全員討死!岩屋城の激戦
天正十四年(1586年)7月27日、九州全土を手に入れようとする島津氏が、大友氏の筑前・岩屋城を攻略しました。
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天正十三年(1585年)の3月~4月には紀州を、6月~7月には四国を平定し、着々と天下統一への道を歩んでいた豊臣秀吉でしたが、九州地方は未だ手付かずでした。
逆に、その前年の沖田畷(おきたなわて)の戦い(3月24日参照>>)で肥後(熊本県)の龍造寺氏を破った薩摩(鹿児島県)の島津氏が、まさに九州全土を手に入れんと破竹の勢いです。
そして、この天正十四年(1586年)7月・・・いよいよ島津氏は本格的に筑前(福岡県)攻めに取りかかるのです。
7月14日、まずは、筑前・岩屋城への攻撃が開始されます。
この時の島津軍には、先の沖田畷の合戦で敗れた龍造寺氏を引き継いだ鍋島直茂や秋月氏も加わり、その兵力は10万とも言われ(実際にはこの半分以下くらいだと思われますが・・・)、戦国九州での合戦においては最大級の動員数となります。
一方の岩屋城を守るのは、大友方の岩屋城主・高橋紹運(しょううん・鎮種)以下、760名余りだったと言います。
大友氏は、あの天正六年(1578年)の耳川の戦い(11月12日参照>>)に敗れて以来、大友宗麟(そうりん)がキリシタンの王国を夢見た頃の勢いはすでになく、衰退の一途をたどっていました。
城の兵たちは、それこそ決死の覚悟で戦いに挑みますが、この兵力の差は、どうしようもなく、とてもじゃないが、太刀打ちできません。
しかし紹運は、島津方が出した開城の申し出を断り続け、わずかな兵で2週間も抵抗をしたのです。
やがて天正十四年(1586年)7月27日・・・自らが生き残っているわずかな兵を率いて、玉砕覚悟で城の外に討って出ます。
そして、壮絶な死闘の末、紹運たちは全員討死となるのです。
岩屋城を落とした島津方の大将・島津義弘(よしひろ)は、そのままの勢いで、紹運の息子・立花宗茂(むねしげ)のいる筑前・立花城に攻めかかります。
しかし、ここで宗茂は踏ん張り、なんとか立花城を死守します。
そして、この時、立花城を守り抜いた宗茂は、さらに翌年、宗麟の要請を受けて(4月6日参照>>)九州へ乗り込んできた豊臣秀吉の力を借りて、筑前攻めから豊後(大分県)攻めへと方向転換した島津を撃退し、大友氏の本拠地・豊後を守りぬきます。
そのまま、秀吉傘下となった宗茂は、秀吉の九州征伐に大いに貢献する事となるのです。
大友氏は、宗麟の息子・大友義統(よしむね)の代に改易となってしまいますが、宗茂は九州征伐での功績を買われ、大友氏から独立した大名となるという大出世を果たします(11月3日参照>>)。
現在、岩屋城跡には『嗚呼壮烈岩屋城跡』と書かれた石碑が建っているそうですが、壮絶な最期をとげた紹運さん・・・自慢の息子の大出世に、少しはお心が晴れたでしょうか?
♪かばねをば 岩屋の苔に 埋みてぞ
雲居の空に 名をとどむべき♪
-高橋紹運・時世ー
今日のイラストは、
紹運さんの時世を聞いて描いたイメージから『岩屋城跡』を書いてみました。
強固な山城だったという岩屋城・・・紹運さん、あなたの名前は、この平成の世にも残りましたよ。
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コメント
茶々様 おはようございます。
ここで、コメント無いのはあまりにもさみしいです。
高橋紹運も、ホントに名将ですよね。
比較的最近の歴史雑誌でも4ページ使って取り上げられてましたよ。
確かに平成の世にまで名は残りました。
これからもずっと残ることでしょう。
日本史有る限り。
投稿: エアバスA381 | 2014年5月31日 (土) 09時32分
エアバスA381さん、こんにちは~
おっしゃる通り高橋紹運はかなりの名将ですね。
ファンはけっこう多いと思います。
投稿: 茶々 | 2014年5月31日 (土) 14時45分
岩屋城の戦いで壮絶な戦死を遂げてしまった高橋紹運は、勇猛果敢にして律儀者ではないでしょうか。何しろ紹運は、主君である大友宗麟(剃髪前は、義鎮)に対して、忠節を尽くしましたからね。家臣の中には、大友家の衰退を目の当たりにした武将もいたでしょうが、紹運は、息子の立花宗茂と共に、宗麟を見捨てたりしなかったのは、紹運なりに、武将としての筋道を貫くことを決意したのでしょう。私の中で紹運は、徳川家康に忠節を尽くした本多忠勝にも、勝るとも劣らない名将だと思います。
投稿: トト | 2016年7月26日 (火) 13時16分
トトさん、こんにちは~
高橋紹運は戦国ファンの間でも人気の武将ですね。
カッコイイです、
投稿: 茶々 | 2016年7月26日 (火) 17時10分