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2007年7月30日 (月)

夏バテに鰻は万葉の昔から・・・土用の丑の日にちなんで

 

今日は、『土用の丑の日』
なんだかんだ言いながらも、きっちりウナギを買い込んで参りました~。

「土用」というと、何だか夏のイメージがありますが、実は年4回あります。

もともと中国から伝わったあの『五行説』
宇宙や運命が「木・火・土・金・水」の五つの元素から成り立っているとするアレです。

そして、二十四節季(くわしくは10月8日参照>>)の中の、立春・立夏・立秋・立冬の日の前の18日間は、五行説の「土」が活発に活動する時期であるとして、その期間を「土用」と呼び、その期間内にある「丑」の日が「土用の丑の日」という事です。

ちなみに、今年は8月8日が立秋です。

・・・で、この土用の丑の日にウナギを食べるようになったいきさつが、平賀源内(11月21日参照>>)宣伝コピーだというのは有名な話で、いまさら・・・って感じですが、一応、書かせていただくと・・・

夏の暑い真っ盛り、人々の食欲はどうしても、冷たいそうめんとか、あっさりしたそばへと向き、ウナギ屋はてんで商売になりません。

・・・で、困ったウナギ屋の主人が、マルチな天才・源内先生に相談した所、その場にあった紙に、サッサ~と『土用の丑の日』と、書いたのです。

要するに、これは、販売促進ポスター。

この『土用の丑の日』というポスターを店頭にかかげて、「土用の丑の日はウナギを食べよう!キャンペーン」をはれ!と・・・。

そして、このキャンペーンが大ハヤリ!

各ウナギ屋が夏にはポスターを貼るようになり、今じゃ、年中行事のように土用の丑の日には、ついついウナギを食べてしまうんですよね~。

しかし、この夏場にウナギが売れない・・・というのには、「暑い」という以外に、もう一つ理由があったんです。

それは、「夏場のウナギはマズイ」という事を江戸の市民が知っていたからなのです。

もちろん、今では養殖技術も発達して、年中おいしいウナギが店頭に並んでいますが、江戸時代のウナギは、ほぼ天然物・・・。

当時は、冬眠準備のために、たくさん餌を食べる冬場のウナギが脂がのっていて、最高にオイシイとされていました。

それと、産卵のために川を下る頃の秋。
そして、大好物の川海老を食べまくる食用旺盛な春。

ですから、何にも無い夏場のウナギには、人々は見向きもしなかったワケです。

・・・で、源内先生の考えた『体力の落ちる夏の季節に、栄養たっぷりのウナギを食べようキャンペーン』で、夏場のウナギも売れるようになって、めでたし、めでたし・・・

・・・なのですが、実は、「体力の落ちた夏場にウナギを食べる」というのは、万葉の昔からあった習慣なんですね~。

あの『万葉集』の編者である大伴家持(おおとものやかもち)が、その『万葉集』に自分自身の歌を載せています。

♪石麻呂(いわまろ)に 吾物申す 夏痩(なつやせ)
 よしと云ふものそ 鰻
(むなぎ)とり食(め)せ♪

石麻呂というのは家持の友人。

彼が、げっそりと痩せてしまったので、「夏痩せにはウナギが良いって言うから食べてみなよ」と、励ますというか、からかうというか、そんな感じの歌です。

まぁ、当の石麻呂さんも

♪痩す痩すも 生けらばあらむ はたやはた
 鰻を取ると 川に流るな ♪

「痩せてる、痩せてるって・・・なんぼ痩せとっても、命はあんねんからほっといて!鰻を取りに行って、川に流されたら死んでまうやないかい!」
なんて返してますから、心配はなさそうですが・・・

博学の源内先生・・・おそらく万葉集はご存知のはず。
(江戸時代はごく普通の庶民でも読んでたらしいですから…)

ウナギ屋の主人から相談を受けた時、この家持の歌を思い出したのでしょうね。

キラ~ン★「これは使える!」と、ひらめいた!

しかし、たとえ家持のパクリ・・・いや、オマージュであったとしても、おかげで夏のウナギは大ヒット商品となり、300年ほど経った今でも、ほぼ原型のままの『土用の丑の日』というポスターが使用されているなんて・・・「源内先生、さすが!」って感じですね。

そんな源内先生は、もう一つ・・・大ヒット映画ならぬ、大ヒット浄瑠璃とのコラボ商品も販売しちゃってます。

そのお話は10月23日【新田義興の怨念?神霊矢口の渡し】でどうぞ>>

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今日のイラストは、
元祖の大伴家持さんに、『土用の丑のうな重』を体験していただきました~。

ん~おいしそ~!今夜が楽しみだ!

ちなみに、大阪では、一般的なウナ丼のご飯の部分に、もう一段ウナギが入ってて2階建てになってるウナ丼「まむし」と言いますが、それは千日前「いづもや」の商品名だったので、「いづもや」が撤退した最近は、あまり「まむし」とは呼ばれなくなったみたいで寂しいです。
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