コックリさんの意外な真実
暑い暑い・・・どこもかしこも最高気温の記録塗り替えで、超ダルダル。
こんな日は、ひんやりするコワイ話を・・・と、言いたいところですが、実は「幽霊の正体見たり枯れ尾花」的なお話です。
それは、「コックリさん」についてのお話・・・
コックリさんと言えば、小中学生の頃には、一度は通るはしかのようなシロモノ・・・。
皆さんも、きっとその頃に一度はやった事があるんじゃないでしょうか?
もちろん、一度と言わず、やった事のある人は、何度でもやった事があると思いますが・・・。
・‥…━━━☆
コックリさんとは・・・
テーブルの上に、「はい・いいえ・わからない」「1~0の数字」「あ~んの50音」を書いた紙を置いて、その紙のうえに10円玉を置き、そこに参加者全員の人差し指を置く。
そして、「コックリさん、コックリさん、おいでください」と呼び出した後、何か質問をすると、勝手に10円硬貨が紙の上を動き、文字や数字の上を行き交い、答えてくれる・・・だいたいこんな感じですね。
ほとんどの方がご存知のように、コックリさんにはコワイ話がついて回ります。
硬貨が勝手に動くのは、降霊によるもので、終った後「コックリさん、コックリさん、ありがとうございました、お帰り下さい」と言っても、霊が帰らず、その場にいた誰かに、あるいは全員にとり憑いてしまうとか、使った硬貨を持っていると不幸になるとか、使った紙は燃やさなければ持っている人が自殺するとか・・・。
これは、コックリさんが「狐狗狸さん」と表記される事によって、狐と狸が合体したような、妖怪あるいは下級な動物霊と思われている事による物でしょう。
狐や狸のイメージがついて、日本古来の稲荷信仰や、もともと狐の持つ神秘的な、あるいは霊的な雰囲気から、コックリさんを日本古来の霊的儀式のように思っているかたもおられるでしょうが、コックリさんの歴史は意外にも、そんなに古くはないのです。
もちろん、日本はもともと「記紀神話」という神話を持つ神の国ですし、古来より「神がかり」「憑依」などと言った「降霊術」のような儀式があった事は確かですが、コックリさんは、それらとはまったく別の物なのです。
こういうコワイ話、不思議な話は、本当は不思議なままにしておいたほうがロマンがあって良いのかも知れませんが、本当に怖くなって「何もかも手につかない」なんて人がいたらお気の毒なので、あえて書かせていただきます。
なぜなら、コックリさんの歴史を紐解くと、コックリさんが狐でも狸でもない事が明らかで、まさに、冒頭に書いた「幽霊の正体見たり・・・」ってな感じの話になってしまうからなのです。
それは、明治十七年(1884年)、増田英作という人が留学先のアメリカから、「テーブルターニング」なるゲームの道具を持って帰って来る事に始まります。
もちろん、これには諸説あって、伊豆・下田にやって来たアメリカ人の船員が伝えたという話もありますが、いずれにしても、明治のこの時期にアメリカから・・・というのは、ほぼ確実なのです。
なぜなら、伝わってすぐに、アメリカからやって来たニューゲームとして大流行した事が新聞記事として残っているからです。
当時は小さな竹を3本組み合わせて土台のような物を作り、その上に飯櫃(めしびつ)の蓋や、お盆などをのせ、さらにそのお盆の上に手をのせて、質問するとお盆が動く・・・という物。
あまりの流行に、人々が加熱しすぎて、ゲームのルールを教える「伝授所」(碁会所みたいなものでしょうか?)や、専用の竹を売る店に対し、警察が取り調べを行う・・・といった騒ぎにまでなっています。
欧米では、この「テーブルターニング」だけでなく、「ウィジャ盤」「プランセット」などと呼ばれる同様の遊びが古くからあって、いずれも本物の降霊術とは一線を画した、遊びとして流行していた物です。
それが、日本に伝わって「コックリさん」と呼ばれるようになったのですが、その語源については、「うなずく」という意味の「こっくり」。
あるいは、土台の竹が「こっくりと動く」という意味の「こっくり」。
・・・などとも言われますが、最も有力なのは、「道理を告げる」という意味で「告理」と呼ばれたというあたりではないでしょうか。
それは、日本に伝わった時、最初に流行したのが「花柳界」・・・つまり芸者さんとのお座敷遊びとして流行したからです。
先の警察沙汰になったという一件も、実は京都のお話・・・京都の舞妓さんや芸者さんが名付け親だとしたら、海の向うからやって来たニュー感覚のゲーム「告理」に、「さん」をつけて「告理さん」と呼びそうな気がします。
とにかく、最初の時点では「アノ字」ではなかったコックリさんが、一般に広がるにつれて、いつしか「狐狗狸さん」という当て字があてられ、あたかも、日本古来の妖怪か動物霊のように、不気味な物、怖い物へと変化していったのです。
では、なぜ?実際に紙の上に置いた硬貨が動くのでしょう?
それは、心理学でいうところの、「潜在意識」。
有名なフロイトも人には必ず潜在意識が存在するとしていますし、同じく有名なユングも、人間の心の中は「氷山」のような物で、意識している部分が海の上に出ている部分、海の下には、その何倍もの無意識の部分が隠れているとしています。
その無意識が、「潜在意識」と呼ばれる物です。
その潜在意識は、願いをかなえようとする時に、大きく発揮されると言います。
たとえば、大好きな片思いの相手・・・「ふられたらカッコ悪い」と思って、誰にもわからないようにしていたはずなのに、友達にバレちゃった・・・なんて経験はありませんか?
それは、あなたが無意識のうちに、彼(彼女)に自分の良いところを見せようとしていたり、無意識のうちに自分の気持ちを相手に伝えたいと思った事で、いつもしない行動を、やはり無意識のうちにとっているからなのです。
「マーフィーの法則」で有名なマーフィも、「欲しい物があれば、それを手にした時の自分をイメージしなさい。そうずれば、いずれ、それはあなたの物になるでしょう」と言っています。
「人は、無意識のうちに、願望を実現しようという行動を起こす」という事です。
そう、「イメージトレーニング」です。
スポーツの世界で特に重要視されているイメージトレーニング・・・スポーツは、いちいち考えているヒマなどありません。
球技ならボールの動き、格闘技なら相手の動きに対して、瞬時に、無意識のうちに行動を起こさなければ、遅れをとってしまいます。
だからスポーツの世界では、イメージトレーニングが重要なのです。
もちろん、コックリさんをやった後の一連の出来事にも潜在意識が働いています。
昔からある「呪い」というもの・・・この呪いの成功例のほとんどが、呪われたほうの人が「自分が呪われている」という事を知っている・・・とういうのがあります。
知っているから、無意識のうちに恐怖を感じ、悪い方向へ行ってしまうのと同じように、コックリさんなる物が霊だと思い込んでいるためにそうなってしまうのです。
以上が心理学での推理。
それと、もう一つ、硬貨が動く事に関しては「人間の身体の構造上の問題」というのも見逃せません。
人間、「長時間、微動だにせず、同じ体制でじっとしている」という事がいかに難しいかは、説明しなくてもわかりますよね。
最近は、エコノミー症候群なんて言葉も耳にするようになって、長時間同じ体制でいる事が身体にとっても、よくない事は充分ご承知でしょう。
まして、10円硬貨という物に、人差し指の先っぽだけつけて、それも、けっこうな圧力をかけているわけですから、動かないでいるほうが難しいのではないですか?
ですから、「こっちに動いてほしい」あるいは「こっちに動くんじゃないか」という潜在意識と、同じ体制でいる苦痛とが相まって少しずつ動くのだと思います。
もちろん、今日のお話は、霊の存在を否定する物ではありません。
プロフィールに書いてある通り、私は、不思議な事、未知の世界の事が大好きです。
大好きだからこそ、本当の事とそうでない事をはっきりさせておきたいのです。
ある程度の恐怖によって、人間の脳はアドレナリンを放出し、心地よい気分にさせてくれるのは確かです。
そういう意味で「怖い話=スリル」は必要です。
また、人が不安にかられた時に、心をおだやかに、安らかな気持ちにさせてくれる宗教も必要です。
そして、たとえ、目に見えない物、現実には存在しない物であっても、「楽しい」「ウレシイ」「心地いい」など、それらで受けた感情に対して、与えた人と受けた人の間に、それ相当の報酬が生まれる事は当然の事です。
ただ、やたらと人の恐怖心をあおり、半ば脅かして、高価な物を買わせたり、法外な鑑定料を取ったり・・・という類のものが、私は、あまり好きではないだけです。
もちろん、今日のお話を信じる、信じないも、あなたしだいでございます。
今日のイラストは、
『さぁ、アドレナリンを放出してください』って感じのコワ~イ絵にしてみました。
えっ?まだ怖さが足りませんか?
これ以上は、描いてる私が怖いです~。
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コメント
いいご意見だと思います。好きなことだから本当のことと違うことをはっきりさせたい、その通りですし、それを利用して恐怖心をあおり、高価なものを買わせる、大嫌いです。人の不安や病気につけこんでそういうことをするのも理解できません。考えさせられました。
投稿: minoru | 2011年5月 8日 (日) 09時41分
minoruさん、こんにちは~
人の心は、意外に弱いものです。
落ち込んだ時に勇気をくれる神の言葉も、悩んだ時に救ってくれる仏の道も、人が生きて行くためには必要なもの…
でも、その「弱い心につけ込んで」っていうのはいただけませんよね。
投稿: 茶々 | 2011年5月 8日 (日) 15時51分
私が子供の頃、コックリさんのブームがありました。ある程度の周期で心霊的なものがはやることがあります。今の言葉で言うとスピリチュアルブームってことになりますね。
ウィジャボードっていう名前の、有名な競走馬が、ジャパンカップで3着だったこともありました。
儲けるためにはなんでも利用する、という人間は後を立ちません。気をつけましょう!
でも大丈夫!私には最強の神がついてますから。その名も貧乏神といいます!
投稿: とらぬ狸 | 2015年6月27日 (土) 09時20分
とらぬ狸さん、こんばんは~
以前、京都の昔話として紹介させていただきましたが、貧乏神を毛嫌いせずに、やさしく接すると、福の神に変わるそうですよ。
情けは人のためならずってヤツですね。
投稿: 茶々 | 2015年6月28日 (日) 02時21分