五臓六腑って、どこ?
五臓六腑(ごぞうろっぷ)・・・・
よく、「いやぁ、こりゃ、五臓六腑にしみわたるねぇ」
な~んて事を言いますが、『五臓六腑』って何?どこ?って思いませんか?
もちろん、ホルモン焼きチェーンの五臓六腑じゃありません。
「体全体の事を指しているんだろうな?」という漠然とした意味はわかりますけど・・・実は、この五臓六腑、あの暦などでたびたび耳にする『陰陽五行説』とも関わりがあります。
『陰陽五行説』は、古代の中国で考えられるようになった哲学的な宇宙の法則。
「宇宙が、まず、始めに陰と陽の二つの気に分かれて、その陰と陽から、さらに五つ(五行)が流れ出て、この五行の相互作用で、地球上の万物を生み出した」
という物です。
五行と言うのは、「木・火・土・金・水」の五つの元素で、この世のすべての物が、この五元素によって形成されるというのです。
・・・で、その宇宙エネルギーである陰陽と、そこから出た五行ですから、当然、地上に生きる人間の状態にもそのエネルギー作用があるわけです。
そして、人間の体も、一つの小宇宙という考えから、それぞれが陰陽五行に当てはめられました。
陰=五臓が、肝臓・心臓・脾臓(ひぞう)・
肺・腎臓の五つで、
陽=六腑が、胆嚢(たんのう)・小腸・胃・
大腸・膀胱(ぼうこう)そして、
三焦(さんしょう)の六つです。
この三焦というのは、上焦・中焦・下焦に分かれた、三つの生命を動作させる場所・・・という事ですが、現在の西洋医学では、それにあてはまる臓器はありません。
一応・・・
上焦が邪気を排出し、気を取り入れる場所。
中焦が食物を栄養に変える場所。
下焦が不要な物を排出させる作用の場所・・・という事になってます。
この五臓六腑に、経路を通って陰陽2気の宇宙エネルギーが循環していて、順調に巡っている状態が健康。
経路に毒素が溜まって、順調に気が循環しなくなって、ある場所に止まった状態になるのが、「気が病んでいる」・・・つまり『病気』という風に考えたのです。
宇宙エネルギー(気)の溜まる場所がツボで、その場所に刺激を与えて、エネルギーを順調に循環させようというのが鍼灸、様々な薬を服用して巡りを良くしようというのが漢方薬。
これらが、漢方医学へと発展していくのです。
このような中国の考え方が日本に伝わったのは、欽明天皇の頃(540年~571年)・・・あの仏教伝来(10月13日参照>>)とともに、朝鮮半島を経由してやってきます。
その後、推古天皇の時代(593年~628年)には、斐世清という人物率いる隋の使節団が海を越えて来日し、中国から直輸入されます。
さらに、小野妹子や犬上御田鍬(いぬがみのみたすき)らの遣唐使たちによって、様々な書物が持ち帰られ、日本にも漢方が根付く事になるのです。
ところで余談ですが、上記の表を見ていただければわかるように、五臓=陰の木のところにあるのが肝臓。
それに相対する六腑=陽の木のところにあるのが胆嚢となっていますよね。
よく、心が通じ合った仲の良い関係の事を「肝胆あい照らす」と言いますが、この言葉は、五臓六腑の対応関係から生まれた言葉なんだそうです。
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