なぞなぞのルーツ?室町の謎かけ
今日は、歴史のお話・・・というよりは、『コラム』っぽい感じで、室町時代に流行した「謎かけ」遊びについて書かせていただきます。
「謎かけ」と言えば、落語家さんたちがよくやる「○○とかけて、○○と説く、その心は・・・」というのを思い出しますが、室町時代に流行した“謎かけ”というのは、「なんぞ、なんぞ」と問いかけて、その答えをせまる・・・という、まさに、今で言う“なぞなぞ”のような物を「謎かけ」と呼びました。
・‥…━━━☆
『後奈良院御撰何曽(ぎょせんなぞ)』という物に、こんな問いかけがあります。
「上を見れば下にあり、下を見れば上にあり、
母のはらをとをりて、子のかたにあり」とは、なんぞ?
もちろん、答えは「一」ですが、これって、今でも“なぞなぞ”の問題として時々登場しますよね。
他にも・・・
「道風(とうふう)が、みちのく紙に山といふ字を書く」とは、なんぞ?
これは、「道風」から「みちのく=道を退かせ」て「紙=上」に山という字を書くので答えは「嵐」。
もう一つ・・・
「海の道、十里に足らず」とはなんぞ?
これは、「海の道=浜辺」で、「十里に足らず=十里に満たないという事で九里」・・・で、浜辺が九里→浜九里→はまくり→はまぐり→蛤・・・って、バンザ~イ、バンザ~イ(モーレツしごき教室・大喜利風)
ところで、この『御撰何曽』の中には、今では通用しない「謎かけ」もあります。
「母には二たびあひたれども父には一たびもあはず」とは、なんぞ?
これ・・・、答えは「くちびる」なのですが・・・
「母」「父」という言葉を発する時に、「母」の場合は2度くちびるが合うが、「父」の場合は一度も合わない・・・という事ですが、意味わかりませんよね。
現在は「母」の発音は「はは=HAHA」と発音し、ハ行は「ハ・ヒ・フ・ヘ・ホ=HA・HI・HU・HE・HO」というH音の発音をします・・・って、今書いて気付きますが、フは、「HU」と「FU」の2種類ありますね~。
そう、こういう風に当時のハ行は、現在のフ=FUと同じようにF音で発音していたんです。
つまり、「ハ・ヒ・フ・ヘ・ホ」は、「ファ・フィ・フ・フェ・フォ=FA・FI・FU・FE・FO」と発音していました。
ですから、「母」は「ハハ」とは発音せず「ファファ」って言ってたんですね。
・・・で、「母」と言う時は、「くちびるが2回合わさる」となるわけです。
この発音の違いは、やはり時代をさかのぼればさかのぼるだけスゴくなって行くわけで、奈良時代には、ハ行がF音だったのはもちろんの事、母音が「ア・イ・ウ・エ・オ」の5つだけではなく、8音あったと言いますから、きっと奈良時代の人が英語を習ったら、現代人よりはるかにネイティブな感じでしゃべれたんじゃないでしょうか。
もし、時代劇を本当にその時代にしゃべっていた言葉でやったとしたら、きっと字幕スーパー出さないとわからないんじゃないかと思います。
少し話がそれましたが、以前「小野篁」のページで書いた嵯峨天皇のクイズ
「子子子子子子子子子子子子」は、何て読むか?
(答えは小野篁のページで>>)
とか、
定子中宮が出して清少納言が答えた
「香炉峰(中国の山の名)の雪は、いかに?」
(答えは中宮・定子と清少納言のページで>>)
なんていうのも、“なぞなぞ”だと言えばそう言えなくもない気がしますが・・・。
それにしても、ハ行がF音の発音だったって事は、現在JとZが混ざっているザ行なんかも、違う発音だったんでしょうね~。
今日のイラストは、
『なぞなぞ』・・・で、思いつく物がなかったので、『遊び』というワードから、『鞠と独楽』を書いてみました~。
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