「お手玉の日」にお手玉の歴史
平成四年(1992年)9月20日に、第一回全国お手玉遊び大会が愛媛県新居浜市で開催された事を記念して、今日9月2日は『お手玉の日』という記念日なのだそうです。
・・・て事で、今日は例のごとくお手玉の歴史について書かせていただきます。
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「おむく」「おのせ」「おこんめ」「おひと」「いしなんご」「なっこ」「いっついこ」「ななつご」・・・などなど、地方によっていろんな呼びかたがあるお手玉ですが、大阪で生まれ育った私は、「おじゃみ」と呼んでおりました。
♪おひと~つ おふた~つで お~さらい
とってんしゃん~で お~さらい♪
という歌に乗せて、お手玉を投げたりつかんだり、あるいは手の甲ではじいたりラジバンダリ・・・
今、お手玉と言って、すぐに思い浮かべる小石や小豆、じゅず玉などを入れた布の袋のお手玉が普及するのは、江戸時代になってからですが、その原型とも言える石や動物の骨での遊びの歴史は大変古く、古代ギリシャにさかのぼるのだとか・・・
今に伝わるお手玉の遊び方は、大きく分けて、お手玉を上に投げて、取ってという「振り技(ゆり玉)」という遊び方と、一つを投げている間に下に散らばったお手玉を寄せ集める「拾い技(よせ玉)」という遊び方の2種類に分かれますよね。
古代ギリシャのお手玉の原型は、後者の「拾い技」と同じような遊びで、「アストラガリ」と呼ばれ、羊のかかとの骨を使って遊んでいたそうです。
それが、やがて、インドや中国を経てアジア全体へと広がるにつれて、手に入り難い羊の骨から、近くにある石を使って遊ぶようになったようです。
お手玉自身の形や、使用する素材に違いはあれど、同じルーツを持つお手玉遊びは、今も世界中の人たちが楽しんでいるようです。
そんなお手玉の原型が、日本の文献に登場するのは平安時代・・・。
主に女の子の間で楽しまれた「いしなどり」という遊びがソレです。
この「いしなどり」は、あらかじめ、数個の小石をばらまいておいて、そのうちの一つを上に投げ、その石が落ちてこない間に、まいてある石をつかみ、石をつかんだその手で、落ちてくる石をつかむ・・・そして、順番に次々と石を拾っては投げ、拾っては投げ、すべての石を拾いつくしたほうが勝ちというルール・・・これは、まさしく「拾い技」ですね。
私たちは「おひとつ」と呼んでいましたが・・・平安時代からあったとは!
平安時代の歴史物語『栄花物語』には、第62代・村上天皇が、宮廷で女御たちの「いしなどり」を見物するシーンが出てきたり、あの西行法師(10月15日参照>>)が・・・
♪石なご(いしなどり)の
玉のおちくる ほどなきに
過ぐる月日は かはりやはする♪
と、歌に詠んだりなんかしていますから、「やってみた」というよりは、「すでに流行していた」んだと思いますね。
一方、『源平盛衰記』には、「知康という名手が、源頼朝の孫・一幡に呼ばれて、その目の前で、4個の小石を投げては受けるという芸を見せた」という記述があり、こちらは「振り技」・・・まさに「ジャグリング」ですね。
しかも、この時代に、すでに曲芸として見せるプロがいたって事ですね。
では、最後に、♪おさらい♪というフレーズが、お手玉歌の中で、最もよく聞くフレーズではないかという事で福井のお手玉歌=『おさらい』をご紹介します。
私の知ってるのとは、ちょっと違いますが、こちらの方が歴史が古そうなので・・・
~おさらい~
1月落して落して落して落しておさら~い
2月落して落して おさら~い
おみんな おさら~い
おてしゃみおてしゃみ おさら~い
おはさみおはさみ おさら~い
おちりんこおちりんこ おさら~い
お~ひ~ ら~り
ら~り ら~りらり
ひとよせ なかよせ おさら~い
しもづけ おさら~い
今、歌の途中に小倉ゆうこりんいませんでしたっけ?(笑)
しかも、脱字をするとヤバイ事になりそうなフレーズ・・・
冷や汗出た
そんなこんなで、最近は、遊んでいる子供たちの姿も、見かけなくなったお手玉・・・しかし、平安の宮中で、天皇がご覧になった雅な遊びとあらば、是非とも、次の時代の子供たちに、伝えていってもらいたいものですね~。
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