『夏越大祓』…茅の輪くぐり神事のお話
7月30日・31日は、神社で、『茅の輪くくぐり』という神事が行われます。
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これは、『夏越大祓』(なごしのはらえ)とも言われ、正月からこっちの半年間の罪・けがれをはらう行事で、昨日・今日だけに限らず6月の半ば頃から7月にかけて全国各地で行われます。
京都の神社では、6月30日に行われる所も多いように思います。
この神事は、『備後風土記』に書かれた素戔鳴尊(スサノオノミコト)の神話がもとになっています。
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昔、スサノオノミコトが旅の途中病にかかり、ある村で一夜の宿を求めました。
その村には、蘇民将来(そみんしょうらい)と巨旦将来(こたんしょうらい)という兄弟が住んでいました。
弟の巨旦将来は裕福な暮らしぶりでしたが、冷たく宿を拒みました。
しかし兄の蘇民将来は貧しい暮らしにもかかわらず、「たいした事はできませんが・・・」と、茅のふとんと粟の食事で暖かくもてなしました。
そのおかげで、ミコトも元気になり、その後何年かのちに、ふたたびこの村を訪問した時、蘇民将来の家を訪れ、こう教えました。
「近く、この村で疫病が流行るだろう。その時、ちがやで輪を作り腰にぶらさげておきなさい。そうすれば疫病から免れる事ができるだろう」
しばらくして、ミコトの言ったとおり村で疫病が流行りました。
巨旦将来をはじめたくさんの村人が病に倒れる中、蘇民将来の家族だけは、茅の輪を腰にさげていたので、助かりました。
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多くの神社では、罪けがれを託した人形(ひとがた)を、川に流したり、焼いたりしてけがれをはらい、この故事にちなんで、茅萱でつくった茅の輪を、左回り、右回り・・・と∞を描くようにしてくぐります。
そして、この茅萱を抜いて持ち帰り、輪にして吊るしておくと厄除けになるとされています。
京都・椰神社の『茅の輪くぐり』
ここもやはり素戔鳴尊をおまつりする神社です
追記:
2022年6月29日、枚方の蹉跎(さだ)神社の大祓で茅の輪くぐって来ました~
ここの祭神は菅原道真(すがわらのみちざね)=天神様。。。
蹉跎神社の本殿と茅の輪
道真さんが、大宰府(だざいふ)に向かう途中に休憩したとされる場所で、父を心配した娘さんが後を追って来たものの、娘さんがここに到着した時には、すれ違いで、父の道真は発った後だったと、、、
それで娘さんが残念がって地団太(じだんだ=蹉跎)を踏んだ…事で、この地が蹉跎と呼ばれるようになり、後に天神様として祀られる事になったらしい・・・
お願いする相手が天神様だからなのでしょうか?
ここは∞というよりも、右に左に→のように茅の輪をくぐるようです。
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