日本で最初のバーゲン!
明治四十一年(1908年)3月16日、東京の松屋呉服店が、この日から18日までの3日間「安売りをすると宣言」し、新聞紙上に大々的な広告を打ち出しました。
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これは、今で言うところのバーゲン・・・
そう、この明治四十一年(1908年)3月16日・・・日本で初めてのバーゲンセールが実施されたのです。
当日は開店前から長蛇の列。
朝・10時の開店と同時に、売り場にはお客が殺到し、てんやわんやの大騒ぎ・・・開店1時間後の11時には、入場制限をするほどだったそうです。
なんか、今とかわらない光景にほのぼのした気分になっちゃいますね~。
その内容を見てみると・・・
女丸帯:平日=20円を
当日=16円
お召し縮緬(ちりめん):平日=15円を
当日=12円
秩父銘仙類:平日=5円を
当日=4円
んん?
そんなに大騒ぎするほど安くもありませんね~。
半額にもなってない・・・2割引って感じでしょうか。
しかし、この時代「有名店が正札から値引きをする」なんて事は考えられない事だったんです。
さらに、大々的に新聞広告までやって、今までの常識を打ち破ったこの商法。
もちろん、これが大成功した事によって現在の半期に一度の有名ショッピングモール・有名ブランドバーゲンにつながっていくわけです。
常識を打ち破った商法・・・と言えば、少し時代をさかのぼって江戸は延宝元年(1673年)、常識を打ちち破る呉服店がオープンしました。
その店の表の看板には、「よろず現金、掛け値なし」と書かれています。
それまでの呉服商というのは、すべて訪問販売で、しかも支払いは年2回のまとめ払いでした。
時代劇などで、お嬢様が自宅の座敷に反物を並べて「どれにぢようかしら?」なんてシーンを見かけますよね。
あれは、別にお金持ちだから呉服屋を家に呼んで買い物するんじゃなくて、ごく一般の人もそういう買い方だったのです。
ところがそれを、ま逆に・・・“店に商品を並べてお客さんが現金を持って買いに来る”という、今ではあたりまえのシステムをここで、初めてやってのけたのです。
それが、越後屋呉服店・・・現在の三越です。
店構えは大きく、広いフロアに種類別に反物を陳列し、ある者は絹織物、ある者は羽二重・・・と商品別に担当を受け持った何十人もの手代が、お客さんの対応をします。
先に書いたように、すべて店頭販売の現金払い、値切っても一切値引きはしない、そのかわり、すべての商品に値札をつけ、いくらなのかを明確にし、その値段は他店より安い。
しかも、反物が一反もいらない時は半分に切って切り売りしてくれるし、急ぎの場合は、少し待っている間に、常駐しているお抱え職人が即座に仕立ててくれるという、まさにズボンのすそあげ方式。
今の小売店の基礎がここに集約されてますね。
この合理的な新商法は、またたく間に江戸中の大評判となり店は大繁盛しました。
まぁ、その後の財閥の発展を見れば、繁盛した事は言わないでもわかりますが・・・。
ついでに、余談ですが、この越後屋・・・無料の傘の貸し出しもやってました。
お店で買い物している間に、外で雨が降り出して来て、困ったお客さんに「どうぞ、ご使用ください」と傘を差し出します。
その傘には、大きく『越後屋』の名前が書かれていて、その傘をさして町を歩くお客さんは、まさに歩く広告塔・・・まく考えましたね。
今ではあたりまえの商法・・・でも最初に考えた人はすばらしい!
何十年・何百年経ってもその方法が行われているというのは、いかにすばらしかったがわかりますね。
今だとこんな感じの広告なのかな?・・・と、
想像して書いてみました~。
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コメント
いいですね。その広告。タイムマシンがあったら是非これを使って欲しい(笑)傘の話は聞いたことあります。何にせよ、はじめてやる、ということのインパクトって大きいですよね。こういうアイディアの話、面白いです。
投稿: さときち | 2007年3月16日 (金) 12時26分
バレンタインデーとチョコ、プロ野優勝とバーゲン、金利・手数料なしのローンの家電販売・・・これらは皆、私が小さい頃はなかった事でした・・・今も業界の皆さんはあの手この手を考え出していらっしゃるんでしょうね。
投稿: 茶々 | 2007年3月16日 (金) 17時18分