奈良・平安の食生活 グルメの醍醐味
今日は奈良・平安の食生活についてのちょっとした豆知識を・・・。
・‥…━━━☆
奈良時代の食生活は、正倉院の文献や出土する木簡などで、意外と自由で豊富だった事がわかっています。
まずは主食のお米・・・これは玄米だけでなく白米も食べられていました。
野菜類も、青菜や蕗(ふき)、大根、芋、茄子、わらびなど、多くの種類の物が食されていました。
肉類は、鹿やイノシシが主でしたが、雉(きじ)などの鳥系も食べられていました。
そして、やはり日本人と言えば魚介類・・・これは、もうかなりの種類です。
魚の代表格は、堅魚(かつお)、烏賊(いか)、鮒。
貝類では、主に鮑(あわび)や、白貝(おう)と呼ばれる大きなはまぐりがありました。
海草もワカメやアラメ・・・特に寒天原藻類が人気だったようです。
これらを調理する調味料は、すでに大豆や小豆で、醤(ひしお・醤油)や未醤(みしお・味噌)が製造されていましたからバッチリ味付けできた事でしょう。
お米は現在のように「炊く」というよりは「蒸す」のが主流でいわゆる「強飯(こわめし)」というヤツです。
野菜は、菜っ葉類は今と同じように茹でたり煮たり・・・大根や瓜などは塩漬けにして食べていたそうです。
魚はすぐに食べる時は焼いたりしましたが、主に塩漬けや干し物として保存食として重宝されていました。
汁物や和え物も豊富で、意外と現在と変わらないグルメな食生活だったようです。
中でも特筆すべきは乳製品。
『医心方(いしんほう)』という文献によると・・・
「牛乳を煮詰めてかゆ状にした物が“酪(らく)”。その酪をさらに煮詰めて半固形になった物が“蘇(そ)”」
という製造法が書かれていて、この蘇は、古代のチーズとして有名ですね。
そして、蘇にはさらに上があったようです。
『涅槃経(ねはんぎょう)』という経典には、その製造法は書かれていませんが、味の深みが書かれています。
「牛乳を煮詰めて・・・乳味→酪味→生蘇味→熟蘇味→醍醐(だいご)味という風にどんどん味に深みが出てくる」とあります。
もちろん『涅槃経』は経典ですから、これらの食品を紹介しているのではなく、「食品の味に深みが出るように仏教の悟りが深まっていく」という部分の例えとして使用されています。
つまり、醍醐というのは究極の味・・・なので、その物の「一番オイシイところ」という意味で、現在でも「これが○○の醍醐味(だいごみ)なんです」という使い方をされますよね。
奈良時代にどれだけ酪農が行われていたのかは、はっきりとした記録はありませんが、平安時代にはすでに、『延喜式(えんぎしき)』で、“蘇”を全国から税金として納めるように定められていますので、けっこうな広範囲で酪農が行われていた事が伺えます。
ただし、このような豊富な食材を味わえるのは、やはり山や海の近い場所に限られていて、奈良や平安の都では、あまりグルメな食生活とは言えなかったようです。
都に住む貴族たちは、野菜も茹でや生では無理なので、漬物になりますし、魚も干物か塩漬けになってしまいます。
清少納言や紫式部の日記などに、あまり食事の話が登場しないのも、やはり宮廷の食事という物があまり魅力的な物ではなかったからかも・・・
ただし、『枕草子』には、「削氷に甘葛煎(あまかずら)入れて、新しき鋺(かなまり)に入れたる・・・」という描写があり、「カキ氷」を食べていた事は書かれていますね(8月5日参照>>)。
平安貴族って、ほとんど外に出ないインドア派で、食事も栄養が偏っていたようで、常に便秘に悩まされ、かなり不健康で病気がちだったようですね。
ひょっとして、今より「メタボ」が多かった?のかも・・・。
今日のイラストは、
「醍醐」という物を想像して書いてみました~。
酪を煮詰めて半固形になった物が蘇で、その蘇がチーズだとしたら、熟蘇はチーズをさらに熟成させた物・・・その上をゆくのが醍醐なら「ブルーチーズ」のような物だったのかな?と・・・。
形はお餅のようにしてみました~。
ちなみに、好き嫌いが別れるブルーチーズですが、私は好きです。
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コメント
わかりやすく奈良時代のことを書いてくださりありがとうございましたw
投稿: あほw | 2010年5月26日 (水) 11時51分
あほwさん、こんばんは~
コメントしてくださり、ありがとうございました。
また、遊びに来てくださいo(_ _)o
投稿: 茶々 | 2010年5月26日 (水) 22時00分