大江戸心中ブーム
享保八年(1723年)2月20日、江戸幕府が男女の情死・・・いわゆる心中に厳しい規制をかけました。
その内容は、心中者の弔いの禁止、生き残った者は殺人罪、心中を扱った狂言・浄瑠璃等の上演、出版物の禁止などです。
・‥…━━━☆
このおふれを見るかぎり、いかに「心中」が流行ったにかがよくわかりますねぇ~。
幕府は大慌てです。
もちろん、ブームの火付け役は近松の心中物です。
元禄十六年(1703年)5月7日に初上演された『曾根崎心中』をはじめ『心中天網島』など・・・物語の内容は(11月22日参照>>)でどうぞ。
ところで、この「心中」という言葉・・・本来は死ぬ事ではなかったのです。
近松の作品の中でも、『長町女腹切(ながまちおんなのはらきり)』では、「悲しい事、むごい事、そこを死なぬが心中」とはっきり「死なない」と言ってます。
死なないで“心中(しんちゅう)をつくす”事、つまり、相手を思い、相手にすべてを捧げ、自分の人生を賭ける事が、本来の“心中”なのです。
具体的にどんな事をするか?と言いますと・・・
「誓詞」・・・これはその名の通り誓いを立てるわけですが、ウソをつく事に関してはやたら厳しい「熊野権現」に誓いを立てるので、現在の我々が「ハイ!誓います!」と口先だけで宣言するのとはわけが違います。
当時は、やぶれば必ず天罰が下ると、信じられていましたから・・・。
「放爪」・・・これは、なま爪をはがす事。とにかく痛そ~。
「切指」・・・指きりじゃありませんよ。ホントに切るんです。“おとしまえ”のように・・・。
「貫肉」・・・身体の一部に刃物を突き通す。怖い・・・
「断髪」・・・私は、これならやってもイイです・・・でも、昔の人にとってはけっこう苦痛だったんでしょうね。今なんかみんな好きで髪切りに行きますが・・・。
「黥(げい)」・・・男が女になる←ウソです・・・本当は、イレズミの事。時代劇などで、“○○命”なんて書いてあるの時々見かけますよね。これは最近の若い人は「タトゥ」とか言って、彼女の名前入れたりなんぞする人もいるんじゃないんでしょうか?
最初は、あくまで死なないで、誓いをたてる事が「心中」だったのが、だんだんとエスカレートしていって、最終的に「死をもって誓いを・・・。」という事に変化していったようです。
とにかく、「心中」という言葉の響きが、当時の人から見てもちょっとカッコよかったのか、幕府は、「心中」を「心中」と呼ばずに、ちょっとカッコ悪い言い方「相対死(あいたいじに)」と呼ぶように、おふれを出しています。
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コメント
こんばんは~。
心中がブームになるとは…(^_^;)
本来の意味にしても中には酷いものも
ありますな(>_<)
今の日本では起きることはないでしょうな。
歴史は繰り返すといいますが、、、
最後の落ち、笑えました(^o^)
投稿: 見習い大工 | 2007年2月20日 (火) 18時43分
見習い大工さん、こんばんは~。
でも、何だかんだ言いながら、昨年も「イジメによる自殺」が立て続けにおこったり、「有名タレントの後追い自殺」っていうのもいまだにありますよね~。
そーゆーのは流行ってほしくないですね。
やっぱり、おめでたい・・・「生田神社で結婚式する人が2倍になった」なんてブームは良いですけどね。
投稿: 茶々 | 2007年2月20日 (火) 20時30分