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2010年5月 3日 (月)

姉と嫁のおかげで大出世?ホタル大名・京極高次

 

慶長十四年(1609年)5月3日、若狭小浜藩・初代藩主の京極高次が47歳でこの世を去りました。

・・・・・・・・・・

近江源氏・佐々木氏の流れを汲む京極氏は、鎌倉時代の昔より近江(滋賀県)周辺の守護を務める名門でしたが(8月7日参照>>)京極高次(きょうごくたかつぐ)が生まれた頃には、地元の小国人・浅井氏のその支配権を奪われ、完全におちぶれた名門と化していました(3月9日参照>>)

しかし、天正元年(1573年)8月にその浅井氏が織田信長によって滅ぼされると(8月27日参照>>)、高次は京極家の旧臣たちを集めて信長の傘下となります。

ところが、その十年後の天正十年(1582年)に信長が本能寺の変(6月2日参照>>)で倒れた時には、明智光秀に味方し、信長配下である羽柴(豊臣)秀吉長浜城を攻略にかかります。

Kyoug0kutakatugu600a しかし、ご存知のように光秀は、山崎の合戦に敗戦して命を落とし(6月13日参照>>)、あっという間に高次=ピ~ンチ!

やむなく、織田家重臣の柴田勝家のもとに身を寄せますが、今度は、その勝家が秀吉との賎ヶ岳(しずがたけ)の合戦に敗戦して自刃に追い込まれ(4月23日参照>>)またもやピ~ンチ!

しかたなく、今度は、姉(もしくは妹)龍子(竜子・たつこ・妹とも)の嫁ぎ先である若狭(福井県南西部)武田元明のところへ・・・

しかし、その元明も秀吉に殺され(10月22日参照>>)、今度こそ絶体絶命のピ~ンチ!

ところがどっこい、この姉・龍子という人が絶世の美女・・・高貴な血筋の美人大好きの秀吉がそのままにしておくはずがなく、即・側室として迎え入れたため、高次の命が救われたどころか、2年後には、近江の地で2500石の領地を与えられる事に・・・。

さらに天正十五年(1587年)には、信長の妹であるお市の方の娘=つまり、あの浅井三姉妹の次女・お初と結婚・・・高次の母は、浅井長政の姉なので、二人は従兄妹同士の夫婦という事になります。

ここでガンバる妻・お初・・・秀吉の側室となっていた姉・茶々(淀殿)にはたらきかけ、夫の出世のためにまっしぐら・・・おかげで文禄四年(1595年)には、高次は近江大津城主・6万石への大出世なうえ、従三位・参議にも叙任され、かつての京極氏の栄光を取り戻しました。

まぁ、これには、名門好きの秀吉の、「京極氏を取り込んでおきたい」という意向もからんでいるんでしょうけど・・・

ところが、その秀吉が亡くなると、今度は、あの徳川家康が高次に接近・・・大津城の修復費用という名目で白銀30枚を贈呈して、来るべき合戦のおりには味方につけようとします。

しかし、いざ、関ヶ原の合戦が間近になると、あの石田三成からも西軍への参加要請が・・・

大津城の守りに自信がない高次は、合戦直前当時、遠くにいた家康より、近くにいた三成を選択し、西軍配下として関ヶ原に参戦するため、一旦、城をあとにします。

・・・が、途中で、はたと路線変更・・・いきなり大津城へと戻って、今度は東軍の一員として籠城作戦に出ます(9月3日参照>>)

西軍としては、この裏切り行為に対して、当然、攻撃をしかけますが(9月7日参照>>)、ここで、この大津城を攻めた毛利元康(毛利輝元の叔父)立花宗茂(むねしげ)の足止めに成功・・・

彼らを、本番の関ヶ原に参戦できないようにした功績により、戦後は、若狭小浜8万5000石が与えられ、翌年には9万2000石に加増・・・

まぁ、今度は、今度で、妻・お初さんの妹=お江さんが、家康の息子・徳川秀忠の奥さんとなってますから、またもや、お初のはたらきかけがあった可能性大ですが・・・

それには、高次が頼りない・・・というよりは、いくら落ちぶれたとは言え、もともと名門のお坊ちゃん育ちだった彼には、あまり出世欲という物がなかったようで・・・

しかし、逆に奥さんのお初には、織田&浅井の戦国DNAが流れているうえ、淀殿&お江に挟まれた中で、「姉妹に負けたくない!」という気持ちが強かったなんて事も言われていますね。

とにもかくにも、秀吉の寵愛を受けた姉・龍子、姉妹にはたらきかけて京極家を支えた妻・お初のおかげで出世でしたという事で、当時から女たちの尻の下で光る「ホタル大名」なんて噂された高次さん・・・

個人的な印象ですが、高次さんって、そんなかげ口にも、「べつに言いたいヤツには言わしとけば~」と、のほほんとかまえているような性格の持ち主だったような気がしてなりません。
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家康・江戸開幕への時代」カテゴリの記事

コメント

夫人のスタンスを考えると、本音では中立でありたかったでしょうね。京極高次は「さえない亭主」と言うより綱渡り人生ですね。その初さんが大阪の陣の時には停戦の交渉をしていますから、ここでしくじったら京極家がつぶれますね。
関が原の時に最後に東軍に加勢すると決めたのは、他にも理由があるのでは?
来年は水川あさみさんの夫役ですが、誰でしょうね?

投稿: えびすこ | 2010年5月 3日 (月) 09時01分

えびすこさん、こんばんは~

個人的には水川あさみさんは、イメージぴったりですね~。
ナイスなキャスティングで楽しみです。

投稿: 茶々 | 2010年5月 3日 (月) 18時43分

こんばんは。
戦乱の世で生き抜く才能や運があった人だと思います。まわりの女性が強運かも。
井上靖の「淀どのの日記」の最後の方に、
「三姉妹のだれが1番幸せだったか、本人に聞いてみないとわからない。」というような
文章があります。

投稿: やぶひび | 2010年5月 3日 (月) 22時48分

やぶひびさん、こんばんは~

そうですね~
誰が一番幸せだったのか???
やっぱ、本人に聞いてみない限りはわかりませんね~

投稿: 茶々 | 2010年5月 4日 (火) 01時34分

私は江 姫たちの戦国を「戦国版若草物語」と言う感じで見ております。( ^ω^ )折りしも「本能寺」が放送される2月6日は、愛知県では全国的に注目される日なので、ジャストタイミングで話題性がありますね。
この10年ほどの大河ドラマは主人公などの重要人物の男性は、「強い人」(ただし、「体力がある」と言う意味ではない)と言う感じであまり描かれませんね。
斉藤君ふんする京極高次はいかに?
向井君ふんする徳川秀忠はいかに?

投稿: えびすこ | 2011年2月 1日 (火) 08時36分

えびすこさん、こんにちは~

なんだか、今年は、女性が強い大河になりそうですね。
(まぁ、題名通りですが…)

投稿: 茶々 | 2011年2月 1日 (火) 16時40分

>女性が強い(存在感を出す)大河に
そこが最近10年ほどの傾向ですね。
21世紀の主演になった4人の女優を見ても存在感があります。全員個性派なので。今年は題名が「姫たちの~」だから、よりクローズアップされます。
京極高次の姉の龍子が一時期、三姉妹のキーパーソンになりますね。明後日は「京極姉弟」が成田山に来ます。
もちろん主演の上野さんも。

投稿: えびすこ | 2011年2月 1日 (火) 17時41分

いままでの女性主人公は聡明とか気丈とかそういう類型でありましたけど、上野樹里はのだめを踏まえて、たぶん「天然」というこれまでなかった路線を狙ってるのではないでしょうかね。

投稿: 黒駒 | 2011年2月 2日 (水) 03時35分

えびすこさん、こんにちは~

大阪の成田山は「朝ドラ」の人たちでしょうか?
近くだけど、節分に行ったことがありませんΣ(;・∀・)

投稿: 茶々 | 2011年2月 2日 (水) 15時37分

黒駒さん、こんにちは~

やはり、最後まで「のだめキャラ」が抜けない感じがしないでもありませんねぇ~

樹里ちゃんの演技力でスパッと断ち切ってほしい~

投稿: 茶々 | 2011年2月 2日 (水) 15時39分

江と佐治一成の婚姻は信長生前から決まっていた説を聞いた事があるので、初ー高次もその線なのかもと思ってみたり。
佐治に関しては婚約しただけで嫁いでない説もあります。大河のおかげで浅井三姉妹の研究が注目されるのは嬉しいですね。

投稿: | 2011年2月 3日 (木) 14時53分

>大河のおかげで…

そうですね、
ブームになれば、それだけ発見が相次ぐので、今年は期待したいですね。

投稿: 茶々 | 2011年2月 3日 (木) 15時27分

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