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2007年7月 8日 (日)

「質屋の日」に質屋の歴史

 

7月8日は、「しち(7)(8)の語呂合わせで、『質屋の日』(全国質屋組合連合会が制定)という記念日なのだそうです。

・・・て事で、今日は『質屋の歴史』を書かせていただきます。

・‥…━━━☆

質屋が誕生する前に、そもそも、借金・・・そして、借金に利子がつく・・・という制度はいつの時代からあったのでしょうか?

実は、これが想像以上に古い・・・

日本では弥生時代・・・

外国では、四大文明が起こるもっと以前、人が農業という物を始めた初期の頃から、「春の種まきの時、知人に種子を貸してもらったら、収穫時には借りた分より多く返す」という習慣は存在していたそうで、貨幣が誕生する以前から「利子」という物が存在していた事がわかります。

やがて、古代・ギリシャや古代・ローマの時代になると、哲学者たちは、皆、思い悩みます。
「命のない金という物が子を生んで良いものか?」と・・・。

多くの宗教で「利子」「悪」とされました。
『旧約聖書』にも、「利を取りて金を貸すべからず」と記され、シェイクスピア『ベニスの商人』なんかを見ても、「貸し金業=悪」という考えが浸透しているのがわかります。

しかし、ほとんどの宗教で禁止されてはいても、金に困ると「なんとかせねば」と思うのは人の常・・・となると、人はいつの時代でも「抜け道」というのを考えるもので・・・

たとえば、お金のない人が、お金持ちに自分の持っている1万円くらいの品物を、10万円で買ってもらって、一定の期限内に、その品物を20万円で買い戻す・・・

たしかに、これなら「利子」ではありません。

こうして、戒律を守るための策として、質屋という物が誕生しました。

やがて、宗教改革があり、資本主義経済が発達するにつれて、「貸した物に利子がつくのは当然」という考え方に変化して行き、貸し金業も正統な商売とみなされるようになりますが、一旦生まれた質屋という商売も、平行して生き残って行くのです。

Miseya110 一方、日本では・・・
歴史上、宗教的な面で「利子」が戒律として、規制されたのかどうかは存じないのですが(ご存知のかたは教えてください)質屋の歴史は、かなり古いです。

奈良時代や平安時代には、すでに園地や宅地などを質入してお金を借りている記録があり、『大宝律令』では、その利息の最高額を規制しているくらいですので、けっこう盛んであり、かつ問題も生じていた事がわかります。、

ただ、当時は専門の質屋さんではなく、貴族や寺院などが、兼業で貸付をやっていたようで、先の外国の時と同様、「お金持ちのところに借りに行く」という感じの物だったようです。

やがて、鎌倉時代になって『無尽銭(むじんせん)と呼ばれる商売としての質屋が誕生します。

室町時代には『土倉』という名前に変わりますが、当時は酒屋が質屋も兼業する事が多く、そういう場合は『酒屋土倉』と呼ばれました。

『質屋』という名称になるのは、やっぱり江戸時代から・・・この頃には、時代劇でよく見るお馴染みの光景の質屋となります。

ところで、当時の質屋さんの目印でもある『将棋の駒』・・・
これは、「店の中に歩いて入ると向こうで金に成る」というところから使用されるようになりました。

江戸時代は、かなりユニークな品物の質入れも多くあったそうで、伊勢の旅館「井戸」を質入した話や、ある歌人「露」という字を質入したなんていう話が残っているそうです。

お金を返すまで、歌に「露」という字が使えない・・・というワケですね。
いったい金額はいくらだったんでしょう?気になります~。

やがて、明治時代には『一六銀行(1+6=7)というニックネームで親しまれ、けっこう繁盛しました。

現在では、お店の前には、ブランド品がズラリと並んで、昔の質屋さんのイメージとは違った店構えのお店もよく見かけますね。

「お金を借りる」というよりは、「地球にやさしい&もったいない」という最近の風潮からリサイクルショップとして利用されている方も多いんじゃないでしょうか?
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コメント

初めまして、ハルマチの吉積と申します(^^)

「質屋」について改めて
勉強していて、こちらに辿り着きました。

内容がとても素晴らしいので、プログで
是非、紹介させてください。

駄目だったら、仰ってくださいませ。
削除します。m(_)m

http://blogs.yahoo.co.jp/kankichi0613/33841428.html

投稿: 福岡の質屋ハルマチ 吉積佳奈 | 2008年8月22日 (金) 19時46分

福岡の質屋ハルマチ 吉積佳奈さん、
ご訪問そしてコメントありがとうございます。

当方はリンクフリーですので、どのようにリンクしていただいても結構ですよ。

(できればいい感じでリンクしていただけると、よりウレシイですが・・・)

また、遊びに来てくださいね。

投稿: 茶々 | 2008年8月22日 (金) 23時27分

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