涼を呼ぶ松花堂の水琴窟~その音色は?
本日は、暑い夏に涼を呼ぶ涼しげな音を奏でてくれる水琴窟(すいきんくつ)をご紹介させていただきます。
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四季折々の美しさを見せてくれる日本庭園・・・。
それは、計算されつくしたその手法で、人工的でありながら自然の素晴らしさを満喫させてくれる世界に誇れる日本の芸術です。
春は咲き誇る花々・・・
秋は染まりゆく紅葉・・・
冬は透き通るような雪景色・・・
そして、夏は、池や小川の水面に涼を求めて・・・
そんな中、日本庭園には、音を楽しむ・・・という趣向も凝らされています。
よくご存知の鹿威し(ししおどし)もそうです。
鹿威しは、その名の通り、もともとは、水力で自動的に音をたてる事によって、田畑に被害を与える鳥獣を脅して、追いはらうための装置でしたが、今は、その風流な音を楽しむために、日本庭園に用いられています。
あのポンッ!という音は、脅かされるどころか、とても落ち着きのある響きですよね。
一方、水琴窟は最初から音を楽しむための装置として、江戸から明治にかけて盛んに造られた庭師の技術のすいを集めた物・・・その音は、とても涼しげで、こんな暑い夏にはぴったりの、心地よい音色です。
私も、何年か前に某テレビ番組で「水琴窟を作ってみたい!」という視聴者の依頼に、タレント探偵が庭師さんなどに話を聞き、四苦八苦しながら作ったのを見て、その存在は知っていたのですが、なかなか本物を見る事ができずにいたのですが・・・ありました。
京都は八幡の松花堂庭園・・・
松花堂庭園
くわしい行きかたは本家HPで紹介しています・・・コチラからどうぞ>>
松花堂庭園は、江戸時代の初期・・・寛永文化華やかなりし頃、書画や茶の湯・和歌に秀でて、当時の文化人の中心人物として活躍した松花堂昭乗(しょうかどうしょうじょう)の趣味・嗜好を、現代に引き継いだ名園です(4月2日参照>>)。
そして、昭和の初めに吉兆の創始者である湯木貞一さんが、この松花堂にて、昭乗さんが小物入れや絵具箱などに使っていた四つ切の箱を見て、それをヒントに懐石弁当を考案・・・今や、小さく仕切られた中に、様々なおかずの入ったお弁当を松花堂弁当と呼ぶのは、ここが発祥の地だからなのです。
そんな松花堂庭園の一角にある水琴窟・・・
そのしくみは・・・
まずは、水の流れるつくばいがあり、その近くに壷やかめをさかさまにして地中に埋め込みます。
すると、つくばいから流れた水が、壷の底に開けた穴から少しずつ落ち、その水滴の音が壷の中で反響して、独特の音色をかもし出す・・・というわけです。
松花堂庭園の場合は、手前に竹が差してありましたが、これは、水琴窟の音がよく聞こえるように差してある物で、この竹のところに耳をあてると、ホント、よく聞こえます。
水琴窟には、この竹がない物もありますが、内部は、おおむね上記の図のようなしくみになっています。
よろしかったら、その音も聞いてみて下さい・・・
「suikinkutu005.mp3」をダウンロード
チョロチョロ・・・という、つくばいの水の流れる音に混じって、キン!ともピン!とも聞こえる涼しげな音が水琴窟の音です。
暑いと言えど、クーラーばかりじゃ身体に悪い・・・
水琴窟の音色とともに、自然の風で涼をとるのも、また一興です~。
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コメント
鹿威し・風鈴・水琴窟…昔の人って音まで利用して涼を求めるなんて風情がありますねぇ。僕らが小さい頃は夏になると何処の家庭でも軒先に風鈴が吊ってあったもんですが、最近じゃ風鈴を吊ってる家も見かけなくなってきました。さすがに水琴窟の有る家は元々あまり無いでしょうが、最近そういった昔のモノが一つ一つ消えていって淋しいですね。
投稿: | 2008年8月 2日 (土) 11時50分
コメントありがとうございます。
そうですね。
身近なところでは、やはり風鈴が一番、涼を感じさせてくれますね~。
風鈴のある縁側で、線香花火を楽しみながらスイカを食べる・・・こんな光景も、絶滅間近ですね・・・寂しい・・・
投稿: 茶々 | 2008年8月 2日 (土) 17時15分
渦巻きの蚊取線香も風物詩ですよね。豚さんの線香置きに入れて部屋に置くのも夏らしさを感じさせますが最近はベープマットだのアースマットだのといった電子蚊取器が普及し渦巻きの蚊取線香も見る機会が減ってますね。
投稿: | 2008年8月 2日 (土) 19時46分
やっぱり豚が定番ですね・・・
ウチは蓋にそのまま置いてましたが・・・
今や、渦巻型は東南アジアのほうで活躍しているそうです。
投稿: 茶々 | 2008年8月 2日 (土) 23時47分