ことばの日~「ことば」は変わる
5月18日は、語呂合わせで『5(こ)10(と)8(ば)の日』という記念日なのだそうです。
・‥…━━━☆
4月2日の『図書館記念日』にも、チラッとお話しましたが、言葉というのは、常に変わっていくものです。
そして、その変わっていきかたが、面白い・・・
現在、日本の文化は、やはり首都・東京を中心に全国に広がって行く・・・と言うのが当然なのですが、不思議なことに、言葉だけは、今でも、関西から伝わって行く事が多いように思います。
あの、民族学者の柳田國男先生が発表した『蝸牛考』(かぎゅうこう)・・・
上方を中心に、まるで水面を波紋が広がっていくように、言葉が伝わって行って、それが今の方言だ、という考えです。
いくつもの山を越え、川を超え、何百年もかかって、言葉が伝わって行くのだそうです。
『蝸牛考』が発表されてから、もう何年もたっていますが、私個人的には、このメディアの発達した時代、その伝わるスピードが増して何百年もかからなくなっているんじゃないかとすら思うんです。
たとえば、私が小さい頃・・・近所のオニイチャンが近くの駅前で、今で言う『ヤンキーずわり』をしていたのが気になって母に「○○兄ちゃん、こんなトコで何してんねんやろ?」と聞いたら、「ああ、アレは、ナンパ張ってんねん」と答えました。
その時に、蜘蛛が獲物捕るのに蜘蛛の巣を張るように、女の子つかまえようと、繁華街で男の子がたむろしながら、女の子探してる事を「ナンパを張る」と言うのだと知りました。
母の母が戦前から使っていた言葉だそうです。
一方、1970年代も半ばになった頃には、東京でも、見知らぬ女の子に町で声をかけて誘うという意味で、『ナンパ』が、使われるようになりました。
そして、それは現在も使われていますよね。
私は、今も『ナンパ』はする物ではなくて、張る物だと思ってしまいます。
ドンクサイ、メチャメチャ、てんこもり、まったり・・・イントネーションが変わったり、意味が少し変わったりしながらも、言葉は、今も確実に西から東へ伝わって行ってるように思うんです。
そして、これから、ぼちぼち伝わって行きそうな気がするのが『はんなり』です。
まず、この『はんなり』には、直訳する標準語がありません・・・たぶん(私は、大阪人なので、標準語がしゃべれないので、もしかして、あったら教えてください)
『はんなり』とは、心地よい派手さを意味する「ほめ言葉」です。
『ほんのり』とゴッチャになって、淡いパステル色だと思ってらっしゃる方が多いですが、大阪弁の『はんなり』は、そうではなく、鮮やかな色の事・・・見方によっては派手な色の事なんです。
派手というのは、たとえば服なんかの場合、「その服派手やね」と言うと、服の色が鮮やかな色という意味プラス「あなたには似あってないよ」、というけなす=否定の意味が入ってますよね。
でも、ものすごく色鮮やかな服で、着る人によっては派手になるような服でも、その人には似あってる場合もあるわけです。
そんな時、大坂の人は「その服、はんなりしてるね」って言うんです。
そうすると、あざやかな色を表すとともに、とてもよく似あっていると、相手をほめてもいるんです。
逆はどうでしょう。
「その服、地味やね。」と言うと、くすんだ目立たない色プラス「似あってない」という、やはりけなす=否定の意味が入ってます。
でも、くすんだ目立たない色がステキな時もあります。
そんな時は昔から、大阪の人は、こう言います。
「その服、シブイなぁ」
『シブイ』には、目立たないくすんだ色だけど、それが逆にカッコイイって意味が込められています。
そうです・・・この『シブイ』は、ここ何年か前から、東京でも使われ始めています。
やはり、『はんなり』が全国ネットになる日もそう遠くないのではないかと、思う今日この頃です。
金閣がはんなり、銀閣がシブイ
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