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2007年12月21日 (金)

大豊神社の狛鼠~オオクニヌシとねずみの関係

 

Ootoyozinzyatizucc  ♪もう、いくつ寝ると~♪
新年には、やはり初詣・・・

京都・銀閣寺から南禅寺まで続く、琵琶湖疏水沿いの哲学の道にある大豊神社・・・

この大豊神社の中にある末社の大国社の両脇には、狛犬ならぬ、かわいい狛鼠(こまねずみ)がいるのです。

大豊神社へのくわしい行き方は、姉妹サイト
「京阪奈ぶらり歴史散歩」「哲学の道のページ」>>

Ootoyozinzyacc 向かって左のねずみはを持ち、向かって右のねずみは巻物を持っています。

Ootoyokomanezumicc 玉ねずみは、安産・長寿・豊穣。
巻物ねずみは学問成就のご利益がある
そうです。

来年はねずみ年・・・なんだか、いつも以上にご利益がありそうですね。

ところで、この大国社・・・
その名前でおわかりの通り、あの大国主命(おおくにぬしのみこと)を神とする神社です。

そこに「狛鼠」がいるわけで、このねずみは、大国主神の使いという事になるのだそうです。

オオクニヌシと言えば、あの『因幡の白うさぎ』を思い出してしまいますが、意外にも、このねずみとも関係か深いのです。

それは、『古事記』の中・・・その「因幡の白うさぎ」のお話の後に出てきます。

♪大きな袋を肩にかけ~大黒(大国)様が来かかると
  そこに因幡の白うさぎ~皮を剥がれて赤裸♪

最近は、あまり歌われなくなった「だいこくさま」の歌ですが、有名な神話なので、歌を知らなくても、このお話は、よくご存知だと思います。

そもそも、オオクニヌシが因幡(鳥取県)に大きな荷物を持ってやって来たわけというのは、80人(多い・・・)のお兄さんの荷物持ち(一人で持てんやろ)

その80人のお兄さんたちは、「因幡にヤカミヒメ(八上比売)というメッチャ美人がいる」というのを聞きつけて、80人全員が彼女に結婚を申し込むために、因幡へ旅をする事になります。

・・・で、日頃から、この兄貴たちにいじめられていたオオクニヌシが「荷物持ちとして着いて来い!」と言われてついて来て、例のうさぎに出会って、うさぎを助けたというわけです。

そして、その後、80人の兄さんたちは、ヤカミヒメにプロポーズしますが、姫の返事は・・・
「アンタたちなんてキラ~イ!私は、男前のオオクニヌシと結婚する~!」
と、ピシャリとフラれてしまいます。

激怒した兄貴たちは、「アイツさえいなければ・・・」と、一斉にオオクニヌシを攻撃!

死にかけ・・・いや、一旦、死んでしまったあと、母の愛で快復したオオクニヌシは、「このままでは危険だから(相手80人やもんなぁ)、おじいちゃん所へ行きなさい。きっと良いアイデアをくれるわよ。」という母の助言に従って、祖父・スサノヲノミコト(須佐之男命・古事記では6代前の祖先)のいる黄泉(よみ)の国へと逃走します。

もちろん、ヤカミヒメと結婚の約束をして・・・。

根国(ねのくに・黄泉の国の別名)に着いたオオクニヌシは早速、スサノヲの宮殿へ・・・。

すると、出迎えてくれた宮殿の受付嬢・スセリビメ(須勢理毘売)が、メッチャかわいいじゃあ~りませんか!

スセリビメとしても、人も寄りつかないような辺ぴな場所での受付業務に、いいかげん飽き飽きしていた所へ、目の前に現れた男は80人の兄貴の上をいく、超イケメンのオオクニヌシ・・・久々の大ヒットですから、これまた一目惚れ。

ふたりは、その場で恋に落ち、その場で一発・・・・
(ヤカミヒメの立場は・・・?)

そして、スッキリしたオオクニヌシは、そもそもの目的だったスサノヲに会うのですが、なぜか、スサノヲはオオクニヌシを蛇だらけの部屋に一泊させます。

だって、スセリビメはスサノヲの娘ですから、オヤジに挨拶する前に、手ぇつけるなんざ・・・そりゃ、オヤジもカンカン。

スサノヲの仕打ちも、わからんでもありませんが、もう、すでに、彼まっしぐらのスセリビメは、「このままでは、彼氏の命が危ない!」
と、ばかりに、蛇を追い払う「魔法のひれ」を手渡します。

そのひれに助けられ、翌朝、無事に部屋を出てきたオオクニヌシでしたが、2日めの夜、今度はムカデと蜂の部屋に泊まらされてしまいます。

しかし、またもやスセリビメの渡したムカデと蜂用の魔法のひれで助かります。

そして、次ぎにスサノヲは、矢を一本、果てしない野原の中に射込んで「あれを取って来い!」と命令します。

健気にも、その命令どおり、野原へ向かうオオクニヌシ。
期を見計らって、彼のまわりに火を放つスサノヲ。

気がつけば、オオクニヌシは360度の火に囲まれてしまっていました

さすが、のオオクヌヌシも今回ばかりは絶体絶命・・・諦めかけたところに、現れたのが一匹のねずみでした。(やっと出た~)

「内はほらほら、外はすぶすぶ・・・」と、洞穴なら安心だと教えてくれます。

草を掻き分けて見ると、そこには、うつろな洞穴が・・・
そこに、身をひそめていると、炎は上を通りすぎて行き、オオクニヌシは助かったのです。

しかも、オオクニヌシが持って帰らなければならない、あの矢を・・・ねずみたちの親が矢の鏑(かぶら)の方を、子が羽根の方を持ってきてくれたのです。

一方のスサノヲは、あまりの激しい炎に「さすがにこれでは生きていないだろう」と思いながら・・・そして、スセリビメも葬式の道具を持って泣きながら、その焼け焦げた野原へとやってきます。

しかし、そこには、命じられた矢を高々と差し出す爽やかイケメンヒーローの姿が・・・カッコイイ~。

・・・て、事は、ねずみは大国主神の使い・・・というよりは、恩人・・・いや、恩鼠ですやん!
という、疑問は置いといて、こういう経緯で、オオクニヌシとねずみには密接な関係があるのです。

結局、この後、スサノヲの眠っているすきに、おじいちゃんの宝物コレクションの数々を手に、スセリビメと駆け落ちするオオクニヌシ君。

気づいて追ってきたスサノヲは、咎めることなく「幸せに暮らせよ~」とお見送り・・・おじいちゃんの数々の意地悪は、かわいい孫に与えた試練・・・って事なんでしょうか?

しかし、本当の試練はここからです。
そう、国に戻れば、結婚の約束をしたヤカミヒメがいるじゃあ~りませんか!
どうするんです?オオクニヌシ君。

・・・と、ここで、帰宅したオオクニヌシ君、早速、何事もなかったかのように、ヤカミヒメと寝所でシッポリ・・・。(えぇ?!!(゚ロ゚屮)屮)

でも、何事もなかった事にできないのが女の嫉妬という物で、当然のごとく激怒するのは、スセリビメ。

結局、スセリビメのしつこいまでの嫉妬に嫌気がさしたヤカミヒメは、オオクニヌシとの間に生まれた子供を隠して、実家に帰ってしまったとさ。

燃え盛る炎から脱出した爽やかヒーローが、一転、ドロドロまみれの昼ドラヒーローになっちゃいましたね・・・。

とにかく、来年はねずみ年・・・狛鼠に願いをかければ、満願成就も夢じゃない!・・・かも
 .

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コメント

はじめまして、こんにちは。
「鹿男あをによし」というドラマで、オオクニヌシの
眷属は鼠という台詞があり、そういやそんな話が
あったなーとググったらこちらに辿り着きました。
日本の神話や歴史物の小説・漫画に影響されて
日本史好きになった程度の私ですが、そんな私でも
読みやすく、イラストありの面白いエントリが
いっぱいで、久々に検索でいいとこ引き当てたな
と思っています。
スサノオが、娘を盗んでいく若造に向かって放つ
罵倒とも祝福ともとれる台詞は、現代にも通用
するものがありますよね(笑)
古典の授業で日本の神話をもっと使えばいいのに。
これからも面白い記事、期待してます。それでは。

投稿: きじとら | 2008年2月 5日 (火) 10時47分

きじとらさん、はじめまして・・・。

励ましのお言葉ありがとうございます~。
そういうふうに言っていただけると、うれしいです。

>日本の神話や歴史物の小説・漫画に影響されて・・・

私もそうです(笑)
特に漫画は侮れません・・・
歴史の授業にはもちろん、ドラマにも登場しないような人が、意外な活躍したりしますからね・・・

今後ともよろしくお願いします。
また、遊びに来てください。

投稿: 茶々 | 2008年2月 5日 (火) 17時36分

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