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2008年1月18日 (金)

観音様のお話

 

毎月18日は、観音さまの縁日です。

その中でも1月18日が、新年になって初めての縁日という事で『初観音』と呼ばれ、各地の寺院は大いに賑わいます。

・・・という事で、今日は観音さまのお話をさせていたきます。

・・・・・・・・・・・

昔、あるところに、早離(そうり)即離(そくり)という幼い兄弟がいました。

しかし、ふたりの両親は、彼らの成長を見る事なく、亡くなってしまいます。

途方に暮れている兄弟に、ある男が「両親に会わせてやろう」と声をかけます。

その幼さゆえ、悪人の言う事を真に受けてついて行った先は無人島・・・。

騙されたふたりは、この無人島に置き去りにされてしまいます。

疲れと飢えに絶えながら何日か暮らしますが、幼いふたりは、何も無い無人島でどうする事もできず、もう死を待つ事しかできません。

「僕たちは、なんて不幸なんだ!
両親を亡くして、人に騙されて、このまま、人知れず死んでいくなんて・・・」

嘆き悲しむ弟に、兄が語りかけます。

「僕も最初はそう思ったよ。
でも、嘆いても仕方ないじゃないか。

僕たちは、こうして、親と別れる悲しさ、人に騙される悔しさ、そして、飢えと疲れの苦しさを、他人の何倍も知る事ができた。

どうだろう?
今度、生まれてくる時は、この経験を生かして、同じ悲しみに泣く人々を救っていこう。

他をなぐさめる事で、自分もなぐさめられるんだよ。」

兄の言葉を聞いて、弟の心の中にも何かが目覚めました。

死を前にして、悲しいという気持ちはなくなり、なにやら晴れ晴れとした気分・・・兄弟は、ともに誓いをたて、ほどなく、静かに息をひきとります。

その死顔は、とてもおだやかで、静かなほほえみをたたえていたと言います。

この兄が観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)
弟が勢至菩薩(せいしぼさつ)です。

・・・・・・・・・・・

もちろん、これは『華厳経(けごんきょう)という経典の中にある仏教説話です。

観音さまのもともとは、インドアバロキテーシュバラという神様が中国に伝わり、あの『西遊記』でお馴染みの玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)法師が、『観自在菩薩』と訳したとされています。

しかし、上記の説話は、観音さまがどのような仏様なのか?という事が、すごく理解しやすいので、あえて、ご紹介させていただきました。

観音さまと勢至さまは、阿弥陀如来の両側に立ち、今も、その時の兄弟の誓いを貫くためにおられるのです。

勢至さまは、単独で信仰の対象になる事はほとんどなく、大抵、阿弥陀如来の右側に・・・そして、左側のお兄さんとともにおられます。

しかし、観音さまはご存知のように、「○○観音」という様々な名前がついて、単独で信仰されている事が多くあります。

それは観音さまが、ありとあらゆるものに変身・変化されるからです。

観音さまは、性別を越えた存在で、すべての生き物を越えた存在。
ときには馬や魚や蛤などの姿で現される事もあります。

もちろん、別の形をした仏様にも・・・

十一面観音は・・・
東西南北の四方と、東南・東北・西南・西北の四維(けい)と、天と地の二方・・・全部で十方向に自分という者をプラスして十一面・・・つまり、「すべて」という事を現しています。

千手観音は・・・
千というのは無数・無量・いっぱいを現していて、その一本一本の手には目がついていて、「物を見極める」「実行する」事を現しています(8月19日参照>>)

不空羂索(ふくうけんさく)観音は・・・
羂は鳥獣を捕える網、索は魚を釣る糸の事・・・
これで、苦しみの山野や悲しみの海にいる人々を救うのです。
不空とは、失敗しない・・・必中という事です。

如意輪(にょいりん)観音は・・・
如意とは思いのままという事、輪は、そのものズバリ始めも終わりも無いという事。
この如意輪で、心にやすらぎを与えるのです。

・・・と、とりあえず有名どころをご紹介しました。

まだまだ、色々な観音さまがおられますが、悲しむ人を救うという基本は同じです。

このように、観音さまは、ありとあらゆるものに変身するのです。

ときには獣に、ときには仏の姿に・・・
そして、ときは人に・・・

「他をなぐさめる事で、自分もなぐさめられる」
この心を感じる事があれば、その人が観音さま。

人にやさしくしてあげたい・・・と思うその瞬間、あなた自身の中に、観音さまがおられるのです。
 

Kannonsamacc 今日のイラストは、
一応、『観音さま』を書いてみましたが・・・

いやぁ~難しい・・・
ほのかに微笑んで、そして気品にあるお顔・・・

なかなか描けません・・・
 .
 

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コメント

いやぁ~、よくわかりました!
たまたま調べごとをしていてたどり着いた見慣れた茶々さまのブログ。
安心して拝読させていただきました。
そうだったのですね!
そういうことでしたか…、と納得^^

神仏にもお詳しい茶々さまに
また一段と尊敬の念を抱き
親しみをも感じました(*^^*)

こちらのシリーズもまたゆっくり拝見したいと思います。
ありがとうございます^^g

投稿: tonton | 2015年5月16日 (土) 20時34分

tontonさん、こんばんは~

いつも、ありがとうございます。
また、遊びにいらしてくださいませ。

投稿: 茶々 | 2015年5月17日 (日) 02時18分

やはり、観音様は、本当に素晴らしい!
生きとし行けるもの、昆虫や動植物、迷いの中にいるもの、それから、ありとあらゆる人達を救済してくださる。
観音様は、私たちの心のよりどころですね。
それから、観音様の心を見習いたいと思います。

投稿: ローレン | 2016年1月 3日 (日) 17時40分

ローレンさん、こんばんは~

コメントありがとうございました。
また、遊びに来てくださいませ。

投稿: 茶々 | 2016年1月 4日 (月) 03時27分

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