「春季 堺 文化財特別公開」開催中の堺へ…
昨日、5月20日~5月25日まで開催されているイベント「春季 堺 文化財特別公開」に合わせて堺の町を散策して参りました。
ご存知のように、堺は戦国時代に南蛮貿易で栄えた港町・・・貿易で巨万の富を得た商人が、その財力をフル活用して周囲三方を掘で囲んだ町は、自治権を主張する自由都市として、織田信長にも抵抗するほどの威勢を誇りました(1月9日参照>>)。
茶の湯や能、日本庭園などの伝統文化はもちろん、貿易で得た最先端の製造技術は、お馴染みの刃剣や鉄砲だけに留まらず、線香や傘や印鑑、手すき昆布や和菓子などに生かされ、日本屈指の発展を遂げます。
大坂の陣で焼け、太平洋戦争の恐怖にさらされながらも、一部残った町並みは、宣教師・スパル・ヴィエラが「東洋のベニス」と絶賛した面影をしのばせてくれます。
そんな堺の町で、2010年5月20日~25日まで開催されている「春季 堺 文化財特別公開」・・・今回のテーマは「千利休の生まれた街・堺の歴史をたどる」と称して、千利休ゆかりの場所を中心に、普段は公開されていない様々な場所や秘蔵のコレクション、さらに、伝統産業の工房やまちやなどが、広く公開されています。
★イベント公式ホームページはコチラから>>(別窓で開きます)
まずは・・・
●千利休屋敷跡
ご存知、茶の湯を芸術の域まで高めた千利休を育んだ場所・・・現在は、離宮が茶の湯に使ったと言われる「椿の井戸」が残ります。
イベント中は、向かい側の広場で、無料のお茶の接待があります。
千利休屋敷跡(椿の井戸)
●大安寺(拝観:400円)
こちらは、普段は非公開のお寺・・・本堂は、利休とも親交のあったとされる豪商で、大河ドラマ「黄金の日々」の主人公でもあった呂宋(ルソン)助左衛門の邸宅の一部とされ、重要文化財に指定されている狩野派の障壁画が見事!
↑障壁画 虹の手水鉢→ |
柱には、松永久秀がつけた刀傷も残り、美しい石庭には、明治天皇・行幸の際に虹色に輝いたという「虹の手水鉢」もあります。
大安寺・石庭と本堂
●南宗寺(拝観:400円)
つい先日ブログに登場した戦国大名・三好長慶(みよしながよし)(5月9日参照>>)が創建した南宗寺は、三好一族のお墓はもちろん、本堂前の石庭あり、仏殿には八方睨みの龍ありと、見どころ満載なのですが、なんと言っても戦国ファンにとって見逃せないのは徳川家康のお墓・・・
正史では、大坂夏の陣が終結した後、1年間ほどは生きる家康(4月17日参照>>)ですが、ここ南宗寺の伝承によれば、家康は夏の陣にて後藤又兵衛の槍に倒れて南宗寺で亡くなったとされています。
しかも、ここは、久能山・日光とともに、日本にわずか3ケ所しかなかった徳川家公式の東照宮があった場所・・・現在は、東照宮はなく東照宮跡となっていますが、お墓の横にはあの山岡鉄舟が、徳川慶喜の意向汲んで刻んだとされる「家康墓諾(家康の墓である事を認める)」の文字が書かれた石も存在するという興味津々なところなのです(くわしくは【堺・南宗寺の無銘の塔~徳川家康のお墓説】のページで>>)。
ここ南宗寺での特別公開は、利休好みの茶室・実相庵・・・普段は外観しか見られないお茶室の内部を見学できます。
徳川家康の墓(右の四角い石に『家康墓諾』の文字が…)
●妙國寺(拝観:400円)
今回の私は、残念ながら公開終了の16時に間に合わず、中に入れませんでしたが・・・利休と深く交流した風流を解する武将・三好義賢(みよしよしかた)が創建した妙國寺には、利休が愛した手水鉢や、信長が安土へ移植したところ、毎夜「堺へ帰りたい」と泣いたと言われるいわくつきの大蘇鉄(そてつ)があります。
今回の特別公開では、利休作・空蝉茶杓が公開されています。
・‥…━━━☆
以上の寺院や史跡以外にも、江戸期の町割りを今に残す七道駅(南海本戦)近くの旧市街地では・・・
- 内田家住宅(旧商家)
- 堺鉄砲館(鉄砲展示館)
- 鳳翔館(休憩処)
- 水野鍛錬所(刃物工房)
- 藤井刃物製作所(研ぎ実演)
- 薫香堂(線香工房)
- ろおじ(ギャラリー&茶店)
- 七まちびいどろ(とんぼ玉工房)
など、八軒の町屋が公開されています。
薫香堂 |
水野鍛錬所 の工房 |
この中で、私は、薫香堂で香りを楽しみ、鳳翔館で無料のお茶と芋羊羹をいただき、水野鍛錬所に至っては工房を見せていただいた興奮のあまり、出かける前には考えてもいなかった「包丁購入」という離れ業(ケチなので普段は土産を買わない)までやってしまいました。
とにかく、今年、満を持して、町を挙げての観光立国に乗り出した堺・・・この土日に訪れて見られてはどうでしょうか?
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コメント
こんにちわ~、茶々様。
良いなぁ、良いなぁ(○゚ε゚○)
事件・史実を思いながら史跡を探索(散策)するのって最高ですよね!
羨ましい限りです。
投稿: DAI | 2010年5月21日 (金) 16時44分
茶々様
京都、大阪と観光するところが多く、うらやましいです。
長期休暇が取れれば、自分も史跡めぐりの旅がしたいです。
投稿: いんちき | 2010年5月21日 (金) 18時00分
DAIさん、こんばんは~
>事件・史実を思いながら史跡を探索(散策)するのって最高ですよね!
歴史好きにはたまりませんね~
DAIさんも、日本に帰って来られた際には、是非とも!!!
投稿: 茶々 | 2010年5月21日 (金) 23時54分
いんちきさん、こんばんは~
確かに、今住んでいる所は、史跡めぐりに便利な場所だと思います。
永住の地ではないので、いつまで今の場所にいるかわかりませんが、その間は思う存分楽しませていただこうと思っています。
いんちきさんも、機会がありましたら、関西の旅へ
投稿: 茶々 | 2010年5月21日 (金) 23時59分
茶々さんこんばんわ~
本文からズレた質問ですが…
白虎隊の事を知りたいのですが、どの記事を検索して読めば宜しいでしょうか?
日記とは全く関係のない質問でスミマセン(>_<)
投稿: みか | 2010年5月22日 (土) 02時32分
みかさん、こんばんは~
白虎隊の自刃が8月23日なので、左サイドバーの「カレンダー式索引」の「8月」か、「年表式索引」の「幕末・維新の年表」でお願いします。
めんどうでしたら、右サイドバーの検索ボックスに「白虎隊」と打ち込んで検索してみて下さい。
全文検索なので、内容に関係なく、「白虎隊」という言葉が登場する全部が引っかかりますが・・・(゚ー゚;
投稿: 茶々 | 2010年5月22日 (土) 03時46分