真田幸村(信繁)、最後の手紙
慶長二十年(1615年)3月19日付けで、真田幸村が義兄・小山田茂誠・之知宛に最後の手紙を送っています。
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前の年の11月に勃発した大坂冬の陣(11月29日参照>>)
12月4日の真田丸の攻防(12月4日参照>>)では、真田幸村(さなだゆきむら=信繁)の作戦で、見事!徳川家康に一泡ふかせた豊臣軍でしたが、じわじわと精神的に追い詰める家康の作戦に、開戦から1ヵ月後の12月19日、結局、豊臣側は不利な条件を承知で講和に応じました。(12月19日参照>>)
講和条件の中に、「豊臣秀頼が大坂城内に浪人を招き入れた事を罪に問わない」というのが含まれていたため、九度山を脱出して(10月9日参照>>)馳せ参じた真田幸村も、ひとまずは安全を保証されたわけで、お正月を迎える頃は、ひとときのやずらぎをかみしめていたようです。
最後の手紙の前に、幸村さんは正月24日付で、実の姉・村松さんに手紙を出しています。
「今回は、思いがけず合戦となって、我々も大坂城に来る事になってしまったけれど、その気持ち、わかってくれますよね。
僕も、もう死ぬかも・・・って思ってたけど、とりあえず講和って事になって、無事、何とか生きてます。
こんな状況だから、明日はどうなるかわからないけど、今んとこ無事に平穏な日々を過ごしてます。
いろんな事、話たいんだけど、何やかんやで忙しくって・・・。
とりあえず、近況報告しとこうと思ってね。」
今風にすると、こんな感じですかね。
勇猛果敢な武将からは想像できないようなやさしい手紙に、いかに心穏やかに過ごしていたかが伺えますね。
しかし、心穏やかな時もつかの間、家康は豊臣方がやるはずだった外堀の埋め立て工事を、「お手伝い」と称して、徳川方の人夫を総動員して一気に仕上げ、講和条件に入っていなかった内堀まで埋め立て始めます。
家康と秀忠が大坂を去るのを見届けた豊臣方は、当然約束になかった内堀を掘り起こし始め、新たに浪人を集め始めます。
しかし、この行動を家康はお見通し・・・というより、はなから狙ってた感がありますね。
家康は徹底的に、豊臣を潰したいわけですから・・・。
やがて、3月12日、家康のもとに「大坂方が挙兵の準備をしている」との報告が入ります。
家康は、すぐに駿府を出て、京都の二条城にいる秀忠のもとへ行き、次の戦いに向けての準備を始めます。
最後の幸村さんの手紙はちょうどこの頃書かれた物です。
日付は慶長二十年(1615年)3月19日・・・
宛先は、本家の信州上田藩主・真田信之の家臣・小山田壱岐守茂誠(しげよし)と、その子・主膳之知(ゆきとも)。
この茂誠さんは、先ほどの姉・国松さんの旦那さんなので、つまり義兄と甥っ子に宛てた手紙という事です。
「秀頼さんは、随分僕の事を信頼してくれてるみたいなんですけど、なんせ浪人から取り立ててもらった立場でしょ・・・大坂城には、大勢の直臣がいるから、気ぃ使いますよ。
とにかく、毎日頑張ってます。
何事もなければ良いなぁ~とは思ってますが、今の平和もいつまで続くかわからないし、明日どうなるかも予想できないこの頃です。
僕は、もうこの世にはいないものと思っていてください」
大坂城内が、少しあわただしくなってる雰囲気が手紙にも出ていますね。
事実、この後、3月26日には、徳川方で一回めの軍儀が開かれ、4月13日には、大坂城でも徳川を迎え撃つための作戦会議が開かれます。
幸村さんの思いとはうらはらに、5月の大坂夏の陣に向けて徐々に時代は動きはじめました。
(大坂の陣について【大坂の陣の年表】でどうぞ>>)
結局この3月19日の手紙が、真田幸村の最後の手紙となります。
大好きな幸村さま・・・
いつまで若いままやねん!
やっぱ、イラストにする時は20代の雰囲気で・・・。
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コメント
調べてみたら信繁と小山田茂誠とはあまり年が離れていないんですね。大河・真田丸での茂誠は最初から見事なひげがあったので10歳以上年が違うのかと思いました。
ところで今年の大河ドラマの主人公の真田家の3代(幸隆-昌幸-信之・信繁)と、来年の大河ドラマの主人公の井伊家の3代(直親と直虎-直政-直勝・直孝)は、似ているようで対極の経歴・親族関係のような感じがします。同じ赤ぞろえでありますが。
投稿: えびすこ | 2016年12月 9日 (金) 21時52分
えびすこさん、こんばんは~
来年の大河はどうなるんでしょうね。。。
今回の信繁(幸村)も史料が少なかったですが、それ以上にほぼ史料の無い人が主役で…
大丈夫かな?
と思う反面、それだけ創作し甲斐があるという期待もあり…てとこですね。
投稿: 茶々 | 2016年12月10日 (土) 02時30分