大河ドラマ・龍馬伝では幼馴染の弥太郎ですが
今年の大河ドラマ『龍馬伝』も第4回が過ぎ、視聴率もなかなか好評のようです。
一部ニュースでは、
香川照之さん演じる岩崎弥太郎が「汚すぎる」と、三菱からブーイングなんて話もありましたが、自分の会社の創始者ともなれば、ちょっとでもかっこよく描いて欲しいと思うのは、致し方ないところであります。
ただ、アレはどちらかというと香川さんの演技力のなせるワザ・・・という感じもします。
福山ファンには申し訳ないですが、私の中では完全に福山龍馬より目立ってますし、弥太郎=主人公でもイイと思うくらいのナイスなキャラです。
そして、ドラマはあくまでフィクションですので、ストーリーをおもしろくするための創作も必要ですし、そもそも、先日の【坂本龍馬の隠れ家「酢屋」へ行ってきました】>>でも書かせていただいたように、坂本龍馬の史料自体が少ないので、現在の龍馬のイメージのほとんどが小説で造られた物・・・そのために、司馬遼太郎さんは、自身の小説の主人公を、坂本龍馬とせずに坂本竜馬という、あえて生前の本人が書いた事のない表記にして、小説の中の龍馬は、あくまで、ご自身の描く龍馬のイメージであるという事を、さりげなく伝えていらっしゃるのでしょう。
ただ、いつも言わせていただいているように、ドラマの良し悪しとは別に、「今のところ史実では、こうなんだよ」(新しい発見があると歴史は変わりますので、あくまで、今のところですが・・・)という事は知っておいたほうが良いと思いますので、今回もツッコミを入れさせていただきます。
ただし、昨年の天地人では、早くも2~3回めあたりで、ツッコミ度満載でしたが、さすがに『龍馬伝』は、そこまでは・・・
・・・とは言え、やはり強調しておかねばならないのは、龍馬と弥太郎の出会い・・・
ドラマでは、幼馴染のように描かれ、先々週の第3回では、ともに江戸へ行こうとしたりしていましたが、記録として残っている龍馬と弥太郎の出会いは、後藤象二郎に見出された弥太郎が、土佐藩の商務組織・土佐商会の長崎留守居役に抜擢された(10月9日参照>>)慶応三年(1867年)の3月頃・・・弥太郎が長崎に行ってからです。
龍馬が近江屋で暗殺されるのが、同じ慶応三年の11月15日ですから(暗殺の経緯は本家HP:京阪奈ぶらり歴史散歩の【坂本龍馬・暗殺犯を推理する】へどうぞ>>別窓で開きます)、実際には、わずか8ヶ月ほどのお付き合いという事になります。
その年の5月に、正式に土佐商会の主任になった弥太郎は、あの海援隊の隊士の給料や運営費を手渡す役目だったので、そこで急激に親しくなったようです。
最初のうちは意気投合して、当時の人物論などを語りながら飲み明かし、「アイツ、いい奴なんだよなぁ~(゚ー゚)」なんて事が、弥太郎の日記にも書かれていますが、その関係も、徐々に、ギクシャクしてきます。
・・・というのも、とにかく海援隊は、次から次へと問題を起こし、弥太郎は常にその尻拭いをさせられる・・・
中でも、一番の問題は金銭面・・・そもそも、象二郎が弥太郎を大抜擢したのも、その秀才ぶりとともに、経営者としての資質を見抜いたからで、その根底には商業を以って国を発展させたいという意欲があったわけですが、その気持ちとはうらはらに、海援隊からは、度々、資金の請求が来るのです。
弥太郎としては、その度に言うがままにお金を渡していては、経営が成りたたないわけで、「もう、これ以上は・・・」と断る・・・
すると海援隊は、「天下に尽力する者に対して、金を惜しむなど、何たる事か!」と怒鳴り込む・・・
それだけではなく、他者とのモメ事も起します。
4月23日には、あのいろは丸衝突事件(11月15日参照>>)・・・この時の事故処理の交渉にあたったのも象二郎と弥太郎でした。
さらに、大変だったのは、7月6日に起こったイギリス軍艦・イカロス号事件・・・
これは、長崎の花街で、酔っ払って路上で熟睡していたイカロス号の水兵を、何者かが襲撃して殺害した事件なのですが、目撃者などの証言から海援隊隊士に疑いがかかります。
イギリス公使・パークスの訴えを聞いた長崎奉行所に、土佐藩の代表者として呼び出された弥太郎は、もちろん、「彼らの中に疑わしい者はいない」と無実を主張しますが、奉行所からは、「とりあえず、捜査するので、現在停泊中の海援隊の帆船・横笛を出航させないように」との連絡を受けます。
弥太郎は、隊士たちに説明し、横笛の所有者であった薩摩藩の了解も得て・・・と、事件解決に向けて奔走するのですが、なんと、その日の夜に、横笛は無断で出航してしまうのです。
「無実であるなら、それこそ奉行所の支持に従って、おとなしくしているべき」と思っていた弥太郎の面目まるつぶれです。
もちろん、激怒する奉行所は、早速、弥太郎を呼び出し、命令違反に対する謝罪を要求・・・しかたなく、弥太郎は奉行所に頭を下げる事になったわけですが、この話を聞いた龍馬は、奉行所との交渉を戦争に例え、「士気のない弥太郎めが!敗走しやがって・・・」とボロカスの手紙を書いています。
当然、龍馬に続いて、海援隊隊士からもに非難ゴウゴウ・・・結局、そんな弥太郎に土佐藩から召還命令が出たりなんかして・・・
・・・と、各自の心の内はともかく、これらの記録や手紙を見る限りでは、自由奔放すぎる龍馬に、律儀な弥太郎さんが振り回されっぱなし・・・てな雰囲気ですが、ドラマのキャラクターとしては、逆に弥太郎さんのほうが個性的な感じで、今のところ、龍馬に迷惑をかけっぱなしの設定となってますから、はてさて、この先どのような展開になりますやら・・・楽しみです。
ところで、もう一つ・・・
第4回の最後に登場した、黒船を見て、慌てふためく一般市民・・・これは、以前にもブログに書かせていただきましたが、それまでにも外国船は何度も来てるので、多分あんなには驚いてませんが、まぁ、それも、ドラマならアリかも知れません。
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