チョット驚き!大江戸医者事情
昨日からのお医者さんつながりで、今日はちょっとくだけたお話を・・・
江戸時代のお医者さんのおもしろエピソードをいくつかご紹介させていただきます。
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昨日も書かせていただきましたように、江戸時代には医師免許なるものはありませんでしたので、「とりあえず医者にでもなろうか」「医者しかできないんだよね~」なんて感じでお医者さんをやってた人もけっこういたのです・・・もちろん名医もいましたが・・・。
しかも、何の手続きもなく、思い立ったその日から始められるわりには、名字を名乗る事も許され、短いながらも刀をさす事もできましたから、けっこうお得・・・。
『徳川禁令考』という幕府の通達や、お触れを記した文献には・・・
「病気になって畑仕事でできなくなった農民が、医者になるというので許したところ、名字を名乗る事と、十徳(じゅっとく・医者が着る羽織のような衣のような礼服)を着る事を願い出てきたので許可しましたよ、いいですよね?」
という播磨からの質問に、幕府が・・・
「OK!いいよ」
と回答した事が書かれています。
こんな簡単に・・・
ですから、中には、「手遅れ医者」と呼ばれる、誰が来たって「もう、手遅れだ」なんて事を言ってごまかすような輩もいたらしく、
「大変や!源さんが、骨折ったみたいです!先生、診ておくなはれ!」
「残念ながら、手遅れや・・・」
「いや、今、2階から落ちたとこで・・・」
「せやから、手遅れや!って、落ちる前に連れてこんかいな!」
なんて、落語のような話もあったんだとか・・・
また、ある医者は・・・
「思いつきで医者になってみたけど、これほど、繁盛するとは思わんかったわ。
いまさらやめられへんし、繁盛するにつれて、だんだん難しい患者ばっかり来よるし・・・。
漢字も読まれへんし、薬の調合もできひんし・・・人に聞くわけにもいかへんし。
こうなったら金持って逃げたろかいな」
しかし、この医者、上記の通り大変繁盛しています。
・・・で、その秘訣は?と聞くと・・・
一、医は意なり
金持ちには誠意を持ってゴマスリを・・・
一、医は衣なり
高級ブランドで身を固める
一、医は威なり
それらしくエラそうな雰囲気で・・・
一、医は異なり
他の医者と違う独特の診断を・・・
一、医は稲荷
人を化かす事を心がける
これが、繁盛の5か条なんですと・・・いやはや、ホンマかいな?って感じですねぇ。
また、ある時、肺結核を患った娘が、あっちの医者、こっちの医者に診てもらってはいるものの、病気はいっこうに快復に向かわず、特に最近は死人のようにふさぎ込んでばかり・・・たまりかねた父親が、名医と呼ばれる江戸は八丁堀で開業している高橋玄秀という医師に往診を頼みます。
すると、何回か通ううち、あんなにふさぎこんでいた娘が、医者が来る時だけ笑顔を見せるようになります。
時には、声を出して笑うほどの快復ぶり・・・。
「さすがは名医!」
と感激の父親・・・。
「先生!先生は娘に、いったいどんな治療をしてくだすってるんで?」
「いやね、脈をとる時に、わざとヒザをたてるんっすよ。
そんで、フンドシの下から中身をちょろっと出して見せてやると、たいていの娘は笑いますよ」
・・・って、それは治療か?
・・・と、こんな事ばかり書いていると、マジメにやってる江戸のお医者さんに失礼なので、最後に・・・
一、慈悲の心を持ち、
一、学問に励み、
一、常に経験を積み、
一、欲を捨て、
一、貧富の差なく、
一、慎重に治療する。
こんな、ちゃんとしたお医者さんの文献も残っていますので、ご安心を・・・。
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コメント
とても面白かったです。当方は、先祖について調べているのですが、江戸末期の文書に「手永支配の医師」とありました。それで、江戸時代の医師について調べていると、ここにたどり着きました。当時の医師についてのイメージが湧いて、そのうえ医師についての雑学も笑え、歴史に興味がわいてきそうです。楽しかったです。ありがとうございました。
投稿: ほほはむ | 2010年4月21日 (水) 23時58分
ほほはむさん、こんばんは~
うれしいコメントありがとうございます。
ちゃんとしたお調べの答えにはなっていないかも知れませんが、楽しんでいただけたなら幸いです。
また、遊びに来てくださいませm(_ _)m
投稿: 茶々 | 2010年4月22日 (木) 00時13分