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2008年3月22日 (土)

出歯亀事件・発生

 

明治四十一年(1908年)3月22日、東京西大久保で、女性が殺害される事件が発生し、後日、逮捕された犯人のあだ名から、この事件は『出歯亀事件』と呼ばれ、以来、「デバガメ」という言葉が、女性の裸をのぞき見る行為の代名詞となりました。

・・・・・・・・・・・・

明治四十一年(1908年)3月22日の夜、東京・西大久保の空き地で、口に手ぬぐいを押し込まれ、窒息死している女性の遺体が発見されます。

被害者の女性は27歳の人妻で、銭湯からの帰り道に事件に遭遇・・・口の手ぬぐいは銭湯で使用したと思われる濡れ手ぬぐいでした。

Hanzai150 当時、この事件は、新聞紙上で大きく報道され、読者の反響の大きさから、警察は、その威信を賭けての大捜査を行います。

結果、3月31日になって、植木職人池田亀太郎という男が逮捕されます。

この時の、犯人逮捕の新聞報道で、職人仲間の話として、亀太郎が「出ッ歯の亀と呼ばれていた」事や、「銭湯の女湯のぞきの常習犯だった」と書かれてた事から、「のぞき行為」の事を「デバガメ」と言い、この言葉が大流行したのです。

最初は、「死刑か無期か」と騒がれたこの事件ですが、やがて4月も半ばに入った頃から、亀太郎の弁護士が「彼は真犯人ではない」という証言をした事で、その様子が徐々に変化し始めます。

・・・というのも、亀太郎の言い分によると・・・
「警察での取調べの時に拷問があり、刑事の圧迫に屈して、心にもない自白をしたが、実際には、まったく知らない事である」というのです。

亀太郎の自白と鑑定結果のくい違いもあり、また、自白以外の証拠がない事もあり、その後、事件は裁判の場で争われる事になるのですが、亀太郎は一環して無実を主張していました。

しかし1年後の3月の東京地裁の結果は、強姦致死を認定し、亀太郎には無期徒刑の判決が言渡されます。

もちろん、亀太郎は上告しますが、大審院は、それを却下。
判決は確定し、亀太郎は服役したのです。

わたくし事ですが、つい最近、テレビで「それでも僕はやってない」というのを見たばかり。

また、知人の女性と組んでの「美人局(つつもたせ)的な痴漢事件」発覚のニュースもありました。

そういう話を聞くと、明治の時代だったとは言え、自白だけでの逮捕&有罪というのに、不安を感じてしまいますね。

結局、亀太郎が、無実だったのか?真犯人だったのか?

今となっては、知るよしもありませんが、もし、無実だったとしたら、「出歯亀」という言葉が、最近はめっきり使われなくなった事で、天国の亀太郎さんも、少しは、心休まる時を過ごしていらっしゃるのではないでしょうか。
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明治・大正・昭和」カテゴリの記事

コメント

今みたいに、DNA鑑定とか遺留品を様々な科学的な機器で捜査して…なんて事が無かった時代ですもんね。相当な数の冤罪も有ったかも知れませんね。

投稿: マー君 | 2008年3月22日 (土) 23時59分

マー君さん、こんばんは~

そうですね・・・
それに、警察という組織に対する世間の印象も、今とは随分違うでしょうから・・・。

もはや、藪の中となってしまいましたが・・・。

投稿: 茶々 | 2008年3月23日 (日) 00時51分

お久しぶりです!

試験など色々なことが終わったので、来ちゃいました!!
テンションがおかしくてすみません^^;
相変わらず、勉強になることばかりです!
これでまた1つ賢くなりました♪

これからも更新頑張ってください!!
どんな記事が毎回書かれるのかが楽しみで仕方がないです♪
では^^

投稿: 石保志 鈴 | 2008年3月23日 (日) 01時27分

石保志 鈴さん、コメントありがとうございます。

>試験など色々なことが終わったので・・・

試験・・・懐かしい響きです~。

歴史とは言えど、このブログは試験には出ないような事ばかりですが、時々は、遊びに来てくださいね~。

投稿: 茶々 | 2008年3月23日 (日) 15時34分

出歯亀は英語で言うと、ピーピングトムになりますね。学生のころ英語の先生におそわりました。

有名なチョコレートの名前の元になった、ゴディバ夫人の裸身を覗き見た男が由来だそうですが、こちらのエピソードはフィクションらしいです。

洋の東西で同じ犯罪の名称が人名だというのは偶然でしょうか?ピーピングトムの由来を知っていた誰かが、出歯亀を広めたわけではないと思いますが…。

投稿: とらぬ狸 | 2016年3月25日 (金) 17時01分

とらぬ狸さん、こんばんは~

へぇ~
英語での言い方は知りませんでした。
フィクションとは言え、偶然にも、同じようなパターンとはw(゚o゚)w

投稿: 茶々 | 2016年3月26日 (土) 04時18分

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