お中元の起源と歴史~なぜ中元に贈り物をするの?
ただ今お中元シーズン真っ只中ですね~。
「ボーナスも出たし、家族みんなでお買い物に出かけて、帰りにお中元を吟味しよう」ってな感じですかね。
ところで、お中元って何?
なんで、贈り物を贈るの?
・・・って、事で今日は、『お中元の起源と歴史』についての豆知識です。
・・・・・・・・
そもそも、お中元というのは、7月15日の事。
1月15日の上元、10月15日の下元とともに「三元」と呼ばれる年中行事の一つなのです。
古代に中国から伝わった7月15日の中元の日は、贖罪(とくざい・しょくざい)・・・つまり、今まで犯した罪を償う日として、その日一日、庭で焚き火をする習慣がありました。
そして、7月15日は、もう一つ・・・孟蘭盆会(うらぼんえ・お盆)という行事があります(8月13日参照>>)。
地方によっては、1ヶ月遅れの8月に行いますが、記録によれば推古天皇十四年(606年)、7月13日~16日にかけて、宮中で初めてお盆の行事が行われています。
つまり、昔々の時代には、お盆の行事とお中元の行事が、同じ日に平行して行われていたのです。
やがて、室町時代になると、お盆の行事が死者を迎えて、その魂を供養するのに対し、お中元の行事は「生身玉」あるいは「御めでた事」と呼ばれ、「今生きている事を喜ぶ」「無事を祝う」という、生きている人のための行事に変わっていきます。
朝廷や武家の間では、親戚や知人の家に訪問し合って、交流を深め、お互いの無事を喜ぶ・・・といった事が盛んに行われるようになるのです。
やがて、江戸時代になると、その風習はもっと盛んになりますが、そうなると、交際範囲の広い人は、中元の日の一日だけでは対応しきれなくなってきます。
・・・かと言って、知らん顔するわけにはいきませんから、そういう人は中元の日の前後に、贈り物をしたり、手土産を持って挨拶に行くようになるのです。
江戸時代のお中元の人気商品はうどんやそうめん・・・やはり、お盆の時にお渡しするのが理想とされていました。
明治維新後は、使者を使って贈り物を届けて礼をつくす・・・といった形になり、その期間も7月の上旬頃から・・・と、現在のような形になっていきます。
そして、いつしか、その贈り物の品物自体の事を中元と呼ぶようになり、本来の意味は歴史の彼方に消え去り、「親しい人、お世話になった人にお中元を贈る」という事になったわけです。
でも、親しい人や日頃お世話になってる人は別ですが、中には日頃、御無沙汰していて、お中元を送る事によって、お互いの無事を確認してる・・・なんて、仲の人もいるかも・・・
もし、そんな関係の人がいるなら、ある意味、それが本来のお中元の姿かも知れません。
さらに、その御無沙汰を反省し、ご挨拶する事によって、少しでも日頃の無礼をつぐなえるなら、なお本来のお中元=罪を償う・・・という事になるでしょうね。
今日のイラストは、
お盆も近いという事で・・・
円山応挙のようにはいきませんが『幽霊図』・・・自分で書いてても、ちょっと怖い~
*今では、季節が違うだけで、ほぼお中元と同じ形になってしまったお歳暮ですが、その由来はまったく違います・・・そのお話は12月20日のページで>>
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コメント
とってもお勉強になりました!
応援させていただきます!ぽちっ♪
投稿: ちろ | 2007年7月12日 (木) 00時30分
ちろ様・・・コメントありがとうございます~
>とってもお勉強になりました!
なんて、言っていただけるとうれしいです。
投稿: 茶々 | 2007年7月12日 (木) 11時53分
お中元の起源について調べていて、
こちらにたどり着きました。
わかりやすくて楽しいし、とっても参考になりました!
学者でなく一般の方なんて、すごいです!!
歴史版:池上彰さん…ていう感じです!
差し支えなければ、室町時代に触れている内容の参考文献を教えていただけませんか?
震災後のせいか、とても印象的な内容でした。
また覗かせていただきますね♪
ありがとうございました。
投稿: ちこはな | 2011年4月10日 (日) 01時43分
ちこはなさん、こんにちは~
コメントありがとうございます。
4年前のページなので参考文献の記憶も薄れがちなんですが、とりあえず現在も持っている書籍は、参考文献>>のページにリストアップしている通りです。
その中の「漢字のすべて」「手にとるように民俗学がわかる本」など、民俗学の書籍を参考にさせていただいたと思います。
投稿: 茶々 | 2011年4月10日 (日) 17時13分