明治の珍騒動~未成年・喫煙禁止令
今日、5月31日は、世界保健機構(WHO)が制定した世界禁煙デーという国際デーの一つなのだそうです。
今日から一週間は禁煙週間として、禁煙を促進する様々な行事が行われるそうです。
ところで、健康志向も相まって、どんどん禁煙スペース増えつつある今日この頃では、信じられないようなお話ですが、この日本でも、明治三十三年(1900年)3月7日に、未成年者に対する喫煙禁止令なる法律が公布されるまでは、少年少女の喫煙は野放し状態でした。
丁稚奉公の小僧さんがくわえ煙草で仕事をしたり、煙草をふかしながら学校に通う小学生の姿もあったとか・・・
もちろん、それまでにも、規制がなかったわけではありません。
明治二十七年(1894年)には、文部省から小学生の喫煙を禁止する訓令が出されてはいましたが、ほとんど守られる事はなく、中学生においては、それぞれの学校の校則での禁止にゆだねられ、法的に禁止するには至っていなかったのです。
・・・で、上記のように、やっとこさ明治三十三年の3月に公布、翌4月から施行という事に相成ったわけですが、これが決定されるやいなや意外なところから反対の声があがります。
それは、花柳界・・・芸者さんや遊女などの、いわゆる花街の世界からの反発でした。
当時の新聞によれば・・・
「こいつぁ、一つ、廃案運動に出かけにゃなるめぇと、吉原はいうに及ばず日本国中の遊郭連合して、岩戸がくれのはじめより、女なしでは夜の明けぬ大勢を示さん」
との、大騒動になったのだそうです。
実は、江戸の昔から、遊郭において煙草は重要な小道具・・・俗に、遊女遊びの一連の流れは、茶煙草盆(ちゃたばこぼん)の礼に始まると言われたくらいの必須アイテムでした。
特に、まだ、お客さんの扱いに慣れていない新米の芸妓にとっては、場を和ませるための最大の道具が煙草だったわけですから、それを取り上げられては死活問題・・・商売がやっていけないというのです。
なんせ、新米=未成年ですから、絶対に引っかかります。
しかし、大騒ぎしたわりには、実際の反対運動に発展する事はなく、この喫煙禁止令はすんなりと施行される事に・・・
ただし、すんなり施行されはしたものの、実際には守らない者が多数・・・。
芸妓や娼婦に限らず、一般の未成年者も、しばらくの間は警察の補導を受ける者が耐えなかったのだとか・・・
現在では当たり前となっている事も、それが、定められた直後には、スッタモンダがあるもんですねぇ。
この大騒ぎも、日本が近代国家へと向かう明治の珍騒動の一つと言える物でしょう。
煙管・・・という事で、歌麿の『歌撰恋之部・深く忍恋』を描かせていただきました~。
.
★あなたの応援で元気でます!
↓ブログランキングにも参加しています
「 明治・大正・昭和」カテゴリの記事
- 600以上の外国語を翻訳した知の巨人~西周と和製漢語(2023.01.31)
- 維新に貢献した工学の父~山尾庸三と長州ファイブ(2022.12.22)
- 大阪の町の発展とともに~心斎橋の移り変わり(2022.11.23)
- 日本資本主義の父で新一万円札の顔で大河の主役~渋沢栄一の『論語と算盤』(2020.11.11)
- 恵方巻の風習と節分お化けの記憶(2020.02.03)
コメント
江戸時代までは喫煙の健康障害(肺がんなど)や、「20歳成人」の概念がなかったから、野放しにされたんでしょうね。もしも成人年齢が18歳になったら、飲酒・喫煙、投票、任意婚姻等の「20歳未満規制法律」を、全て変えないといけないと言われます。
「水戸黄門様の忌日」の所で、投稿に関連がないとのご指摘。確かに水戸黄門本人と関連がなくすいませんでした。m(_ _)m
投稿: えびすこ | 2010年5月16日 (日) 08時36分
えびすこさん、こんにちは~
>「水戸黄門様の忌日」の所で、投稿に関連がないとのご指摘・・・
勘違いです~
内容に関係ないと言ったのは、えびすこさんのコメントではなく、定期的に送られてくるトラックバック(TB)の事です。
それは、定期的に、しかも、水戸黄門のページではなく、最新の記事に送られてきます・・・なので、関係ないので排除させていただいてるという事です。
水戸黄門のページに由美かおるは関連あるでしょ(笑)
60を前にして入浴シーンが話題になるのは、本当にスゴイと思います。
投稿: 茶々 | 2010年5月16日 (日) 15時41分