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2007年4月28日 (土)

鬼子母神のお話

 

毎月28日は、鬼子母神の縁日・・・という事で、今日は鬼子母神について書かせていただきます。

・・・・・・・・・・・・

「恐れ入ります・・・恐縮します」と言うところを「恐れ入谷(いりや)の鬼子母神」という、昔懐かしいダジャレで有名な東京入谷鬼子母神堂をはじめ、多くの信仰を集めている鬼子母神は、一般的には、出産や保育の神様・・・時には盗難よけの神様として、各地で祀られています。

鬼子母神は、もともとインドの神様で、サンスクリット語で「ハーリティー(Hariti)」と言い、それを音訳して「訶利帝(かりてい)と呼ばれたり、意訳して「鬼子母神(きしもじん・きしぼじん)と呼ばれたり、「鬼女」と言われる事もあります。

『雑宝蔵経』第九では、彼女は老鬼神主・般闍迦(はんじゃか)=パーンチカ(Pancika)の奥さんで、かなりのべっぴんさん・・・しかも、子供が一万人!(←どんだけ産んでんねん!)

ただし『鬼子母経』では、子供は天上に500人、世間に500人の合わせて千人・・・となっていますが、とにかくメッチャたくさんの子供がいたわけです。

しかし、彼女は「鬼女」・・・主食は人間の子供なのです。

そして、子育ては体力が勝負・・・彼女は自分のかわいい子供たちを育てるために、せっせと人間の子供をさらってきては食べていたのです。

恐れおののいた人々は、彼女の事をお釈迦様に相談します。

お釈迦様は人々の訴えを聞いて一計を案じ、彼女が、旅に出ている隙に、彼女がわが子の中でもたいへんかわいがっている末っ子嬪伽羅(ひんぎゃら)を、鉢の底に隠したのです。

7日間の旅から帰って、嬪伽羅がいない事に気づいた彼女は、気も狂わんばかりに探し回りますが、どこを探しても見つかりません。

困り果ててお釈迦様のところに訪ねていきますと、お釈迦様は物静かに、やさしく彼女を諭します。

「お前には、1万人の子供がいるのに、たった一人の子供を失っただけで、そんなに取り乱すとはどーゆーこっちゃ。
人間には、お前ほどたくさんの子供は産む事はできひんねんで。
そのかわいく尊い命を、お前は奪ってたんやで~。」

彼女は子を持つ親の心を知り、「嬪伽羅が無事に戻るのであれば、必ず世の子供たちの守護神になろう」と誓い、その後は人間の子供を食べる事をやめ修行に励んだので、保育の神様として崇められるようになったのです。

鬼子母神は『法華経』を大事にする事、大事にする者を護ると誓っている事から『法華経』を経典とする日蓮宗では、特にこの鬼子母神が崇拝されています。

懺悔した鬼子母神は、とても美しい天女として描かれます。

ふところには、赤ちゃんを抱き、やさしく左手を添えて、右手には「ざくろ」を捧げ持ちます。

この「ざくろ」は、その味が人間の肉に似ているので、人間の子供を食べるのを我慢するために好んで食べた物だと言われたりもしますが、それは鬼子母神の名誉のためにも、「間違い」である事を知っていてあげて下さい。

本当の理由は・・・「ざくろ」の実は中にたくさんの種を持っていて、それぞれがまた「ざくろ」に成長して実をつけるという、子孫がたくさん増えるという意味が一つ。

そして、その実は固い外皮に覆われて大事に守られている事から、子供を守るという彼女の思いがこめられている、という意味とで「ざくろ」を持っています。

彼女が持つ「ざくろ」は「吉祥花(きっしょうか)と呼ばれます。

また、鬼子母神の「鬼」という文字・・・

鬼子母神という名前に用いる時だけ、この「鬼」という字の上の点をを取って
Kisibozinmozicc_1
と表記します。

実際には無い文字ですが、改心して頭の角が無くなったという意味でこの字を使うのだそうです。

Kisibozincc_1 今日のイラストは、
やはり『鬼子母神』で・・・

鬼女ではなく、慈愛に満ちた女神の姿で・・・
 .

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コメント

画像使わせていただきます

投稿: 王冠 | 2010年4月 6日 (火) 12時05分

王冠さんこんばんは~

はい!
商用でなければ、使っていただいても結構ですよ。

投稿: 茶々 | 2010年4月 6日 (火) 22時32分

すみません。事後承諾でになりますが 鬼子母神画像を使わせて頂きました。
楽天ブログで公開しました。

私に似ていたので 使わせて頂きました。f-ー;

投稿: うま蔵 | 2011年3月 9日 (水) 00時03分

うま蔵さん、ご報告ありがとうございます。

よろしければ、画像のそばに「○○から引用」みたいな形で、ブログ名など表記していただければありがたいです。

投稿: 茶々 | 2011年3月 9日 (水) 01時25分

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