神社の鳥居の起源・種類
桜の開花予想が毎日のニュースで聞かれる今日この頃・・・今年は「気象庁の計算ミス」という話題もついて、神社・仏閣巡りには最高の季節を迎えようとしています。
何も遠くまでいかなくても、身近で、静かに落ち着ける場所はいくらでもあるはず・・・そこに名も無き春の花たちが可憐に咲いていれば、なおよろしい。
・・・て、事で今日は、神社の鳥居に関する豆知識を書きたいと思います。
・‥…━━━☆
まず、だいたいおわかりでしょうが、鳥居は神域を示す物・・・つまり、「そこから中は神様の領域ですよ」とういう意味です。
漢字での表記も様々あります。
「天門」「神門」「華(花)表」「額木」「鶏栖」「助木」「華門」「鶏居」「衡門」「華極」「鳥井」・・・と、これ全部「鳥居」の事です。
しかしながら、鳥居の起源はと言うと、これが、多々あってはっきりしません。
とりあえず、私が知るかぎりの由来を書かせていただきますね。
- 朝鮮半島から伝わった説
朝鮮半島の廟や村の入り口に建てられた赤い門・紅箭門(こうせんもん・フンサルムン)が、日本に伝わった。 - タイから伝わった説
タイの高門(ソム・プラト)が日本に伝わった。 - 古代の防御策説
古代の竪穴式住居の集落で家を守るために入り口に二本の柱を立てて垣根のようにした。 - 「於不葺御門」説
延暦二十三年(804年)に建てられた「於不葺御門(うえふかざるもん)」が、屋根の無い門だと思われる事から、これが起源ではないか?という説。 - 陰陽道起源説
右の柱が女柱で、左の柱が男柱で陰と陽を表している。
この門のような物を「とりい(鳥居)」と呼ぶ名前の語源も、色々あります。
- 古代インド説
古代インドで門をトラーナ(Torana)と呼ぶから。 - 中国の門柱=華表説
華表と書いて「とりい」と読む苗字があるのが、その証拠である。 - 「通り入る」説
神社に入る時必ず通るので「通り入る」と呼ばれ、それが訛った。 - 大臣参拝説
大臣のようにエライ人が通るので「臣入る(とみいる)」と呼ばれ、それが訛った。 - 「ここで待っとけ」説
昔、身分の低い人の事を「鳥」と呼んでいて、身分の高い人が神社に参拝する時、従っている低い人は中に入れてもらえず、「鳥はここに居ろ」と、ここで待つように言われた場所だから・・・。 - 「鴨居」と同じ説
住宅のなげしの下にある横木の事を「鴨居」というのと同様に「鳥居」と呼ばれるようになった。 - 「門居」変化説
門の事を門居(かどすえ)と呼んでいたのが、門=戸であるところから「とすえ」と呼ばれていたのが、さらに変化して「とりい」となった。 - 記紀神話由来説
神話の「天の岩戸隠れ」の時、天照大神を出すために長鳴鳥(ながなきどり・鶏)を横木に止まらせたという話から、この横木の事を「鶏栖(とりい)」「鶏棲木(とりすぎ)」と呼んだ事から。
起源も、名前の由来も、どれも、決め手となる物がないのが現状ですが、これは、「それだけ古い時代から鳥居という物が存在した」という証しでもあるわけで、ひょっとしたら、神話が誕生するもっと以前にその起源がさかのぼる可能性もあって、とてもわくわくしますね。
鳥居の形は、二本の縦柱に、笠木・島木・貫という3本の横木から造られている単純な形なので、一見どれも同じように見えますが、実はちょっとずつ違います。
その少しの違いが一つ一つの種類だと見ていくと、ものすごい種類の数になるのですが、大きく二つに分けて、「神明」系と、「明神」系に分かれます。
「神明」系は、シンプルで横木には島木がなく、笠木と貫の二本で、縦柱もまっすぐな物が垂直に立っています。
見た目、直線的な感じがするのが、この「神明」系でしょう。
素材も丸太などをそのまま使用したりしている物もあり、そこもシンプルです。
伊勢神宮や靖国神社、熱田神宮、鹿島神宮などが、この「神明」系の鳥居です。
それに比べて「明神」系は、仏教建築の影響を受けていて、やや曲線的。
横木は、笠木の下に島木が添えられていて、両端が反っているのもあります。
これを「反増(そりまし)」と言います。
柱も地面に垂直ではなく、やや斜めに立ち、根元に行くほど太くなっている物もあります。
これを、「ころび」と言います。
奈良の春日大社や大阪の住吉大社、京都・石清水八幡宮や安芸の宮島の厳島神社も「明神」系になります。
また、奈良県桜井市の大神(おおみわ)神社のように、横木がなく、縦柱二本の間に縄を張り巡らせたような物もあり、これも鳥居です。
また、数は少ないですが、寺院に鳥居がある場合もあります。
大阪の生駒にある宝山寺や東京・品川の東福寺弘法大師堂などにも鳥居があります。
今年は今頃になって寒い日が続いてますが、春は確実にやって来ています。
春の香りを求めて、お近くの神社の鳥居がどっち系なのか、見に行ってみてはいかがですか?
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コメント
初めまして。歴史を逍遙するのは楽しいですね。サミュエル・ハンチントンは今日の世界を8文明に分類されると、その内の日本だけが一国一文明
であると申しております。
日本文明は神社・神宮に収斂されるでしょう。決して渡来文化ではないのです。国外に答えを見つけようとするのは間違いだと思います。『ホツマツタヱ』という文献が1966年に発見されて以来、古事記、日本書紀との厳密な対比を行うことで記紀の原書であると池田満氏は結論づけています。この文献が現代に伝わった意味ははかりしれません。漢字以前の日本を是非知っていただきたい。鳥居についても、もちろん書かれています。
詳しくは、http://wosi.cocolog-nifty.com/blog/
投稿: 小祝年織(こいわいとおる) | 2012年6月 9日 (土) 09時10分
小祝年織(こいわいとおる)さん、こんにちは~
私も、記紀とは違う古代の歴史にハマった1人です。
「ホツマツタヱ」は「秀真伝」ですよね?
恥ずかしながら、小祝さんのように深く研究したわけではありませんが、昔は、学研「ムー」の愛読者でもありましたので…
いつの間にか学研「ムー」が、古代史というよりも、オカルト的な発想ばかりになって読まなくなり、以来、久しぶりにこの名前を聞きましたが、また、興味が湧いて来そうです。
ありがとうございました。
投稿: 茶々 | 2012年6月 9日 (土) 16時07分