河童忌なので、河童のお話
昭和二年(1927年)7月24日は、作家・芥川龍之介さんのご命日です。
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後世にまで残るすばらしい作品を残して、子供たちに『人生は死に至る戦いなることを忘れるべからず。従って汝らの力の恃(たの)むことを忘る勿(なか)れ。汝の力を養うのを旨とせよ』という遺書を残して、35歳という若さで服毒自殺をはかった芥川龍之介。
その代表作にちなんで、この日を『河童忌』と言うのだそうです。
・・・て事で、今日は『河童』のお話を・・・
(芥川龍之介の話でなくてすいません<(_ _)>)
・‥…━━━☆
河童って・・・そう、河童ほど有名な妖怪はいないんじゃないかと思うくらい有名な妖怪。
緑色の身体をして背中に甲羅、頭に皿を乗せ、手足には水かきがついている・・・どこかユーモラスで憎めないそのキャラクターは、日本全国にその伝説を残し、「カワタロウ」「ミヅチ」「カワウソ」「カワランペ」など、180種以上にも及ぶ名前で呼ばれているそうです。
あの柳田国男先生がおっしゃるには「水の神が落ちぶれて妖怪となったもの」・・・なのだそうですが、確かに、神様のように人に幸せを与えてくれるかと思えば、妖怪のようにイタズラをしたり、時には、人を死に追いやる事も・・・。
しかし、こんなに有名かつ全国ネットでそのイメージが定着している河童さんですが、今ひとつそのルーツがはっきりしません。
中国の河の神様「河伯」が日本に伝わったという説が有力ですが、中国には「河伯」の姿がどのようなものなのかは残っていませんし、肝心の「頭にお皿」というのも、どうやら日本独自の物のようです。
また、明治の頃に神戸で総領事となっていたポルトガルの文学者・ベンセスラオ・デ・モラエスという人は、あの鉄砲伝来以来、様々な物がポルトガルから輸入された事によって、ポルトガル語がそのまま日本語として使われている事に大変興味を持ち、その分類をした本を書いているのですが、その中には、あの有名な「天ぷら=テンペロ」「金平糖=コンフェイト」や「煙草=タバコ」に混じって、「河童=カーパ」という単語が書かれています。
・・・って事は、河童はポルトガル語?
ポルトガルにも河童はいるの?
もしかしたら雨合羽=アマガッパの事?
でも、文字は確かに『河童』となっているそうで、それならやっぱり、妖怪のカッパの事なんでしょうかね。
河童は、人や馬を水中に引き入れたり、水中で尻子玉(昔、お尻にあると信じられていた玉)を抜いたり、誰かれ無しに相撲を挑んで田畑を荒らしたり・・・。
しかし、トイレに潜んで女性のお尻を触った時には、人間に捕まって片腕を斬られてしまい、「もう、しません」と証文を書かされ、斬られた腕を返してもらう代わりに、その斬られた腕が元通りに治るという妙薬の作り方を伝授したりもしています。
また、「助けてくれたお礼に」と、お酒の湧き出る徳利を置いて帰り、その徳利をもらった酒びたりの男が、もらった途端にピタッと酒を断って、まじめに働き出した・・・なんていう善行の伝説も残っています。
この良い事の伝説は、なぜか九州に多く、九州には妖怪としてではなく、水徳の神・安産の神・水難除けの神として河童を祀る神社もあるそうです。
久留米の水天宮には、その近くを流れる筑後川に住んでいた河童の総大将が、水天宮の祭神にさとされ、イタズラをやめて神様の子分になった・・・なんていう伝説も残っています。
ちなみに、水天宮の祭神って、源平の壇ノ浦の合戦で、海のもくずとなった安徳天皇(3月24日参照>>)なのですが・・・神代の昔の伝説ではなく、けっこう最近の話なんですね~と思ってしまいました。
もう一つ。
門司の天疫神社には、海御前(あまごぜん)様という女性の河童の神様が祀られているのですが、実はコチラも壇ノ浦の平家関連のお話です。
壇ノ浦の合戦に敗れ、やはり身を投げた能登の守教経(のりつね)の奥さんが、その死後に河童の総元締となり、河童のイタズラをやめさせて河童の被害が激減した事から、この地方の人々が感謝して、神と崇めたのだそうです。
こうしてみると、やはり河童は妖怪というより神様に近いような気がしますね。
河童が「キュウリ好き」(お寿司のカッパ巻きの由来になった)というのも、水神信仰と結びついている証拠ですし、水霊が嫌う「金物」を河童も嫌うという事なので、どうやらと河童は水神様の子供(童)いうのが、本当の姿なのかも知れませんね。
イタズラは、子供ゆえの「若気の至り」ってとこでしょうか。
今日のイラストは、
かわいい『河童ちゃん』を書いてみました~。
天気の良い日は「甲羅干し」って感じで・・・。
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コメント
カッパはなんだか憎めないですねえ。ウツの4歳の孫は、本当にいると今でも信じています。それで、水辺を怖がって、川遊びや海は苦手。プールでスイミングはやっているんですけどねえ。
投稿: 乱読おばさん | 2007年7月24日 (火) 16時26分
4歳ですか・・・かわいいなぁ~
本来、河童はそういうものなんでしょうね。
幼い子供に川遊び、水遊びの危険を教えるための存在だったのかも知れません。
投稿: 茶々 | 2007年7月24日 (火) 17時55分