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2010年11月15日 (月)

何かオカシイ…龍馬伝・第46回「土佐の大勝負」

 

慶応三年(1867年)11月15日は、坂本龍馬さんの暗殺された日ですね。

また、
明治三十九年(1906年)11月15日は、その妻のお龍こと楢崎龍(ならさきりょう)さんのご命日・・・

そのへんの事に関しては、以前に書かせていただいてる
●2006年11月15日:龍馬暗殺はいつから謎に?>>
●2008年11月15日:龍馬暗殺~紀州藩黒幕説>>
●2008年11月16日:龍馬亡き後の海援隊>>
●2008年12月7日:龍馬暗殺の報復~天満屋事件>>
●2009年11月15日:龍馬の妻・お龍さんについて>>
そして、本家ホームページの
坂本龍馬・暗殺犯を推理する>>
などなど、見ていただくとありがたいのですが・・・

本日は、昨日の大河ドラマ「龍馬伝」についてチョコッと・・・(NHKのホームページはリンク禁止ですので、あらすじはご自身でお探しくださいませm(_ _)m)

実は、先週か先々週くらいから非常に気になっている事が・・・もちろん、ドラマなのですから、世の中の流れを造ったのが龍馬一人であっても、薩長同盟の手柄を独り占めしても、もはや構わないのです。

ただ、気になるのは、ここんトコずっと大政奉還と武力倒幕がセットになってる感じ・・・。

あまりに気になるので、、あちこちの「龍馬伝」の感想など書かれているブログにお邪魔したりもしたんですが、この事について書いておられる方がいないので、ひょっとしたら私の勘違いかも・・・と不安なんですが、(勘違いしていると思われたら、スルーしておいてください(^-^;

ちょくちょくブログにも書いてますが、大政奉還とは武力倒幕を避けるための手段です。

このままでは、薩長は武力で以って幕府を倒そうとする・・・ドラマでも言ってたように、そうなれば、日本の国土は戦場と化すでしょう。

長州はこの前の四境戦争(第2次長州征伐)(7月27日参照>>)で、幕府を追い返すほどの戦力を持ってますし、そこに最新鋭の武器を持った薩摩が加わったのですから、かなりの強さですが、幕府だって、その長州征伐の敗北を受けて、フランスの援助による軍の強化を図ってるし、このまま戦えば、両者に多くの犠牲が出る事は間違いありません。

だから大政奉還です。

幕府が政権を朝廷に返還したなら、薩長は戦う理由がなくなるわけですから・・・

・・・で、その大政奉還のセットになってるのが、龍馬が考えたとされる船中八策をもとにした『新政府綱領(こうりょう)八策』に書かれた新体制です(6月22日参照>>)

憲法を制定して議会政治を行い、
陸軍&海軍を強化して、
外国との不平等な条約を改正した金銀の交換レートを変更
などなど・・・

そして幕府の思惑は、
どうせ、政権を朝廷に返しても、今の公家たちだけでは、まともな政治を行う事は不可能(現に、この時点でも外国との交渉権は幕府が握ってました)なのだから、天皇の下で運営される議会を仕切る役どころとなって生き残る・・・という物です。

もちろん、この生き残り作戦には、朝廷も気づいてますが、この時点で朝廷の中心にいた人たちは、「それで良い」と思っていた容認派の人たち(幕府も生き残れますが、公家も生き残れますので…)・・・あの八月十八日の政変(8月18日参照>>)で、京都を追われた三条実美(さねとみ)も、まだ追われたままだったはずですし・・・。

だからこそ、何が何でも幕府を倒したい岩倉具視(ともみ)らが、「倒幕の密勅(みっちょく)なる物を、無理やりにでも出す必要があったんですから・・・(10月13日参照>>)

さらに、12月9日の王政復古の大号令で、新体制に幕府を参加させない事を宣言・・・(12月9日参照>>)

そこまでしても、まだ、12月末日の段階での徳川慶喜(よしのぶ)は、朝廷相手に新体制での議会最高責任者になれる手筈を整えていたのですよ・・・つまり、ここでも、まだ、戦争を回避して、徳川が生き残れるチャンスがあった事になります。

私としては、完全に「武力倒幕=戦争」が決定するのは翌・慶応四年(1868年)1月1日の幕府の『討薩の表』による薩長への宣戦布告だと思っています(12月25日参照>>)

なのに、昨日の「龍馬伝」では、殿様=山内容堂に「大政奉還の建白書を書いてくれ」と頼む龍馬に・・・
容堂:「武士も大名ものうなってしもうたら世の中に何が残る。
    何が残るがじゃ!」

龍馬:「日本人です。
    異国と堂々と渡り合う日本人が残るがです。」

容堂:「武士の世を終わらせるかえ。」
・・・と、もう幕府がなくなるのが当然のような話っぷり・・・
(たしかに、「幕府」という名前ではなくなるかも知れませんが…)

しかも、龍馬が手配した大量の武器が土佐に届いたくだりでは、
「この武器は薩長に向けて使うのか、幕府に向けて使うのか?」
と聞く仲間に
「幕府ぜよ」
と高らかに宣言!

確かに、龍馬だって、そこまで平和主義者ではありませんから、武器を手配した事も事実だろうし、それは幕府に向けて使うためだった事もあるでしょう。

ただし、それはあくまで、大政奉還の建白書が握り潰された時の事だったはず・・・「大政奉還がなされないのであれば武力倒幕しかない」という物だったはずです。

・・・でないと、武力倒幕を推していた中岡慎太郎との大ゲンカもない事になります。

龍馬の暗殺は、武力行使を推す中岡と、大政奉還による戦争回避を主張する龍馬の口論の末の同志討ち・・・なんて事を考える人もいるのですから・・・

もちろん、薩摩が黒幕と考える人の中にも、武力倒幕派の薩摩にとって、戦争を回避しようとする龍馬が邪魔だったという理由を挙げられる方もいます。

実際には、戦争回避一辺倒ではなく、武力倒幕も考えてはいた龍馬だったでしょうが、とにかく、ドラマの龍馬は、完全に倒幕ムード一色!!!

思うに、龍馬が亡くなってからの、王政復古の大号令やら鳥羽伏見の戦いやら幕府崩壊やらがあっての維新・・・となると、「龍馬が維新を成した感が薄い」とドラマスタッフさんはお考えなのかも知れません。

なので、すでに龍馬が生きていた時から、倒幕から維新の一本道ができていた事に・・・という事なのかなぁ???

なんせ、ドラマですから、維新のすべてを龍馬がやった事にしちゃうのもアリかも知れませんが・・・本当に、それで良いのかなぁ???

それだったら、いっその事、龍馬が慶応三年(1867年)11月15日に暗殺されてない事にして、まだまだ活躍するってな事にしてしまうのと変わらない気がしないでもない・・・

ドラマ内でしきりに言われてるのように、大政奉還をしても幕府がなくなるのなら、大政奉還する意味がない事になるのでは?
そこを変えちゃっていいの?と複雑な思いです。

見ていた方は、どう感じられたんでしょう???
 .

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コメント

最終回で龍馬と慎太郎は間違いなく殺害されるようですが、大政奉還が失敗した時は武力行使を考えていたとすれば、手回しのいい事になりますね。すると薩長の方が武闘派?
慶応年間で見ても「篤姫」に比べると、話の展開がわかりにくいです。「外野」の人が主要人物だと、「我も我も」と言う感じになるのでしょうかね?

NHK大河ドラマのHPにはリンクできないんですか?知りませんでした。
命日の今日にちなみ、TBSでは「坂本龍馬殺人事件」を放送します。ジャストタイミングな便乗番組です。

投稿: えびすこ | 2010年11月15日 (月) 08時44分

茶々さん、おはようございます。
6月頃から大河ドラマを見なくなったので、よくわかりませんが、茶々さんの書いてある内容が今まで言われているものだと思います。最近の大河ドラマは史実と違いますね。

投稿: いんちき | 2010年11月15日 (月) 08時52分

いつも楽しみに拝見しています。

さて私も最近のドラマ龍馬伝で疑問に思うことが一つあります。

龍馬の最後の里帰りの時に、後藤象二郎が土佐にいたか?
後藤は龍馬が里帰りしている頃は京にいて、いろいろな工作を重ねていた時期ではないか?

そう思うのですが、如何でしょうか?

投稿: J | 2010年11月15日 (月) 09時06分

えびすこさん、こんばんは~

6月22日の「船中八策のページ」にも書かせていただきましたが、龍馬は「大政奉還を聞き入れてもらえなかった時には…」てな事を、象二郎への手紙に残していますので、失敗した時には武力行使というのはあったと思います。

しかし、あくまで「慶喜が大政奉還を拒んだら…」の話しだと思っています。

NHKへのリンクは、大河ドラマだけではなく、HPすべてがリンク禁止だったはすです。
「ヒストリア」とかもダメだと思いますよ。

投稿: 茶々 | 2010年11月15日 (月) 17時22分

いんちきさん、こんばんは~

ドラマなので、史実と違うのは致し方ないですけど、あそこを変えていまうと、ドラマ内の話しのつじつまも合わなくなって来るような気がします。

なんで、わざわざ、なくなるのがわかっていて大政奉還するのか?
ドラマでは、単に、龍馬の涙に容堂が屈しただけのゴネ得みたいになってしまってます。

投稿: 茶々 | 2010年11月15日 (月) 17時31分

Jさん、こんばんは~

正しい日づけまではわからないのですが、容堂さんに「大政奉還の建白書を…」と願い出て説得するのは象二郎だったはず(ドラマのように龍馬が説得した記録はありません)なので、その時は、土佐にいたでしょうね。

龍馬が土佐に戻るのは9月29日なので、その頃に、容堂からのOKが出ていて、すでに建白書提出の準備に取り掛かっていたのなら、象二郎は忙しかったでしょうね。

実際には、龍馬ではなく、象二郎が奔走したはずですので…

投稿: 茶々 | 2010年11月15日 (月) 17時40分

龍馬伝を面白く見ています。ドラマですから、史実と違っても一向に構わないとおもっています。また、史実なるものを個人では知りがたいので、何が事実なのかはわかりかねます。
ただし、今、ドラマで描かれている龍馬たちのような高い志を持った日本人がどれほど存在するか、非常に興味があります。

投稿: ミスターますりん | 2010年11月15日 (月) 20時26分

ミスターますりんさん、こんばんは~

私も、このブログ内で、タイムマシンで直接見て来ない限り事実はわからないというような事を口グセのように言っていますし、ドラマには創作があって当然だと思っているのですが、今回は、ドラマの中でつじつまが合わないのではないか?と少々気になってます。

幕府を存続させるために大政奉還するはずなのに、それを願い出てる本人も、説得されている殿さまも、「幕府が崩壊する」と言っている事がなんだかオカシイな?という事です。

志は、現在の政治家さんとは比較できないほど高いと思います。
特に外交の手腕は、今の政治家さんにも、ぜひとも見習っていただきたいと…

投稿: 茶々 | 2010年11月15日 (月) 22時25分

いつも楽しく拝見しております。

前々回ぐらいの『龍馬伝』で、武器を集めるという龍馬の方針に岩崎弥太郎や海援隊の面々が、「平和的に幕府を倒す(なくす)のでは」という疑問に、龍馬が「大政奉還を受け入れさせる背景として武力が必要」とか言ってたように思います。つまり、武力倒幕ではなく、交渉の裏付けとして幕府に向ける銃が必要という論理らしいです。

投稿: D | 2010年11月16日 (火) 06時51分

あと2回になりましたね。最終回のあとで総評を書こうと思います。最終回が近づくにつれて「龍馬暗殺まであと~ヶ月」と言うのですが、大河ドラマで主人公の死まで残りどれくらい、と言うのはあまりないですね。

最近思うんですが、今人気の韓国大河ドラマ(「チャングムの誓い」や「朱蒙」など)でも、架空の登場人物や史実と違う場面が出るんでしょうか?日本人ではわからなくとも向こうの人が見ると、「ここは史実と違う」とわかる場面があるんでしょうかね?韓国大河ドラマの方が古い時代を扱うので、多少はあるんでしょうね。日本の大河ドラマの方が創作の部分が多いのかな?

投稿: えびすこ | 2010年11月16日 (火) 08時48分

Dさん、お早うございます

なぜか、コメントの日づけが今日(16日)になっていたので、これまでお返事を保留しておりました…遅くなって申し訳ありません。

>龍馬が「大政奉還を受け入れさせる背景として武力が必要」とか言ってたように…

そう言えば、そんなシーンがありましたね。

容堂公には泣き落としで、将軍には脅しで…様々な手腕を駆使して、大政奉還を受け入れさせようって事なのかも知れませんが、それなら「これが幕府の生き残れる道です」と言ったほうが説得力があるような…ないような

理解力のない私には、よくわかりませんo(;△;)o

投稿: 茶々 | 2010年11月16日 (火) 09時05分

えびすこさん、お早うございます。

さっき、NHKの「龍馬伝」のサイトで予告編を見たら、来週は、慶喜の側近の永井さんに、「徳川家を存続させるためにはこれしかないので、大政奉還を受け入れるように」と龍馬が説得に行くようです。

今回の「武士の世を終わらせる」という話との違いっぷりにちょっとびっくりしましたが、「幕府はなくなるけど徳川家は残る」という、おそらく、この時点では、誰も予想できないであろう結果を龍馬は知っていたという設定なのかも知れません。

「龍馬伝」の龍馬はほんとにスゴイ人物です。

投稿: 茶々 | 2010年11月16日 (火) 09時19分

えーと、私は竜馬伝を見ていないので恐縮ですが、
「大政奉還をすると幕府が崩壊する」で合っていると思います。正しくは、「幕府が消滅する」だと思いますが。
確か「幕府」とは、元々前線司令部と臨時政府を足したようなものを意味すると記憶しています。GHQが近いかな?
大政奉還の目的も、幕府存続と言うより公武合体と内乱回避にあると私は解釈しているのですが、どうでしょうか。

お話を聞いてると、『竜馬伝』もツッコミどころ満載のせいで、見ている方達のほうが混乱されているように思います。
ドラマなのだから創作があっても良いとおっしゃる方も多いようですが、皆さんのお話から私が受けた印象は、創作というより「日本史苦手な人が作ってるんじゃネ?」と言ったほうが近いようです。
...中岡も登場しない予定だったし。

閑話休題
>えびすこ様
大長吟(宮廷女官チャングムの誓い)は、確か「宮廷に女医がいる」位の記録しかないと聞きました。
本当なら、ほぼ創作ですね。
朱蒙も神話を元にした歴史“ファンタジー”ドラマなのだそうで、似たようなものかと。

投稿: ことかね | 2010年11月16日 (火) 18時25分

ことかねさん、こんばんは~

確かに、「当時の幕府」と「綱領八策で定義された新政府」とは別物なので幕府が崩壊…いや消滅という表現は正しいかも知れませんね。

ただ…大政奉還というのは、徳川慶喜を議会の最高責任者にして、大名による議会を開きという、形は違えど多少なりとも存続するための手段だったような気がするのですが、本文にも書かせていただいたように、ドラマ内では、「(大政奉還すると)幕府が完全消滅して、異国と堂々と渡り合う日本人(たぶん四民平等という意味か、あるいは日清日露あたりの事だと…)が残る」と、あたかも明治維新後を見て来たかのような言い回しに、ちょっとだけ違和感を感じた次第です。

まぁ、えびすこさんのお返事にも書かせていただきました通り、来週は、また、違った言い回しになるみたいですが…

おっしゃる通り、「歴史好きなら、ソコは変えちゃぁイカンだろ?」って感じの創作をされるので、ついついツッコミたくなります。

投稿: 茶々 | 2010年11月17日 (水) 01時37分

「大政奉還」と聞くと二条城大広間に諸大名を集めて、徳川慶喜がそれを宣言する場面の絵が有名ですね。トリビアを1つ。あの絵は昭和初期に描かれた物で、その絵を書いた人と徳川慶喜の孫に当る人が、記念撮影している写真があります。

>ことかねさん。
「幕府」は元々は「陣中」と同じ意味ですね。現代風に言うと工事現場のテントかプレパブ小屋です。そうなると現場監督が「将軍」となります。

投稿: えびすこ | 2010年11月17日 (水) 11時34分

えびすこさん、こんにちは~

教科書にも出てくるあの絵ですね…
大政奉還と言えば、あの絵しか見た事ないです。

投稿: 茶々 | 2010年11月17日 (水) 12時00分

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