十両盗めば首が飛ぶ?
泥棒関連のお話を・・・
にしても、、以前、このブログに登場した石川五右衛門(8月24日参照>>)の言葉・・・
♪石川や 浜の真砂(まさご)は尽くるとも
世に盗人の 種は尽きまじ♪
じゃありませんが・・・本当に種は尽きませんねぇ。
ところで、あの時代劇のセリフでよく耳にする「十両盗めば首が飛ぶ」っていうアレ・・・アレって本当だったんでしょうか?
先日の『花魁(おいらん)遊び』(11月27日参照>>)のところでも出てきましたが、単純計算で、だいたい一両が10万円としたら・・・十両は100万円。
「100万円盗めば死刑」って、ちょっと重過ぎるような気がしないでもありませんが・・・。
しかし、あの暴れん坊な8代将軍・徳川吉宗さんの制定した『御定書(おさだめがき)百箇条』には、「・・・金子(きんす)は十両より以上、雑物は代金に積もり十両位い以上は死罪」と書かれています。
やっぱり、本当だったんですね~。
でも、犯罪のランク分けは金額よりも手段の方が重要なような気もするんですけど・・・と思っていたら、やっぱり。
この規定は50年後くらいに改定されます。
・・・というのも、この御定書だと、金額しか提示していないので、十両に達していなければ何回やっても入墨刑どまり・・・それなら、一回に盗むのは、九両二分二朱までにしといて、また次ぎに九両二分二朱盗んで・・・てやれば、ず~っと死刑にはならないとばかりに、そうするやからが続出したのだそうです。
当然です。
最初に作った時に、「なんで気づかないんだ?」と言いたくなるくらい単純明快です。
・・・で、明和七年(1770年)には、10年間という期間がついて、その間の盗みはいくら少量でも加算され、合計十両に達したら死罪・・・という事に改められたそうです。
最初のままだと、抑止力ゼロですもんね。
いや、むしろ増長させてたかも・・・
・・・で、十両以下で死刑にならない場合は、先ほどもチラッと言いましたが、重くて入墨刑から、軽いのは敲(たたき)まで・・・となっています。
入墨は、小伝馬町の牢で、二の腕の部分に線を入れられ、再犯すると、その線の本数が増えていくという物・・・時代劇でよく見るパターンのヤツです。
そして、敲の場合は、やはり小伝馬町の牢の門前で、棒で50回、重罪の場合は100回叩かれます。
なんか、死刑と差がありすぎるような気がしないではありませんが・・・
しかし、江戸も後半になると、物価の上昇で、10両が以前ほど価値が無くなってきたために、よほど悪質な者でない限りは、十両以上盗んでも死刑にはならなかったとか・・・
たとえ十両以上盗んでいても、役人が「お前は十両も盗んでないよな!な!」と、何度もたずねて、犯人が「ハイ」って言ったら調書を書く・・・なんて、お目こぼしもあったようです。
「・・・なら法律変えろよ!」って感じですが、今も昔も、法律が後手後手に回るのも、やっぱり、変わらないとこなんでしょうか・・・
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コメント
こないだ藤沢周平の立花登シリーズを読みました。
江戸後期の小伝間町の牢医のお話です。
小説ですが、牢内や罰の与え方など、重くならない表現で書かれてました。
敲きも形だけとかもあったようですね。
そういえば昔の時代劇にはけっこうあったシーンだったんだけど、この御時世のせいか、とんと見かけなくなってしまいましたねぇ。。
投稿: 味のり | 2007年12月 3日 (月) 23時01分
味のりさん、こんばんは~
時代劇自体も少なくなったですが、そう言えばそういうシーンはホント見かけなくなりましたね~。
何か事件が起こると、テレビのせい、ゲームのせい・・・って、感じになるので、いろいろ気を使わないといけないんでしょうね。
投稿: 茶々 | 2007年12月 4日 (火) 01時11分