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2006年10月30日 (月)

金色夜叉の尾崎紅葉が死去

 

明治三十六年(1903年)10月30日金色夜叉の作者・尾崎紅葉が亡くなりました。

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それまで、江戸時代の義理人情を描いた作品を多く書いていた尾崎紅葉(おざきこうよう)
ち~っとばかし落ち目になっておりました。

Ozakikouyou700a そんな紅葉が、起死回生を狙って読売新聞紙上に『金色夜叉』の連載を開始したのです。

時は、日清戦争の興奮さめやらぬ明治三十年(1897年)の1月

これが、連載開始と同時に爆発的な人気を呼び、紅葉自身の人生をも変える大ベストセラーになるのです。

最近のお若い方々は『金色夜叉』と言ってもピンと来ないかもしれませんので、軽く筋書きを言いますと・・・

旧制高等学校・一高生の間貫一(はざまかんいち)とラブラブだった許婚(フィアンセ)お宮さん。

ところが、突然お宮さんの前に、大金持ちの銀行家・富山(とみやま)が現れ、大金に目がくらんだお宮さんは貫一を裏切り、すんなり富山にお乗換え。

有名な熱海の海岸での別れの後、復讐を誓った貫一は、高利貸しという(金色)の鬼(夜叉)になってお宮さんの前に登場し、お宮さんは愛と金の板ばさみになって苦しむ・・・というストーリーです。

「来年の今月今夜のこの月も~再来年の今月今夜のこの月も~俺の涙で曇らせてみせるぁ~」

「よっ!日本一!」
っと、熱海の海岸の名場面は、お芝居の定番でもありました。

いったい、何十万部売れたのか見当もつかない・・・というこの作品。

それにしても、なんでこんなにヒットしたんでしょうか?

それは、まさに当時の社会の風潮にピッタンコだったという事。

日清戦争に勝利して、この調子ならウザいロシアもやっつけられるんじゃないの?というイケイケムードの中、急激に資本主義が勢いを増してきた時代。

世間には成金がはびこり、「お金がすべて」という考え方が目立つようになった時代背景が、読者の共感を呼んだのでしょう。

愛か?お金か?

思い悩むヒロインは、我がことのように読者の胸に突き刺さったに違いありません。

今なら、さしずめ、イケメン一流大学生を主役に、黒皮の手帳を持ったキャバ嬢をヒロインに、IT関連企業で一躍有名になったヒルズ族をからませ、惚れたはれたの恋愛話・・・と、いったところでしょうか?

この作品で、再びベストセラー作家に返り咲いた紅葉は、次が怖くて、打ち切る事ができず『続金色夜叉』『続々金色夜叉』『新続金色夜叉』と、亡くなる直前まで書き続け、皮肉にも作者ご自身が金色夜叉になってしまわれたようです。

きっと、次を期待された作家さんのプレッシャーたるや、大変なものでしょうねぇ~
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