青い目の人形・到着
昭和二年(1927年)3月18日、アメリカから送られた「青い目の人形」が日本に到着しました。
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「青い目の人形」という歌をご存知ですか?
♪青い目をしたお人形は
アメリカ生まれのセルロイド・・・♪
という歌いだしで始まる唱歌です。
最近は音楽の教科書にも載ってませんし、若いかたはご存知ないかも知れませんね。
私が小さい頃は、ほぼ全員が知ってるけっこうメジャーな童謡でしたが、最近はまったく耳にする事がなくなりましたね。
この歌は、この昭和二年(1927年)3月18日に、アメリカから送られた人形たちの事を歌った歌なのです。
当時、日本とアメリカの関係は、以前と比べて徐々に冷たいものになりつつありました。
日本で20年間、宣教師を務めていたシドニー・ギューリックさんは、その事を嘆き、何とかできないものか?と考えてしました。
そして、彼はアメリカに帰ったのをきっかけに、「アメリカの人形を日本の子供たちにプレゼントして、民間レベルでの交流をやってみよう」と思いつきます。
この運動は、彼の予想をはるかに超えて大きく広がり、教会や学校関係者・約260万人分もの募金が集まります。
こうして集められた募金で用意された1万2千700体の青い目の人形には、それぞれにパスポートが用意され、着替えのお洋服や靴まで持たせてもらって、船に乗り、太平洋を渡って、この日、日本にやって来たのです。
到着した人形たちは、小学校や幼稚園に送られ、各地で歓迎式など行われ大いに盛り上がりました。
もちろん、その後、日本からもお礼に・・・と、人形を受け取った学校の児童たちからの寄付で購入した58体の日本人形がお返しとして贈られました。
しかし、この人形たちは、後の世界情勢にその運命を翻弄される事になります。
そう、太平洋戦争です。
それぞれの人形が海を渡ってから14年後、日本とアメリカは敵と味方に別れて戦う事になってしまいました。
敵国の産物となってしまった人形の多くは処分され、日本では敵国・アメリカの象徴として見せしめのように、大勢の目の前で壊されたりもしました。
しかし、中には、非国民と呼ばれる事を覚悟して、大事に持っていた人もいたのです。
幸いな事に、現在のところ、日本では200体の「青い目の人形」の現存が確認されているそうです。
その中の一つ、群馬県の小学校に送られた「メリー」という名前の人形は、その小学校の教頭先生が大事に箱に入れて保管されていたそうです。
その先生がおっしゃるには、「私は、自分の教え子たちを、戦争へ行かせたくはなかった。このお人形のように大事に箱にしまっておきたかった。」のだそうです。
子供たちの身代わりだと思って大事にしていたんですね。
そして、アメリカに渡った日本人形は、そのうちの約半数が無事確認されているそうです。
その中の一つ、ノースカロライナ州立自然博物館に戦時中にもかかわらず飾られ続けていた「ミス香川」という名前のお人形には、「我々は平和と善意を、そして人間どうしが自由であるという信念を、今も捨ててはいない。この人形はかつての親善を表す友情の人形である」という意味の説明文がつけられていたそうです。
現存する人形たちは、戦火をくぐり抜けた友情の証し・・・次の世代にも受け継いでいってもらいたいお話です。
今日のイラストは、
両国のお人形にしっかりと手をむすんでもらいました~。
握ったその手は、もう、離さないでね!
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コメント
茶々さん、こんばんは。
書かれている記事の主人公とは違うけど、同じように、日本からアメリカに友好大使として出向いたミス茨城県の「筑波かすみ」の記事をTBさせて頂きました。
投稿: 御堂 | 2007年3月18日 (日) 23時31分
御堂さん、おはようございます。
里帰りのニュースは知りませんでした。
お人形には、「東 京子」とか「新潟 雪子」とか、それぞれその土地にちなんだ名前がつけられていたそうですが「筑波」は「かすみ」なんですね。
なんか、ハイカラな名前ですね。
投稿: 茶々 | 2007年3月19日 (月) 07時59分
わが故郷の小学校にも昭和2年7月米国からエミリーちゃんが来られ、全校あげて歓迎の歌が歌われたそうです。戦後も校長室に座って(箱入りですが)、親善大使となり、今も可愛いい瞳で迎えてくれると思います。子供たちの歌が未来の故郷にも大勢で響くように祈ります。
投稿: 樹美 | 2016年3月18日 (金) 14時05分
樹美さん、こんにちは~
イイですね~
エミリーちゃんは、まだまだお元気なのですね。
次世代にも伝えていってほしいですね。
投稿: 茶々 | 2016年3月18日 (金) 14時58分