おせち料理とお雑煮の由来・起源
もはや語りつくされ、今更ながらで恐縮ですが、31日という事で、『おせちとお雑煮の由来』なんぞについてお話させていただきたいと思います。
まずは、「おせち料理」ですが、これは本来、「御節供(おせちく)料理」と呼ばれていた物で・・・
「人日(じんじつ)=1月7日」
「上巳(じょうし)=3月3日」
「端午(たんご)=5月5日」
「七夕(ひちせき)=7月7日」
「重陽(ちょうよう)=9月9日」
・・・と、以上の季節の変わり目の五節句に神前にお供えした料理の事を指しました。
それが、いつしか、お正月の料理の事だけを「おせち」と呼ぶようになったんです。
正式なおせち料理は、4段重ねの重箱に詰め込みます。
一の重・・・口取り:きんとん・かまぼこ・ごまめ・黒豆・数の
子・玉子焼きetc
二の重・・・焼き物:ブリ・イカ・エビetc
三の重・・・酢の物:紅白なます・酢レンコンetc
四の重・・・煮物:サトイモ・レンコン・クワイ・ゴボウ・シイタケ
etc
もちろん、これらの食材にそれぞれ意味があるのは、ご存知の通りです。
代表的なものでは・・・
黒豆・・・マメに元気で暮らせるように
数の子・・・子だくさん
ゴマメ(田作り)・・・五穀豊穣
エビ・・・腰が曲がるまでの長寿
きんとん・・・黄金の団子
・・・などなど・・・。
一方の「お雑煮」の由来・起源としては、一つには、もともと、大晦日に作って神様にお供えした物であったとされています。
もちろん神様とは、『お歳暮の由来』(12月2日参照>>)、『お年玉の由来』(12月25日>>)で度々登場している年神様です。
今では、元旦に作るようになってしまいましたが、本来は、こちらも、お年玉と同様、31日から神様にお供えして、神様の力をしっかりと吸収した食品を口にする事で、神様から霊的な力をいただこうという考えの物なのです。
このような神様にお供えした神聖な品を食べる事を「直会(なおらえ)」と呼ぶのですが、九州の各地には、今でもお雑煮の事を「ナオライ」と呼ぶ地方があるそうです。
そして、もう一つ、コチラは書物に残るお雑煮の起源になるのですが、江戸時代の天保十四年(1843年)に書かれた『貞丈雑記』という書物には、南北朝時代に伊良親王が戦いに敗れて伊勢に逃れた時、元旦に蛤の吸物と大根の汁物を食したのが、伊勢・尾張地方のお雑煮の起源であると書かれています。
それによると、『保蔵』と書いて「ほうそう」と読み、この「ほうそう」がお雑煮の本当の名前で、それには「五蔵を保養する」という意味があるのだとか・・・。
ただし、この伊良親王という人・・・あの後醍醐天皇の息子である宗良(むねなが)親王の息子という事なのですが、この人に関する史料がほとんど現存せず、その名前・伊良親王の読み方すら「ただなが」なのか?「ゆきよし」なのか?といった感じで、実在さえも疑問視する人も多くいるという人物なので、この場では、あくまで一つの説・・・「『貞丈雑記』にはこのように書かれている」という事をお伝えしておく・・・という形にとどめておきます。
ところで、このお雑煮・・・地方によって様々な作り方があるのは、もう、ご存知でしょう。
それこそ、千差万別。
特に材料などは書き出したらきりがありません。
家庭によっても、先祖伝来の特徴があったりします。
一つ一つはたいへんなので、その違いを大きく分けさせていただくと・・・
入れるお餅は・・・「丸餅か?切り餅か?」
そのお餅は・・・「焼いて入れるか?煮るのか?」
汁は・・・「すまし仕立てか?味噌仕立てか?」
・・・という分け方ができると思うのですが、関東は、「すまし仕立ての汁に、焼いた切り餅を入れる」というのが一般的でしょうか。
そして、関西は、「白味噌仕立ての汁で、丸餅を煮る」というのが多いようです。
私は、大阪ですが、やはり「白味噌仕立ての汁で、丸餅を煮る」というお雑煮です。
ただし、これは1月1日のお雑煮で、2日には「すまし仕立てで焼いた丸餅を入れる」という風に変わります。
おもしろい事に、すましか?味噌か?というのは、全国各地、混在しているのですが、お餅が切り餅か?丸餅か?というのは、けっこう東西で線引きできるのだそうです。
一部、江戸時代の国替えなどで、あてはまらない地域もあるのですが、おおむね「東はきり餅」、「西は丸餅」・・・このラインが例の、北は富山から関ヶ原を通って三重に抜ける日本列島を縦断するラインです。
麺類の代表がそばか?うどんか?
そのだしは、かつおだしか?こんぶだしか?
エスカレーターを立ち止まらずに歩く人は左か?右か?
様々な東西の文化がこのラインで分かれていると言われていますが、お雑煮に入れるお餅も例外ではないようです。
いずれにしても、このお餅自体が、神様にお供えする神聖な食べ物・・・という事は、全国に共通するところで、そのお餅を入れたお雑煮を、特別に用意した「雑煮箸」という専用の箸でいただくわけですから、まさに特別の特別=神様からの贈り物という意味合いがあった事は確かでしょうね。
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