二条城…その動乱の歴史
慶長七年(1602年)5月1日、徳川家康が、諸大名に二条城の造営を命令しました。
・・・という事で、今日は、京都・二条城を巡りながら、その歴史を紐解いていきましょう。
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天皇の住まう京都に城を持つ事は、天下人の証しとも言える物です。
織田信長も、かつて二条城を築城(二条御所)し(2月2日参照>>)、豊臣秀吉も聚楽第を築きました(4月14日参照>>)。
それは、京都という場所で朝廷を監視する意味と、その豪華さで、武士の力が強大である事を誇示する事になります。
徳川家康とて例外ではありません。
いえ、むしろ、遠く離れた江戸に幕府を置く徳川将軍としては、信長や秀吉よりも、遙かに重要だったかも知れません。
慶長七年(1602年)5月1日と言えば、あの天下分け目の関ヶ原の勝利から二年・・・まさに天下を掌握した証しとして、家康は、ニ条城の建設にとりかかるのです。
翌年の慶長八年には、二の丸部分が完成し、家康も初めてこの城に入城しています。
二の丸御殿
慶長十六年(1611年)に、あの豊臣秀頼との会見(3月28日参照>>)が行われたのもこの二条城・・・大坂冬の陣、夏の陣での軍儀を重ね、出陣したのもこの二条城です(5月6日参照>>)。
やがて、3代将軍・家光の時代に、本丸や天守が完成し、ほぼ現在の規模となりますが、落雷によって天守を、火災によって本丸殿舎を失う中、徳川の泰平の世には、あまり歴史の表舞台に、このニ条城が登場する事はありませんでした。
内堀:写真中央奥の少し出っ張った石垣が天守閣の石垣です。
そんな、二条城が再び歴史の表舞台に登場するのが・・・そう、幕末です。
文久三年(1863年)3月4日、第14代将軍・家茂が、あの家光以来、229年ぶりに二条城に入城し、慶応二年(1866年)には、第15代将軍・慶喜がここで将軍職を継ぐことになります。
そして、その翌年には、二の丸御殿内の大広間の一の間に諸大名を集め、あの大政奉還の発表が行われました(10月14日参照>>)。
二の丸庭園:右側に見える建物が二の丸御殿で、ちょうど大広間の部分になります。
維新が成った後、幕府の物だった二条城は朝廷の物となり、現在の内閣にあたる太政官代が置かれたり、府庁が置かれたりしましたが、やがて、天皇が正式に東京にお住まいになるようになって、この二条城は二条離宮と呼ばれるようになります。
天守閣跡から現在の本丸御殿を望む。
その頃には、京都御所の北東にあった桂宮御殿を移築して、本丸御殿とし、現在の本丸庭園も完成します。
本丸庭園
やがて、昭和十四年(1939年)、二条離宮は、宮内省から京都市へと渡され、『元離宮・二条城』として、一般公開される事になるのです。
二条城・・・まさに歴史の舞台となり、徳川の始まりと終わりを目撃したこのお城は、今、いったい何を語ってくれるのでしょうか?
うぐいす張りの廊下を、一歩、また一歩と踏みしめると、その向うから慶喜さんの足音が聞こえてくるようです。
・‥…━━━☆
二条城へのくわしい行きかたはHPのほうでご覧ください>>
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コメント
こんにちは~
二条城ですね♪
私が初めて訪れたのは中学の修学旅行でした。(遠いな~)
当時から新選組が好きだった私は、
近藤勇さえ入れなかったあの有名な
『大政奉還の間』を見学できたと
かなりハイテンションになってたと思います(笑)
近藤先生にとって特別な場所だった二条城は、
私にとっても思い出深い特別な場所となっています^^
投稿: ルンちゃん | 2008年5月 1日 (木) 11時15分
ルンちゃんさん、こんにちは~
二条城は、今も修学旅行生でいっぱいですね。
>近藤勇さえ入れなかったあの有名な・・・
そうなんですよね・・・京都などの史跡に行くと「昔は高貴な人しか入れなかった建物」に時々お目にかかりますが・・・
「何人の人が、この場所を夢見たんだろう」
なんて、思いにふける事があります。
投稿: 茶々 | 2008年5月 1日 (木) 15時15分