、人を雇って情報を収集する事ができるわけですから、同じお金をかけるなら、そっちにかけろ・・・という事です。

孫子では、その間者の種類は「五種類ある」としています。

それらの間者を、敵に知られないように使いこなすのは、かなり難しい事ですが、もし、使いこなせたら、それは「宝」にも等しいのだそうです。

その五種類とは・・・
郷間・・・敵国の者をとり込んで使う
内間・・・敵国の官人をとり込んで使う
反間・・・敵の間者をとり込んで使う
死間・・・敵国に潜入してニセ情報を流す
生間・・・敵国から情報収集して帰って来る
・・・の五種類。

もちろん、その人選は重要です。
『間より親しきはなく、賞は間より厚きはなく、事は間より密なるはなし』
「最も信頼のおける人物に、最も高い報酬を与え、最も秘密にしておかなければないない」
当然っちゃー当然の事なんですが、意外に賃金が安い・・・なんて気もしますが・・・。

『聖智にあらざれば間を用うること能わず。仁義にあらざれば間を使う事能わず。微妙にあらざれば間の実を得ること能わず。』
「人格者であり知恵のある者でなければ間者は使いこなせない。人を慈しむ心を持つ者でないと間者は使いこなせない。細かな気配り・配慮がないと実際の功績は得られない」
どうやら、間者を雇う側にも、かなりの条件が必要なようです。

そして、孫子曰く・・・間者を用いない戦は、考えられないのだそうです。

しかし、もし、その間者が情報を外に漏らしたならば・・・
もちろん、これは敵に限らず、味方にでもです。

たとえ、味方に・・・であっても主君と間者の間で交わされた極秘情報を漏らした者は、即刻、死あるのみ。
その情報を聞いた者も殺さなければならない
のです。

そして、次に、間者を使った具体的な方法を・・・

いざ、戦いが始まろうとする時、まずは、敵の指揮官や側近・門番・従者などの名前を入手し、間者を送り込んで、彼らの動静を探らせなくてはなりません。

もし、敵の患者が潜入している事がわかったら、これを手厚くもてなして買収し味方にとり込んで、今度は、逆に「反間」として、敵に送り込むのです。

この「反間」には、敵国の者をとり込む役目を荷ってもらいます。
敵の領民をとり込んで「郷間」とし、敵の役人をとり込んで「内間」とするのです。
そうする事によって、敵の動静を知る事ができます。

そして、そんな時に、「死間」を送り込んで、ニセの情報を流し、もちろん、動静も探らせます。

ここまで来たら「生間」を送り込んで、更なる情報を入手。
この頃には、敵国には、コチラが放った「反間」「郷間」「内間」「死間」が動いていてくれますから、「生間」はすんなりと任務を遂行する事ができ、更なる重要な情報得る事ができ、より密な敵情視察が可能になるのです。

主君たる者、この五間の使い方を充分と心得ていなければなりません。

これら五間の中で最も重要なのは・・・そうです、「反間」です。
ですから、「反間」には最も良い待遇を与えなければなりません。

さらに、孫子は故事を引用して・・・
『昔、の興(お)こるや、伊撃(いし)に在り。の興こるや、呂牙(りょが)に在り。故にただ明君賢将のみよく上智を以って間となす者にして、必ず大功をなす』
「昔、の伊尹(いいん)をとり込んで、を倒しては起こった。そして、今度はの呂尚(りょしょう)ととり込んで、を倒しては起こった。このようにすぐれた君主はすぐれた間者を用いて成功を収めている」

そして、最後の最後。
孫子は、この言葉で、このすばらしき兵法書を締めくくります。

『これ兵の要(かなめ)にして、三軍の恃(たの)もて動く所なり』
「情報戦線こそ戦のかなめであり、全軍はこれによって動くのだ」
と・・・。

この最終章の『用間篇』が、孫子の中で、最も重要である事がおわかりいただけましたでしょうか。

一応、今回をもちまして、このブログでの『兵法書・孫子』のご紹介は、最後とさせていただきます。

ご愛読、ありがとうございました~m(_ _)m

・・・・・・・・・・・・・・・

★これまでの『風林火山・孫子の兵法』全十三章を読むには、コチラの目次のページ>>からどうぞ!

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2007年7月31日 (火)

風林火山・孫子の兵法13・火攻篇

 

今日は、『風林火山・孫子の兵法』の13回目、『火攻篇』をお送りします。

・‥…━━━☆

『孫子曰く、およそ火攻に五あり』
孫子は「火攻めの種類は五種類ある」と言います。

  1. 人を焼く
  2. 蓄えた兵糧を焼く
  3. 輸送物資を焼く
  4. 倉庫を焼く
  5. 陣営を焼く

この5つで、発火装置などの準備はもちろん。
時期も重要だと言っています。

その時期は、(き・みぼし)」「壁(へき・まめぼし)」「翼(よく・たすきぼし)」「軫(しん・みつうちぼし)(←これらは星座の名前です)に、月がかかる空気の乾燥した時期。
なぜなら、これらの星座が月にかかる時は、必ず風が吹き荒れるから・・・だそうです。

一瞬、占いの神頼みのようにも思えますが、これは下駄を投げて明日の天気を占うのは違う、れっきとした統計学・・・星の動きを見て、暦を計算した、どちらかと言えば天気予報に近い物です。

「箕」「壁」「翼」「軫」というのは、古代中国で、天体の位置や動きを知るために考え出された『二十八宿』という天体観測方法に用いられる星座の中の4宿です。

まず、天を東西南北の四つの方向の分け、東は蒼龍西は白虎南は朱雀北は玄武四神(四つの聖獣がそれぞれの方角を守っている)をあてはめ、それぞれの方角をさらに七分割・・・で、全部合わせて二十八宿。
それぞれの方角にある星座を使って方向を見るワケです。

この28の星座を使って、天体観測をして暦を計算する方法は日本にも伝わり、高松塚古墳の石室内の天井にも、この天体図が書かれています。

↓こちらは、高松塚古墳の天体図・・・二十八宿についてはいつかくわしく書きたい
Sonnsiyoutakamarudukatentaizucc 孫子ご指定の星座には、ピンクの付けました~。

さらに、陰陽道風水にも使用され、平城京平安京、果ては江戸の町まで、東西南北の四神に守ってもらえるように設計されていて、平城京や平安京の南の門を『朱雀門』と呼ぶのも、この四神に由来する物です。

話が『四神』の方にそれちゃいましたが、とにかく、あてずっぽうではなく、理にかなった火事の起きやすい日を狙ってる・・・って事です。

ただし、統計学は確率なので、あくまで、100%ではありませんが・・・。
それは、現在の天気予報も同じ事です。

そして、火攻篇は、それぞれの場面に対する臨機応変な攻撃の仕方へと移ります。

『およそ火攻は、五火の変に因りてこれに応ず』
火攻めの時の攻撃法に関して「五種類の場面がある」としています。

  1. 敵陣に火の手があがった時・・・外側から素早く攻撃して追い討ちをかける。
  2. 火の手があがっても敵陣が静まりかえっている時・・・そのまま待機して様子を観察し、攻め時を見極め、チャンスが無ければ攻め込まない。
  3. 敵陣の外側から火を放つ事が可能な時・・・内応者(敵に潜入している味方)の放つ火の手を待つ事なく、チャンスがあるのなら、外側から火を放つ。
  4. 風上に火の手があがった時・・・風下から攻撃してはならない。
  5. 昼間の風は長く続くが、夜の風はすぐにやむので、その点に注意しなければならない。

以上、の事に充分と配慮して臨機応変に攻撃法を考えなければならないのです。

孫子は火攻めと対照させるように水攻めについても書いています。
『火を以って攻を佐(たす)くる者は明なり。水を持って攻を佐する者は強なり。』
「水攻めは火攻めと同じくらい有効である」と・・・。

ただし、水攻めの場合は、あくまで敵の補給路を断つ事に専念すべきで、決して、すでに蓄えてある物資を奪おうとしてはなならい・・・としています。

さて、今までは何やら、火攻め・水攻めと現代人の私たちには、あまり関係のないような話題でしたが、最後に、現在でも応用可能な重要な語句が登場します。

『戦勝攻取してその功を修めざるは凶なり』
「たとえ戦争に勝っても、その目的を達成できなければ、負けたのと同じである」

戦争という物は戦うために戦っているわけではありません。
何らかの目的があって戦いに挑んでいるわけですから、その目的が達成できなければ意味がありません。

ですから、有能な大将は・・・
『利にあらざれは動かず、得にあらざれば用いず、危にあらざれば戦わず』
「有利な状況でなければ動かず、必勝の作戦しか用いず、よほどの事が無い限り戦わない」
そして・・・
『怒りを以って師を興すべからず・・・憤(いきどお)りを以って戦いを致すべからず。利に合して動き、利に合せずして止む』
「怒りにまかせて軍事行動を起こしてはいけません。有利だと思えば行動し、不利だと見れば撤退する。」

人間、どうしても感情が先立ってしまいます。
また、勢いにまかせて突っ込んでしまう、という事もあります。
そういう場合、撤退すると臆病者呼ばわりされる事だってあります。

先日、このブログに書かせていただいた【キスカ撤退作戦】(7月29日参照>>)においても、霧の晴れ間を見て撤退した木村司令官「臆病者」というレッテルを貼られ、かなりの批判を受けたと言います。

しかし、結果的に見れば、その勇気ある撤退が、キスカ島の守備隊の命も、そして木村司令官自身の命も救う事になったわけですから・・・。

孫子は言います。
『怒りは以って複(ま)た喜ぶべく、憤りは以って複た悦(よろこ)ぶべきも、亡国は以って複た存すべからず、死者は以って複た生くべからず』
「怒りやいきどおりは、時が経てばいつか喜びに変わるけれど、亡くした国や死んだ人は、もう戻っては来ないのだ」と・・・。

大将(長)たる者、この事を肝に銘じてこそ、国が安定し、人が力を発揮できるものなのです。

反対者をクビにして刺客まで放っておきながら、ほとぼり冷めたら復帰させて「まずは、お帰りなさい」なんて言ってたら、そりゃ票も取れないって・・・。
あっ!そうか・・・途中で長が変わったから仕方ないのか~・・・て、もうちょっとうまい方法を考えないとね。

・・・て、事で今回は、孫子の兵法『火攻篇』をご紹介しました~。

・・・・・・・・

続編はコチラ『風林火山・孫子の兵法・最終章・用間篇』>>

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2007年7月17日 (火)

風林火山・孫子の兵法12・九地篇

 

今日は、『風林火山・孫子の兵法』の12回目、『九地篇』をご紹介させていただきます。

・‥…━━━☆

『九地篇』では、まず、戦場となる9種類の地域と、それに応じた戦い方が書かれています。

ややこしいですが、前回のは「地形」、今回は「地域」・・・地形+状況と言ったところでしょうか。

『孫子曰く、兵を用いる法に、散地有り、軽地有り・・・』

  • 散地・・・自国の領内にある戦場となる場所
    ここでの戦いは避け、味方の団結を強めましょう。
  • 軽地・・・敵地の入り口付近
    ここに長居は無用です。連携を密接にして素早く行きましょう。
  • 争地・・・そこを獲得すれば有利な場所
    敵が先に獲得していれば攻撃してなダメ。敵の背後に回ります。
  • 交地・・・敵味方の両方が進攻しやすい場所
    部隊を孤立させないよう連絡を密に取り、守りを固めます。
  • 衢地(くち)・・・諸国と隣接し、そこ押さえれば周囲にも睨みを効かせる事のできる場所
    外交交渉を重視する事。同盟関係を結ぶのも大事です。
  • 重地・・・敵の真っ只中
    必要なものは現地調達。量も充分に・・・。
  • 圯地(ひち)・・・道が険しく行軍が難しい場所
    さっさと通過しちゃいましょう。
  • 囲地(いち)・・・道が狭く、撤退するには迂回しなければなら ないような場所
    自ら退路を断って、決死の覚悟で奇抜な作戦を用います。
  • 死地・・・速やかに戦わなければ生き残れない場所
    速やかに戦いましょう。生き残れませんから・・・。

・・・と、まぁ、ごもっともな事が書かれています。
わかりきった事と言えば、わかりきった事ですが、いつの時も基本を押さえておくのは大事ですから・・・。

しかし、もし、敵が万全の準備をして整然とやってきたら・・・

その時は、
『先んずその愛する所を奪わば、則(すなわち)聴かん』
「まずは、敵の最も重視しているモノを奪う事」
もちろん、それは、形ある「モノ」とは限りませんが・・・。

そして、それにはスピードも重要。
『人の及ばざるに』「気づかれないうちに」
『虞(はか)らざる道に』「思いもよらない道を」
『戒(いまし)めざる所を』「思いもよらぬ方法で」
攻撃するのだそうです。

たしかに・・・おっしゃる事はよくわかりますが、「思いもよらぬ道を思いもよらぬ方法で・・・」
簡単には、思いつきませんからねぇ~、なんせ思いもよらないんですから・・・
悲しいかな、凡人には、なかなか意表をつく方法は考えつきません。

次に、登場するのは、敵地での戦い方・・・上記で言うところの『重地』での作戦です。

ここでは、上記にある通り、必要な物は現地調達。
それも、充分なくらい余裕を持って調達します。

敵の領内の奥深くに進攻した場合は、兵は一致団結して、普段の力以上のものを発揮してもらわないとヤバイ事になりますから・・・。

兵には、たっぷりと休養をとり、充分に食事をして、鋭気を養ってもらって、戦力を温存しておかないといけません。

そして、いざ、戦いの時には、ここが敵地の真っ只中であるが故に、勝たねば退路が無い事を悟らせて、窮地に追い込んでしまうのです。

充分に休養をとった後に窮地に追い込まれた兵士たちは、「拘束しなくても団結し、要求しなくても全力を尽くす」のだそうです。

孫子は、「上手な戦とは、『卒然(そつぜん)のようなものだ」と言います。

卒然とは、蛇の事。
その頭を撃てば尾で反撃をし、尾を撃てば頭で反撃して、胴を撃てば首尾ともに襲い掛かってきます。

この蛇のように軍を動かす事ができれば、戦上手と言えるのですが、では、その方法とは?
『呉人(ごひと)と越人(えつひと)と相悪(にく)むも、その舟を同じくして済(わた)り風に遇うに当たりては、その相救うや左右の手のごとし』
「呉と越、敵同士の二つの国の人であっても、同じ舟に乗って嵐に遭遇して、舟が危ないとなれば、お互いが協力して左右の手のように動くはずだ」

そうです。
良く聞く四文字熟語・『呉越同舟』です。
またまた、『孫子』が出典の金言です。

これは、単に陣地を同じにしたり、一緒に戦うといった意味ではなく、敵味方一丸となって・・・という事です。
このように、敵国同士を協力させるためには、政治の力が必要。
強者と弱者を協力させるには、地の利が必要だと説いています。

思想や政治、地の利をうまく利用すれば、全軍を、あたかも一人の人間のように扱う事ができるのです。

これは、某国がよく使う手ですね。
内政がヤバくなると、海外に敵国を作って危機感をあおり、皆がそっちを憎むように持っていって、国民の注意をそらす・・・っていうアレです。

ところで孫子は、この『九地篇』では、「兵士に全力を出させるためには死地に追い込んで戦わせる」という事を、何度も強調します。

「末端の兵に任務の説明をする時は、有利な事だけ教えて、不利な事は内緒にしておく」とか、「命を賭けさせるためには、法外な恩賞も必要だし、無謀な命令を下す事も必要だ」とか、血も涙もないような事をおっしゃる。

『地形篇』では、
『卒を視(み)ること嬰児(えいじ)の如し・・・卒を視ること愛子の如し・・・』
「赤ちゃんのように、わが子のように愛さなければ、兵士は将と生死をともにしようとは思わない」
と言っておきながら、ここでは、「わざと退路を断てば、誰もが死ぬ気で戦う」などと書かれているのです。

たしかに、敵に対しては、「囲む時は逃げ道を作っておいて窮地に追い込むような事はするな(軍争篇)と、敵を必死にさせないための方法を書いていますから、必死にさせるためにはその反対で、「退路を断って窮地に追い込む」のでしょうが、どうも、冷た過ぎる気がして、この箇所については、個人的には好きになれません。

まぁ、兵法ですから、戦争の仕方ですから、そこンとこは仕方がないのかも知れません。

どのみち、現代では「命を賭けて戦う」「勝つなら死んでも良い」なんていうのは通用しませんし、末端の兵も、大将も、君主も、命の重さは同じですから、ここは、命ではなく、「精神的に追い込む」という解釈をするのが正解だと思っています。

そして、最後に、敵地での作戦の集大成のような名言で、この章は締めくくられます。

敵地で戦う時は、まず関所を封鎖し、敵の連絡網を断ち、すみやかに軍儀して、敵が最も重視している部分を見極め、決定したら行動を開始します。

最初は、わざと敵の思うツボにはまったように見せかけて、隠密裏に、静に・・・そして、チャンスと見てとれば、先ほど見極めた敵の一点に兵力を集中して、先制攻撃をかけるのです。

『始めは処女のごとくにして、敵人、戸を開き、後には脱兎(だっと)のごとくして、敵、臥(ふせ)ぐに及ばず』
「始めは処女のように振舞って敵えお油断させ、その後逃げるウサギのようにすばやく攻撃を仕掛ければ、もう敵は防げない」

これも、「始めは処女のごとく、後に脱兎のごとし」というよく知られた名言ですね。

以上、今日は『九地篇』を、紹介させていただきました。

・・・・・・・・・・・

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2007年7月 1日 (日)

風林火山・孫子の兵法11・地形篇

 

今日は、『風林火山・孫子の兵法』の11回目、『地形篇』をご紹介させていただきます。

・‥…━━━☆

地形篇は、その題名の通り、最初は地形について語られますが、「こんな地形では、こう戦え」などと、そのまま読んでみても、現代の私たちには、あまりピンときません。

地形を、そのまま地形と見るのではなく、「このような状況では・・・」あるいは、「このような場合には・・・」という風に介錯してみると理解しやすいかも知れません。

孫子では、大きく別けて6種類の地形があるとしています。
『孫子曰く、地形には、
 なる者有り、
 なる者有り、
 なる者有り、
 なる者有り、
 なる者有り、
 なる者有り。』

・通(つう)・・・敵からも味方からも、行き来しやすい地形。
   ここでは、敵より先に着いて高地に布陣し、補給路を
   確保して戦えば有利。
(かい)・・・進攻しやすいが、撤退し難い地形。
   ここでは、敵の守りが薄ければ有利、守りが強固であ
   れば不利。
(し)・・・敵にも味方にも不利な地形。
   ここでは、敵が誘いをかけて来てもそれには乗らず、
   逆に敵を誘い出してから攻撃を仕掛ける。
(あい)・・・くびれた地形。
   ここでは、先に入り口を固めてから敵を待つ。
   もし、敵が先に来て、すでに入り口を固めていたらす
   みやかに撤退、まだ入り口を固めていなかったら攻
   撃する。
(けん)・・・けわしい地形。
   ここでは、敵より先に到着し高地に布陣して敵を待つ。
   もし、先に敵が到着していたなら撤退する。
(えん)・・・地元から遠いアウェイな場所。
   ここでは、相手の勢力が均等であれば、不利なので
   戦わない。

そして、もう一つ。
負け戦になる六つの状況というのもあるとしています。
『故に兵には、
 なる者有り、
 なる者あり、
 なる者あり、
 なる者有り、
 なる者あり、
 なる者あり。
 およそこの六者は、天の災
(わざわい)にあらず、
 将の過ちなり。』

  • (そう)・・・10倍の勢力の敵と戦わなければならなくなった時。
  • (し)・・・兵が強いのに、軍の幹部が弱い時。
  • (かん)・・・軍の幹部が強いのに兵が弱い時。
  • (ほう)・・・トップが幹部の能力を知らず、幹部はトップの命令に従わず勝手に攻撃したりする時。
  • (らん)・・・甘やかしてばかりの将軍で規則も徹底せず、よって兵を統率できない時。
  • (ほく)・・・トップが敵の情報を知らず、こちらが劣勢なのに優勢な敵と戦えと命令し、向かう先を見失っている時。

・・・で、これらは、全部、たまたまの偶然ではなく、君主や将軍が自ら引き起こしている状況だと言うのです。

今まさに、湊川の戦いに挑む楠木正成(5月25日参照>>)・・・大坂夏の陣に挑む真田幸村(5月6日参照>>)思い出しました。

その時、正成は、「天皇は、この正成に討死せよとのお考えである」と、死を覚悟して出陣し、幸村は独断で討って出るも、奮戦中にやはり退却命令が出て、しかたなく大坂城に戻っています。

結局この両方ともが負け戦となったのは、ご存知の通りです。

・・・で、孫子は言います。
『戦道必ず勝たば、主は戦うなかれと曰(い)うとも必ず戦いて可なり』
「勝てる見通しがあるなら、君主が反対しても戦うべきである」と・・・。

もちろん逆も・・・勝てる見込みがないのであれば、君主が戦えと命令しても戦うべきではないのです。

『地形は兵の助けなり』
先ほどの六つの地形、六つの状況は、勝利への助けとなる物です。
地形を知り、状況を判断し、君主に反対してでもやる時はヤル!

その結果、功績を挙げても名誉を求めず、失敗しても責任から逃れようとしない・・・
『・・・ただ人をこれ保ちて而して利、主に合うは、国の宝なり』
「ただ、人々の安全を願い、君主の利益のために働く、これこそ国の宝である」

まるで、金曜日の夜の「ザ・ガードマン」のような言い回し・・・(宇津井健=キャップ=ある年齢以上ならわかる)

たしかに、「功績を挙げても名誉を求めず、失敗しても責任から逃れようとしない」ような上司なら、下の人間も「ついて行きます!」と言いたくなりますわな。

・・・で、この地形篇の後半には、このつながりで、将軍から兵の・・・つまり部下の扱い方が書かれています。

『卒を視(み)ること嬰児(えいじ)の如し・・・卒を視ること愛子の如し・・・』
「赤ちゃんのように・・・わが子のように・・・」
そうやってこそ、兵士は、将軍と生死をともにしようと思うようになるのです。

かと言って、可愛がってばかりで命令せず、規則に違反しても罰則をあたえないようであれば、わがまま息子(娘)に育ってしまい、用をなさないようになると、ちゃんと釘を刺しています。

上杉鷹山が、下級武士たちとともに畑を耕した話(3月12日参照>>)を思い出しますね~。
まさに理想の上司です。

味方の兵士の事を知り尽くしていても、敵の強さを知らなければ勝敗は五分と五分。
敵の強さを知っていても、味方の兵士の事を知らなければ、やはり勝敗は五分と五分。
さらに、敵の事も味方の事も充分知り尽くしていても、先ほどの地形の事を把握して、地の利を生かす事ができなければ、やっぱり勝敗は五分と五分。

ですから、敵・味方・地形を知っていれば、
『動いて迷わず、挙げて窮せず』
「事を起こしてから迷う事は無いし、挙兵してから窮地に立たされる事もない」
のだそうです。

そして、最後に地形篇のまとめとも言うべき金言で、この章は締めくくられます。

『彼を知り、己を知れば、勝、乃(すなわ)ち殆(あや)うからず。天を知りて地を知れば、勝、乃ち窮(きわ)まらず』
「敵と味方を把握し、時を待って地の利を活かせば、必ず勝つ」

以上、今日は『地形篇』をご紹介しました。

Sonsi11sansuicc 今日のイラストは、
中国のイメージで『山水画』風な絵を書いてみました~。

いつか行ってみたいな・・・

・・・・・・・・・・・・

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2007年6月17日 (日)

風林火山・孫子の兵法10・行軍篇

 

今日は、『風林火山・孫子の兵法』の10回目、『行軍篇』を紹介させていただきます。

・‥…━━━☆

行軍篇には、かなり具体的な戦法が書かれています。
具体的な戦法というのは、一見すると現代には、もう役に立たない事のようにも見えます。

たとえば・・・
『山を絶(こ)ゆれば谷に依たり、生を視して高きに処(お)り、隆(たか)きに戦いて登ることなかれ。これ山に処る軍なり。』
「山で戦う時は、谷に沿って移動し、視界の開けた高い所に陣を敷く事。もし敵が先にそのような場所にいる場合は、こっちから攻撃してはならない」

これは、山岳地帯で戦う時の戦法です。
飛び道具が飛び交う現代の戦争や、まして、ビジネスの社会などにはまったく無関係のようにも思います。

さらに、川べりで戦う場合・・・
川を渡る時はすみやかに渡り、渡り終えたら水から遠ざかる事。
敵が川を渡ってくる時は水の中で迎え撃たず、半分が渡り終えてから攻撃を仕掛けるが、水際で戦ってはならない。
陣を敷く時は、視界の開けた高所を選び、川下から川上にいる敵を攻撃してはいけない。

そして、湿地帯での戦いは避ける事。
どうしても戦う時は、水草の茂みを選び樹木を背にして戦え・・・と続くのです。

さらに、念をおすかのように
『軍は高きを好みて下(ひく)きを悪(にく)み、陽を貴(たっと)びて陰を賤(いや)しむ。
生を養いて実に処
(お)り、軍に百疾なし。』
「陣を敷くなら、低地を避け高地に、そして日当たりの良い場所を選び日陰を避ける。
そうしておけば健康管理に役立ち、病気にならない」

しかし、ここまで読んでみると、すべての場所に共通した孫子の思想が、なんとなくわかってきます。

たしかに、一つ一つの具体的な戦法は現代の世の中では役に立たないかも知れませんが、常に敵の行動が見えやすい優位な位置にいなければならない事、不利な条件では戦わない事、兵士の健康面にも注意を払う事・・・それらを注意していれば兵士一人一人の安心感にもつながるのです。

この考え方は、現代でも通用するんじゃないでしょうか?

さらに、孫子では近づいてはいけない場所を六つ挙げています。
・絶澗(ぜっかん):絶壁に囲まれた場所。
・天井(てんせい):深い窪地。
・天牢(てんろう):3方が険しい場所に囲まれた所。
・天羅(てんら):草木が密集した場所。
・天陥(てんかん):湿地帯。
・天隙(てんげき):でこぼこした場所。

このような場所には絶対に近づかず、逆に敵をこのような場所に誘い込むようにしなさいと言っています。

やはり、ここでも危険を避けて優位に立てという事です。

言葉に出しては言っていませんが、これらの事を実現するためには、その場所の地理に精通していなければならないし、敵の行動を把握していなければならない事も、これまでの孫子を読んでくださった方なら、もうおわかりの事でしょう。

次に、行軍篇は心理戦へ突入していきます。
『敵近くして静かなるは、その険を恃(たの)べばなり。
遠くして戦いを挑むは、人の進むを欲するなり。
その居る所の易
(い)なるは、利なればなり。』
「敵が近くなのに攻めて来ないのはそこが攻め難い場所であるから。遠くにいるのに攻めてくるのは、こちらを誘い出そうとしているから。敵がそこにいるのは、そこが有利な場所だから。」

さらに、木々が動くのは敵が来たから・・・
鳥が飛び立つのは、兵が潜伏しているから・・・
土ぼこりが低く舞うのは歩兵が進攻してきたから・・・
土ぼこりが少ない量で移動しながら舞うには宿営をするから・・・

などと続きますが、要するに、物事にはすべてそうなる要因がある事を考えなければいけないという事です。
敵の行動も、自然の出来事も、なぜそうするのか?なぜそうなったのか?という事に常にアンテナを張り巡らせておかなければならないのです。

敵との心理戦はさらに進みます。
『辞卑(ひく)くして備えを益すは、進むなり。辞彊(つよ)くして進駆(しんく)するは、退くなり。
軽車先ず出
(い)でてその側に居るは、陣するなり。
約なくして和を請うは、謀るなり。
奔走して兵車を陳
(つら)ぬるは、期するなり。
半進半退するは、誘うなり。』

「敵が謙遜(けんそん)しながらも準備を整えている時は進攻してくる。
逆に強気を全面に押し出して今にも進攻するように見せる時は撤退の準備をしている。
戦車を全面に出している時は、その側で陣を固めている。
対峙している時に突然和睦を申し込んで来た時は何か謀略を企てている。
敵が慌てて戦車を並べだしたら決戦を考えている。
敵が勝敗に関係なく一進一退を繰り返すのは、誘いをかけている時である。」

敵の行動を見て、その心理を探るのは、孫子の中ではこの後も、「幹部がやたら部下に怒鳴り散らす時は疲れている」とか「水汲みに行って自分が真っ先にに飲むのは水不足」とか、もっともな事がもう少し続きますが、先ほども書きましたように一つ一つの具体例は現代にはあてはまらない事も多々あります。

現代人の私たちにとっては、一つ一つの具体例が重要なのではなく、あくまでなぜこうなったのか?の要因を探るという事が重要なのです。

そして、行軍篇の最後に登場するのは、自軍の兵士に対する心理作戦・・・そうです、部下の扱い方です。
これは役立ちそうですねぇ~。

『数(しばしば)賞するは、窘(くる)しむなり。
数罰するは、困
(くる)しむなり。
先に暴にして後にその衆を畏
(おそ)るるは、不精(ふせい)の至りなり。』
「やたら賞金や勲章を連発するのは行き詰まり、
やたら罰するのも行き詰る。
部下に散々怒鳴り散らしておいて後で嫌われるのを気にするなんてバカをさらけ出してるよなもんだ」

たはー、耳が痛いですねコリャ。
賞なんて物も、連発してたら希少価値がなくなって、もらってもうれしくないですもんね。

『卒、いまだ親附(しんぷ)せざるに而(しか)もこれを罰すれば、則(すなわ)ち服せず。
服せざれば則ち用い難きなり。
卒、すでに親附せるに而も罰行なわざれば、則ち用うべからざるなり。』

「部下と親密になっていないのに、罰則ばかり厳しくすれば、部下は心を開かない。
心を開かなければ扱い難い。
逆に親密になったからと言って違反しても罰しないでいると、これまたよろしくない」

おっしゃる通りです。

『故にこれに令するに文(ぶん)を以ってし、これら斉(ととの)うるに武(ぶ)を以ってす。』
「だから、規則違反に関して、やさしさでもって教育し、厳しさでもって統制をとる。」
飴とムチですな。

『令、素(もと)より行なわれて、以ってその民を教うれば、則ち民服す。令、素より行なわれずして、以ってその民を教うれば、則ち民服せず。令、素より行なわるる者は、衆と相得るなり。』
「そこんところをしっかり踏まえて教育すれば部下は命令に従うし、そこんところがうやむやになっていれば当然従わないわけで、上司と部下の信頼関係はそれによって生まれる。」
わけですな。

孫子に言わせれば、先の敵情視察も同時進行し、そうやって兵士との信頼関係を築きあげ、一致団結・結束を固めれば、兵の数の多い少ないはたいした問題ではないのだそうです。

孫子のおっしゃる事はよくわかりますが、実践するのはなかなか難しいですね。

理想の上司のアンケートで上位に入っているタレントさんでも、きっと本当の上司だったらうまくいかないかも・・・って思っちゃいます~。

しかし、この孫子を知っているか知っていないかでは、大違い。
心のどこかに留めておけば、いつか花咲く時が来るかも知れませんからね。

以上、今日は『行軍篇』を紹介させていただきました~

・・・・・・・・・・・・

続編はコチラ→『風林火山・孫子の兵法11地形篇』>>

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2007年5月30日 (水)

風林火山・孫子の兵法9九変篇

 

今日は、『風林火山・孫子の兵法』・・・今回は9回目『九変篇』を紹介させていただきます。

・‥…━━━☆

『将、九変の利に通ずれば、兵を用うるを知る。
将、九変の利に通ぜざれば、地形を知るといえども、地の利を得ること能
(あた)わず・・・』
九変の効果を知っている将軍だけが、軍を率いる資格がある。
九変を駆使できなければその土地を知っていても地の利を得る事はできない。」

そんなに大事な「九変」とは・・・「その時々に応じて形を変える」という意味です。
言い換えれば臨機応変という事・・・。

孫子の中では色々な原則が語られます。
その原則を充分に心得ておいて、臨機応変に応用する事が重要なのです。

その原則は・・・
『・・・圮(ひ)地には舎(やど)ることなく、
(く)地には交わり合し、
(ぜつ)地には留(とど)まることなく、
(い)地には則ち謀り、
死地には則ち戦う』

「“圮地=行軍のし難い場所”には駐屯せず、
衢地=諸外国の勢力がうまく保たれている場所”では外交交渉を充実させ、
絶地=敵の領内真っ只中”には長く留まらず、
囲地=囲まれたら”策略を使って脱出を図り、
死地=危機”ならば戦うのみ」

という事です。

そして、それを臨機応変に別の視点から見てみると・・・
『塗(みち)に由(ゆ)ざらる所あり。
軍に撃たざる所あり。
城に攻めざる所あり。
地に争わざる所あり。
君に受けざる所あり』

「道には行ってはいけない道もある。
敵には攻撃してはいけない敵もある。
城には攻めてはいけない城もある。
土地には奪ってはならない土地もある。
君主の命令には従ってはいけない命令もある」

と、いう事になるのだそうです。
う~ん・・・臨機応変って難しい・・・。

また、多方面から考える事・・・「トータル・シンク」も重要だと語っています。

『智者の慮は必ず利害に雑(まじ)う。』
「デキル人は必ず利と害の両方を考える」

利益を考える時にはそれに伴う損失の事も考え、逆に損失した時はそれによる利益もしっかりと考えなくてはならないのです。

また、これは自分のところばかりではありません。
敵を降伏させるためには損害を与え、味方に抱き込むためには利益与える。

自分の利害とともに敵の利害も考えておかなくては勝てません。

そこをしっかりと押さえていれば・・・
『・・・その来たらざるを恃(たの)むることなく、吾の以って待つ有ることを恃むるなり』
「敵が攻撃してこない事を願うのではなく、敵がしてこないようにコチラ側が仕向ける」
という事ができるのです。

たとえば、敵が「これは無理だ」と思うような強固な守りを固めたりしておけば、決して攻撃される事はないのです。

そして最後に、将軍が過ちを犯す危険=間違い例として『五危(ごき)という5つを示してくれています。
『将に五危有り。
必死は殺さるべきなり。
必生は虜
(とりこ)にさるべきなり。
忿速
(ふんそく)は侮(あなど)らるべきものなり。
廉潔
(れんけつ)は辱(はずか)しめらるべきなり。
愛民は煩
(わずら)わさるべきなり』
「将軍には5つの危険がある。
必死な者は殺される。
生きようとする者は捕虜になる。
怒りっぽい者は軽視される。
まじめな者は策にハメられる。
民衆の事を考え過ぎると精神的に参ってしまう。」

こんな将軍は必ず負け戦をしてしまうそうですので気をつけなければいけません。

上記の5つは、3番目の「怒りっぽい」以外は、ある意味必要な要素であり、どちらかと言うと良い事である場合が多いのです。

戦うのなら、死を恐れず立ち向かっていかなくてはいけませんし、命を大事に考え撤退をする事も重要です。
まじめや民衆の事を考えるに至っては、「そうじゃなかったらむしろ困る」といった事柄です。

しかし、何事もバランス感覚が大事・・・わかりやすく言うと、「まじめ」なのは結構ですが「くそまじめ」では困るという事です。

こだわり過ぎると、逆にそれが弱点となるのです。
将軍に求められるのは、広く浅く・・・総合的に判断する能力であって、一つの事に集中して力を注ぐ事はかえってマイナスになる・・という事を教えてくれているのです。

これは、戦時下における将軍だけに限らず、企業のリーダーにも重要な事ではないでしょうか。

以上、今日は『九変篇』をご紹介させていただきました~。

・・・・・・・・・・・・・・

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2007年5月20日 (日)

風林火山・孫子の兵法8軍争篇

 

今日は『風林火山・孫子の兵法』の8回目=『軍争篇』・・・あの「風林火山」のフレーズが登場する章ですが、その前に、最初は、まずはあの「迂直(うちょく)の計」が登場します。

・‥…━━━☆

「迂直の計」とは、戦いの中で最も難しいであろう勝利への道を作り出す方法です。
『・・・迂(う)を以って直となし、患を以って利となすにあり』
「・・・回り道をしながら直進し、損をしながら得をする」
直訳するとこんな感じですかね?

たとえば、競争などの場合、回り道を迂回しておいて敵を油断させ足止めを食らわせておいて、こちらが速やかに行動すれば、結果的に相手より先に到着する・・・といった具合です。
ことわざで言うところの「損して得取れ」ってヤツですね。

一見こちらが損に思える事というのは、敵にとっては有利に思える事なので、当然それに食いついてきます。
そこを、速やかに裏を返し逆転する・・・
もちろん、これには、相手の事を充分調べておかなければなりません。

敵の思考や動向を知らなければ、駆け引きはできません。
敵の国の地理を知らなければ、そこへ自軍を向かわせる事はできません。
『故に兵は、詐(さ)を以って立ち、利を以って動き、分合を以って変をなす者なり』
「戦いは、敵をあざむく事で始まり、有利な方向へ動き、兵の分散と集中を繰り返しながら変化する」

『兵は詐を以って立つ』というのは、以前の『始計篇』で登場した『兵は詭道(きどう)なり』と相通ずる物・・・つまり戦争は騙し合いだという事をもう一度ここで強調しています。
もちろん、先の「迂直の計」もその騙し合いの一つ。

迂回したかと見せて直進したり、奇襲をかけたかと思えば正攻法で攻める。
陰と陽、静と動・・・そうやって騙しながら戦いを有利に導いて行くのです。

そこで、「迂直の計」の具体例として登場するのが、例の「風林火山」の一説です。
しつこいようですが、有名かつ重要な部分なので、やっぱり、ここでもう一度引用させていただきます。

『故に、
其の疾
(はや)きこと、の如く
其の徐
(しず)かなること、の如く
侵掠
(しんりゃく)すること、の如く
動かざること、の如く
知り難きこと、
(かげ)の如く
動くこと、雷霆
(らいてい)の如し。 

郷を掠(かす)むるには、衆を分かち
地を廓
(ひろ)むるには、利を分かち
権を懸
(か)けて動く。 

「迂直の計」を先知する者は勝つ。
此れ軍争の法なり。』

「なので、
疾風のように早いかと思えば、林のように静まりかえる、
燃える炎のように攻撃するかと思えば、山のように動かない、
暗闇にかくれたかと思えば、雷のように現れる。
 

兵士を分散して村を襲い、守りを固めて領地を増やし、
的確な状況判断のもとに行動する。
 

敵より先に「迂直の計」を使えば勝つ。
これが、勝利への道だ」

ただし、いくら『疾きこと、風の如く』でも、ただ単に急いではいけません。

『百里にして利を争えば、則ち三将軍を擒(とりこ)にせらる』
「百里の遠征をして勝ちを急げば、全員が捕虜になってしまう」

軍の中には、強い兵士も弱い兵士もいます。

勝ちを急ぐばかりに、昼夜を問わず行軍したりすれば、当然集団はバラけてしまいます。
重装備のまま全軍で進めば遅くなりますし、かと言って軽装備で行けば装備を運ぶ輸送集団が遅れます。

軍隊が分散されるという事は、それだけ少ない兵で戦わなければならないという事。
遠征をする時は、その危険を充分考慮して移動しなければなりません。

また、孫子では『衆を用いるの法』として、夜はかがり火と太鼓を増やし、昼間は旗を用いて兵士の指揮をとるとしています。

これは、やはり大軍をバラけさせないための方法。

兵士の目と耳に働きかけ、お互いの連絡を密にして、組織としての力を発揮させるようにしなければなりません。

次に、有能な指揮官として掌握しておかなければならない四つのポイントを挙げています。
 ★気(士気)・・・『その鋭気を避けてその情気を撃つ』
        人間、誰でも調子良い時、悪い時があります。
        戦いの場合は敵のそのリズムを読み取って、
        「敵の元気のある時を避け、士気が下がった
        所を見計らって撃って出る」
のです。
 ★心(心理)・・・『治を以って乱れを待ち、静を以って譁
        
(か)を待つ』
        コチラは「態勢を整えて、じ~と静に敵の乱れ
        を待つ」
のです。
 ★力(戦力)・・・『近きを以って遠きを待ち、佚(いつ)を以っ
        て労を待ち、飽を以って鐖
(き)を待つ』
        「有利な場所に陣取って敵を待ち、コチラは休
        息をとって敵の疲れを待ち、お腹いっぱい食
        べながら相手が飢えるのを待つ」

 ★変(変化)・・・『正正の旗を邀(むか)うることなく、堂堂の
        陣を撃つことなし』

        出ました!四文字熟語『正々堂々』の語源
        す~。
        上の3つ「気・心・力」はいずれも敵の乱れや
        弱点を突くという事ですが、弱点を見せない
        敵・・・つまり「正々堂々とした敵とは戦わな
        い」
という事です。
        これは、今まで孫子の中で何度も言われてい
        る勝算がなければ戦わない事・・・それは逃
        げる事ではなく「変化」する
という事です。

そして、いよいよ軍争篇の最後で、戦闘に際しての八つの「べからず集」を教えてくれます。
 ・『高陵には向かうことなかれ』
   「高い場所の敵を攻撃してはダメ」
 ・『丘を背にするは逆(むか)うことなかれ』
   「丘を背にした敵を攻撃してはダメ」
 ・『佯(いつわ)り北(に)ぐるには従うことなかれ』
   「わざと逃げる敵を追ってはダメ」
 ・『鋭卒には攻むることなかれ』
   「ヤル気満々のヤツを攻撃してはダメ」
 ・『餌兵には喰らうことなかれ』
   「餌に飛びついてはダメ」
 ・『帰師(きし)には遏(とど)むることなかれ』
   「帰ろうとする敵を止めてはダメ」
 ・『囲師(いし)には必ず闕(か)き』
   「囲む時は逃げ道を作っておく」
 ・『窮寇(きゅうこう)には迫ることなかれ』
   「窮地に追い込んだ敵になお迫ってはいけない」

この「べからず集」・・・。
最初の、「高地の敵」とか「丘を背にした敵」とかっていうのは、私たちの身近にはあまり関係ありませんが、意外と普段の生活の人間関係に役立ちそうな名言ですね~。

特に最後の二つなんかは、最近よく耳にするニュースなどで、びっくりするような犯罪を犯してしまう10代の若者の中には、何やら窮地に追い込まれた感がある子供たちが多いようにも思います。

囲む時はやはり逃げ道を作っておいてあげないと・・・。
「窮鼠猫を噛む」とも言いますからね。

以上、今日は『軍争篇』を紹介させていただきました~。

Sonsigenbuncc 今日は、
イラストというより、超有名なフレ-ズなので、『風林火山』の部分の原文をデザインさせていただきました~

漢字を一つ一つ見て行くと、何となく意味がわかるから、悠久の時の流れに感動しちゃいます。

・・・・・・・・・・

★続編はコチラ→『風林火山・孫子の兵法Ⅸ九変篇』>>

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2007年5月13日 (日)

風林火山・孫子の兵法7虚実篇

 

今日は、『風林火山・孫子の兵法』の7回目『虚実篇』を紹介させていただきます。

・‥…━━━☆

『虚実篇』は、この一つ前の章・『兵勢篇』で重要だとされた集団で力を発揮するために必要な4つの条件の中の一つ・・・「虚実」について説明しています。

『孫子曰く、およそ先に戦地に処(お)りて敵を待つ者は佚(いつ)し、後れて戦地の処りて戦いに趨(おもむ)く者は、労す。
故に善く戦う者は、人を致して人に致されず。』

「敵より先に戦場に行き、敵を迎え撃てば余裕を持って戦える。逆に遅れて行けば、戦いは苦しくなる。
だから、名将は人を致して人に致されず

「人を致して人に致されず」とは、「相手に左右されず自分が相手を左右する立場に立つ」という事・・・つまり、主導権を握るという事ですね。

・・・で、具体的にはどうやって主導権を握るのか?

敵にある行動を起こさせるためには「そうすれば有利だ」と思わせなければならず、逆に、行動を起こさせたくなければ「そうすれば不利になる」と思わせれば良いわけです。

敵の準備が万全で余裕がありそうなら策略を張りめぐらせてかき乱し、食糧が充分なら道を断って飢えさせる・・・。

そして、自分たちは・・・
『その趨(おもむ)かざる所に出(い)で、その意(おも)わざるところに趨く』
「敵がすぐに行けないような場所に進撃し、敵が思いつかない方向へ攻撃する」

敵のいない場所であるなら、どんなに長い距離を行軍しても疲れませんし、敵の守っていない場所なら攻撃して必ず落とせます。
逆に、相手が攻撃しない場所なら守備についた時、必ず守り抜けます。

この戦法を巧みに操れば、相手はどこを守ってよいかわからなくなり、どこを攻撃してよいか混乱します。

そうなると、相手から見てコチラの軍は・・・
『微なるかな微なるかな、無形に至る。
神なるかな神なるかな、無声に至る』

「姿は見えず、音は聞こえない」
という事になり、コチラの思惑通りになる・・・というわけです。

このように、コチラから見れば相手の動きが手に取るようにわかり、相手から見ればコチラがどう動くかわからないように仕向けておけば、コチラは戦力を集中する事ができ、相手は戦力を分散するしかない状況になり、ますます主導権を握れるのです。

つまり、相手はどこから攻撃されるかわからないわけですから、当然、各アブナイ所を全部守備しなければなりません。

たとえば、その守らなければならない場所が10ヶ所あったとしたら、兵を10に分けて守る事になります。
コチラと相手のもともとの戦力がほぼ同じの時の場合、その10ヶ所のうちの1ヶ所に、コチラの戦力をまるまる使うとすれば・・・
『これを十を以ってその一を攻むるなり』
「10の戦力で1を攻撃するという事になる」
その場所に関しては相手の10倍の戦力で攻撃できる事になります。

この作戦は、もとの戦力が同じでなかった場合にも使えます。
たとえば、小さな企業が大企業に挑む場合・・・まともに戦っては勝ち目があるわけがありませんから、コチラは大企業の「ここだ!」と思う一点に狙いを定め、一点集中攻撃をかけるわけです。

アイデアで勝負?サービスで勝負?技術で勝負?・・・とにかく、何か一つ相手に勝る物に戦力のすべてを賭けて勝負すれば、勝機が見出せるかも知れません。

どんなに強大な相手でも必ず守りが薄い場所があり、つけ込む隙がある物なのです。

「ここが狙い目」という「時と場所」を定める事ができたなら、たとえどんなに遠くまで遠征しても勝てるし、それを見抜けなかったら戦力が分散され、お互いに協力し合う事もできないようになるのです。

『・・・兵多しといえども、また奚(なん)ぞ勝敗に益せんや・・・勝は為すべきものなり。敵衆(おおし)といえども、闘うことなからむべし』
「兵の数がいかに多かろうと、勝敗を決定する要因にはならない・・・勝利は人が造る物である。(なぜなら)敵の数がいかに多くても、(コチラの作戦によって)それを戦えないようにする事ができるからである」
言ってくれますね~孫武さん。
それならかよわい私たちも勇気が湧いて来る・・・という物です。

主導権を握ったら、今度はコチラの態勢です。

『・・・兵を形するの極は、無形に至る・・・その戦い勝つや複(ふたた)びせずして、形に無窮に応ず』
「・・・究極の戦の形は無形である・・・コチラの戦闘態勢は相手の態勢によって無限に変化する」

人は、勝利を収めた時のやり方がベストだと思いがちです。
ですから、次に戦う時もまた、同じ態勢で挑んでしまいがちですが、「それはまちがいだ!」と孫子は断言します。

勝利に至る態勢を見つけ出すには・・・
 ・現時点での状況を分析し、コチラと相手のどちらが有利か
  を見極める。
 ・探りを入れて相手の出方を見る。
 ・相手の動きを見て地形のポイントを見極める。
 ・相手の動きを見て敵の強味と弱味を探る。
この結果によって、コチラはどのような態勢をとるのかを判断するわけで、その態勢は常に変化するわけです。

いったん組織ができあがってしまうと、それを崩すのは勇気のいる事です。
まして、その態勢で一度成功しているならなおの事。
しかし、孫子は、相手によって、いつでも再構築できる柔軟な態勢こそが理想であるとしています。

態勢は水の流れように変化させなければならない物・・・水が高い所を避け低い方へ低い方へ流れていくように・・・
『実を避けて虚を撃つ・・・兵に常勢なく、水に常形なし』
「充実した部分を避けて守りの薄い所を攻撃する・・・水に一定の形がないように、戦い方にも決まった形はない」

以上、今日は『虚実篇』をご紹介しました。
次の機会には、いよいよ「風林火山」の登場する『軍争篇』をご紹介させていただきます。
 
 

続編はコチラ→風林火山・孫子の兵法Ⅷ軍争篇』>>

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2007年5月 4日 (金)

風林火山・孫子の兵法6兵勢篇

 

今日は、『風林火山・孫子の兵法』の6回目、『兵勢篇』を紹介させていただきます。

・‥…━━━☆

『兵勢篇』では、まず、戦いは個人ではなく、集団で力を発揮させる事の重要性を説いています。

兵の人数が多くなれば、それだけ戦力が増すわけですが、たとえ大軍団になっても、それが小部隊のように統制がとれていなければ、力は発揮できないと、孫子は言います。

そして、集団で力を発揮させるために必要な四つの条件を出してくれています。
それは・・・
  一、分数
  一、形名
  一、奇正
  一、虚実

この四つのうち、「分数」「形名」は軍の組織に関する事で、「奇正」「虚実」戦略に関する事です。

まずは、「分数」「形名」について・・・

「分数」とは分母と分子が・・・ではなく、軍の組織・編成の事。
そして、「形名」とは軍の指揮系統の事。
この二つは、それこそ、分母と分子のように、お互いが影響し合うような関係なのです。

大部隊が集団で力を発揮するためには、軍令(指揮命令系統)が確立されている事が重要です。
将軍の合図一つで一進一退、一糸乱れぬ行動をとってもらわなければなりません。

その軍令が確立されるためには、軍律(軍内の法律)が整っていて、手柄に対してはちゃんと賞賛し、規律を乱したら処罰するといったような、公正な賞罰が行われている事が必要です。

要するに、軍律が整っていれば、軍の組織・編成が確立され、軍の組織・編成が確立されれば、軍令も確立されるという事です。
軍律と軍令の確立の重要性は、この章意外でも、今までの章に何度も登場しています。

次に、「奇正」とは、古代中国の軍事用語で、「正」は常識的な事を指し、「奇」はその反対・・・つまり、特殊な物や変った物を意味します。
約2千年前の『孫臏(そんびん)兵法』という兵法書には、「“形”で“形”を制するのが“正”、“無形”で“形”を制するのが“奇”」という説明がされています。
例の「陰と陽」、「静と動」ってヤツですね。

孫子では、
『およそ戦いは、正を以って合し、奇を以って勝つ』
「対峙する時は正攻法で、勝つ時は奇襲で」
と語られます。

さらに続けて・・・
『・・・五色は五に過ぎざるも、五色の変は、勝げて観(み)るべかざる・・・戦勢は奇正に過ぎざるも、奇正の変は、勝げて窮むべかざる・・・』
「色の原則は、赤・青・黄・白・黒の五色だが、その組み合わせで無限に色が作れるように、戦いの原則は奇と正の二つであるがその組み合わせによる変化は無限である。」
「奇」と「正」の組み合わせによって、縦横無尽に変化する攻撃は、誰も予測する事ができません。

そして、この『兵勢篇』では、「奇正」の使い分けとともに「勢いに乗る」事の重要性も説いています。

『善く戦う者は、その勢いは険にして、その節は短なり』
「良い戦い方とは、勢いに乗じて一瞬で力を発揮する」
せき止められていた水が開放された時、怒涛のごとく流れて行く・・・あるいは、キリキリといっぱいまで引き絞った弓が、一気に放たれる・・・というような例を挙げて説明してくれています。

そして、もちろんこの「勢いに乗る」というのは、組織全体で・・・全軍の力を一つにまとまて、勢いに乗らなければなりません。
『善く戦う者は、これを勢に求めて、人に責めず』
「兵士一人一人の行動に期待するのではなく、勢いに乗る事を重視する」
う~ん・・・言ってる事はよくわかりますが、なかなか勢いに乗るのは難しい・・・しかも、組織全員で・・・。

・・・で、やはり難しいと、書いてるご本人も思ったのか、ちょっとだけヒントをくれています。
『これに形すれば、敵必ずこれに従い、これに予(あた)うれば、敵必ずこれを取る』
「こうすれば敵は必ず動き、それをちらつかせば、必ず食いついて来る」
このような相手が食いつきような餌をばら撒いておいて・・・

『利を以ってこれを動かし、卒を以ってこれを待つ』
「敵をこちらの思うように動かしておいて、主力部隊を繰り出して一気に波に乗る機会を待つ」
なるほど・・・そうすれば波に乗れるわけですね。

もちろん、その前に事前準備として、以前の『謀攻篇』で登場した『彼を知り己をを知れば・・・』の情報収集能力を発揮して、どんな餌に食いついて来るのかを見極めておかなければならないのですが・・・。

結局この章のまとめとしては、
『・・・乱は治に生じ、怯(きょう)は勇に生じ、弱は彊(きょう)に生ず。
治乱は数なり。勇怯は勢なり。彊弱は形なり。』

(戦争の中では・・・)平静はすぐに混乱に変り、勇気はすぐに怯えに変り、強者はすぐに弱者に変る。
混乱するかしないかは軍の統制力で決まり、怯えるが怯えないかは軍の勢いで決まり、弱者になるかならないかは軍の態勢で決まる」

混乱を避けるために「分数」と「形名」を確立し、勢いに乗るために「奇正」を繰り出し、弱者にならないために事前の準備をしっかりする・・・という事ですな。
う~ん、言うはやすし行うは・・・ですね。
やはり、理解はできますが、実行は難しい・・・。

・・・で、最後に「虚実」についてですが、「虚実」は今日ご紹介した『兵勢篇』の次に『虚実篇』というのがあって、そちらの章でくわしく説明されています。
(虚実篇へはコチラから↓
『風林火山・孫子の兵法Ⅶ虚実篇』>>

ブログにupした個々の記事を、本家ホームページで【孫子の兵法・金言集】>>としてまとめています・・・よろしければご覧あれ!(別窓で開きます)
 

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