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2009年7月 7日 (火)

南西諸島の七夕伝説~天降子と天人女房

 

7月7日は七夕・・・

これまで、このブログでは・・・

2006年には、昔々、七夕イベントの一つとして行われていた格闘技のお話(2006年7月7日参照>>)

Tanabata110 2007年には、ご存知の中国の七夕のお話と伝統的な七夕行事、大阪・池田に伝わる「星月夜の織姫」(2007年7月7日参照>>)と、七夕発祥の地とされる大阪・交野(かたの)七夕ゆかりの史跡京阪電車のイベント(2007年6月23日参照>>)

2008年には、日本の七夕伝説である「天稚彦(あめわかひこ)物語」(2008年7月7日参照>>)などなど・・・

毎年ご紹介させていただいており、「またかい!」とのお声もありましょうが、やはり、外せない七夕伝説・・・

本日は、南西の島々に伝わる七夕伝説をご紹介させていただきます。

実は、これ・・・いわゆる天女の羽衣伝説と七夕伝説がくっついたような物語になっているのですが、羽衣伝説自体は、北は東北から南は九州&沖縄まで、日本中に広く分布しているのですが、なぜか、七夕伝説とくっついたものは、関東から西のみ・・・

東北にはないのだそうで、もともとの中国から伝わった牽牛(けんぎゅう)織女(しょくじょ)、そして室町時代に成立した御伽草子(おとぎぞうし)天稚彦織姫、さらに、これら南西諸島の伝説と、その成り立ちや伝わり方を考えると興味津々です。
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・‥…☆━━━喜界島の天降子━━━☆・‥…

昔、姉妹の天降子(アムリガー・天女の事)が、天から喜界島(鹿児島県大島郡)に降りてきて、森の中の泉のかたわらに立つ木に飛羽(とびはね)を掛けて水浴びをしていたところ、近くに住む牛飼いの男が、これを見つけて、飛羽をひとつだけ隠してしまいます。

慌てた姉妹・・・ふと見ると、残っている飛羽は姉の物・・・

すかさず、姉は自分の飛羽を身につけて、天へと帰ってしまいました。

残った妹は、何とか牛飼いに頼んで返してもらおうとしますが、牛飼いは承知せず、しかたなく、妻として牛飼いとともに暮らす事になります。

・・・と、しかたなく一緒になったわりには、なんだかんだで楽しく、そして、仲睦まじく暮らしていた二人でしたが、ある時、一緒に天界へ里帰りする事になり、「一緒に行くなら・・・」と、牛飼いが、あの飛羽を妻に返してやると、妻は、その飛羽を着け、夫を小脇に抱えて、いざ、天界へ・・・

途中、妻が言うには・・・
「この先も、私と暮らしたいなら、私の両親が縦に切れと言っても、絶対、横に切ってね・・・でないと、とんでもない事に・・・」
と、夫に言って聞かせます。

天界では、二人が戻って来たお祝いにと、ちょうど、畑に生ったばかりのキュウリをたくさん収穫して来てくれていて、さぁ、料理をしようと、牛飼いが包丁を持ったその時!

両親が、いきなり、「ナイキリー(縦に切れ)!」と叫び、牛飼いは、その勢いにつられて、さっきの約束を忘れて、両親の言うがまま、キュウリを縦に切ってしまいます。

その途端、キュウリからドヮッと水が流れ出てきて、またたく間に川となり、妻と牛飼いは両方の岸に取り残されて、会えなくなってしまいました。

この日がちょうど7月7日で、それ以来、牛飼いと妻は、1年に1度、7月7日の夜にならないと会えなくなってしまったのです。
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・‥…☆━━━奄美大島の天人女房━━━☆・‥…

昔、奄美大島に住む一人のお爺さんがクロという犬を飼っていました。

ある夜、山の奥の池のほとりから、なんとも美しい音楽が聞こえてくるので、不思議に思い、見に行ってみると、天女が水浴びをしています。

これが、またメチャメチャ美人・・・爺さん、年甲斐もなく、興奮して、そこに脱いであった飛衣を隠してしまい、天に帰れなくなった天女は、しかたなく、翁の妻になり、やがて、二人の間には、3人の子供が生まれます(しかたなく嫁になっても子供は生まれるモンなんだ・・・(゚ー゚;)

子供が、少し大きくなった頃、1番上の子供が歌う子守唄の中に、飛衣の隠し場所が唄いこまれている事に気がついた妻は、隠してあった飛衣を探し当て、すぐに身に着けて、1番上の子供の手を引き、2番目の子供を頭に乗せ、天に帰ってしまいます。

3番目の子供は、重くて連れて行く事ができなかったのです。

妻が天に帰った事を知った翁は、自分も天に行きたくて行きたくて・・・

そこで、千足のぞうりを作り、それを踏みながら天へと昇っていく事にした翁・・・ところが、あと一歩で天にたどりつく、というところで、ぞうりは無くなってしまいます。

実は、千足作ったと思っていたぞうりは、999足しかなく、あと1足、足りなかったのです。

・・・と、そこへ、愛犬・クロがやってきて、「ボクがぞうりになりましょう」と言って、千足めの位置にうずくまってくれたのです。

翁は、最後の一歩をクロの背中に乗って、天へとたどりつく事ができました。

こうして、翁は一番目の夜明けの星となり、クロは2番目の夜明け星になったという事です。

・‥…━━━☆

・・・て、オイオイ、3番目の子供は置き去りかい!

という、なんとも、気になる終わり方をするお話ですが、民話という物は往々にして、こんな感じの終り方をする物・・・

むしろ、きっちりと出来上がった物語より、こういった昔話のほうが、「遠い昔より、人から人へと伝えられてきたんだろうなぁ」という感じがするものです。

中国の七夕、日本の七夕、南西諸島の七夕・・・

今宵は、どちらの七夕伝説で、古の星空に思いを馳せましょうや・・・

いつの時代も、七夕の夜はロマンチックです
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コメント

おはようございます。
一番目のお話、キュウリだったんですね。
いつどこで聞いたかも忘れてしまいましたが、どういうわけかずっとスイカだと思って子どもにも話していました(゚ー゚;
今宵の空は曇りの予報ですが、二人は会えるんでしょうか?(*^-^)

投稿: おきよ | 2009年7月 7日 (火) 08時52分

おきよさん、こんにちは~

喜界島のお話はキュウリでしたが、あの天稚彦物語でも、瓜から水か出て天の川になっていたので、ウリ的なものには、そういう伝説がつきものなのかも知れませんね~

それならスイカも西の瓜ですから、当たらずとも遠からじってトコですね。

投稿: 茶々 | 2009年7月 7日 (火) 10時22分

「キュウリで不意打ち・・・って大洪水!」
「草履とワンコに感動・・・おい子供は!?」


綺麗な〆ですが、こういうお話を伺った後で見上げる夜空にロマンチックを求めるのは・・・僕には難しいです。

投稿: 黒燕 | 2009年7月 7日 (火) 23時09分

黒燕さん、こんばんは~

>見上げる夜空にロマンチックを求めるのは・・・

黒燕さんは現実的ですね~

投稿: 茶々 | 2009年7月 7日 (火) 23時26分

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