橋の日なので橋姫の怖い話
今日は8月4日、語呂合わせで橋の日という記念日なのだそうです。
そこで、今日は橋にまつわる怖いお話を・・・。
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京都の宇治橋に伝わる橋姫伝説については、丑の刻参りのページ(10月28日参照>>)で書かせていただきましたのでここではサラッとだけお伝えします。
京都の宇治橋へ行った事のあるかたは、お気づきになったと思いますが、橋の途中に『三の間』と呼ばれる出っ張りがあります。
もともと、そこは、三角関係のもつれから、生きながら鬼となった『橋姫』が封印された場所なんです。
現在、橋姫さんは、宇治橋の南側の橋姫神社に祀られています。
・・・で、この宇治橋の橋姫伝説は、平家物語に登場するお話すですが、今日は、今昔物語に書かれている『瀬田の橋姫』のお話をご紹介します。
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紀遠助(きのとおすけ)という男が、都の東三条殿の勤めが終わって、美濃の国に帰る途中、瀬田の橋で一人の女に、「美濃の収(おさめ)の橋にいる女に、この小箱を渡して欲しい」と頼まれます。
その時「この箱の中は絶対に見ないで!」と忠告されます。
(よくあるパターンやな~こうゆう時、絶対開けてしまうねんなぁ~)
美濃に帰り着いてから、遠助は毎日の忙しさにかまけて、しばらくの間つい、箱を渡さずに持っていました。
ところが、遠助の留守中に妻がその箱を開けてしまったのです。
中には、なんと!えぐり抜いた眼球や男根が入っていたのです。
遠助は、妻が箱を開けてしまった事に驚いて、あわてて橋のたもとへ行って、女に箱を渡しました。
しかし、やっぱり・・・と言うか、当然・・・と言うか、箱を開けた事が女には、バレています。
遠助は、逃げるように家に帰りますが、間もなく死んでしまいました。
物語は触れていませんが、箱の中身はきっと橋姫の愛した男の物でしょうね。
眼球は自分以外の女を見た物、男根は自分以外の女に触れた物、・・・という事で、やっぱり三画関係のもつれでしょう。
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しかし、もともと平安時代以前は、橋姫とは水の神で、橋のたもとで、橋を護る美しい女神だったんです。
それが、中世から近世になるにつれ、だんだんと恐ろしい伝説に変わってしまったのです。なぜでしょうか?
それは、どうやら人柱の風習と関連しているようです。
人柱などという未開の地のような行為は、時代をさかのぼる程多いように思ってしますが、実は、昔話や民話を見てみると、中世より近世のほうが増えているのです。
封建的な支配の強い時こそこのような行為が多く行われているそうです。
通りがかりの旅人だったり、立場の弱い女・子供だったり・・・。
大阪の『長柄の人柱』(11月5日参照>>)のように言い出しっぺの場合もあります。
時には、その土地の権力者や代表者の時もありますが、そういう場合はたいてい、その人物を讃える美談となっています。
もともと、橋という物は、本来なら接点を持たない町と町を結ぶ通路・・・これは、トンネルと同じで、昔は、異世界へと結びつく入口と同じ見方をされ、何やら不思議な事が起こる場所とされて来ました。
そこに、さらに、建設の難工事にともなう人柱です。
むごい事だと思いながら、誰かを犠牲にしなければ、収まらない封建社会の中で、人々は、表向きは、工事を成功させるために必要な儀式なのだと言い聞かせて行った風習。
しかし心のどこかで、犠牲になった人への思い、怖さなどが、だんだんと恐ろしい伝説へと変えていったという事ではないでしょうか。
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