昭和最大のミステリー・三億円事件
昭和四十三年(1968年)12月10日、日本信託銀行国分寺支店の現金輸送車が、白バイ警官を装った犯人に止められ、輸送中だった東京芝浦電気府中工場の従業員のボーナス約3億円を奪われた事件・・・いわゆる三億円事件が発生しました。
・・・・・・・・・
これを歴史なのか?否か?と自分自身に問いつつ((w´ω`w))
昭和四十三年(1968年)12月10日、その日は、待ちに待ったボーナス日。
おりからのどしゃぶりの雨の中、東京芝浦電気の府中工場で働く従業員たちに支給されるボーナス=2億9430万7500円を乗せた日本信託銀行の現金輸送車が、目的の工場へと向かっておりました。
やがて午前9時半頃、車が府中刑務所の裏に差し掛かったところで、白バイに乗った一人の警官に停止を求められます。
運転席の窓をコンコンと叩く警官・・・それに応えて窓を開ける運転手。
「日本信託銀行の車ですよね?
今、この車のシートの下にダイナマイトが仕掛けられたという情報が警察に入ったので、念のために調べさせてもらえませんか?」
実は、その4日前に支店長宅に爆破予告の脅迫状が送りつけられるという出来事があり、車に乗っていた運転手を含む4人は、「まさか!」と思いながらも、急いで車を降ります。
警官は車の周囲を点検するように見回しながら、やがて車の下に潜り込むと、そこから立ち上る白い煙・・・
「あったゾ!ダイナマイトだ!逃げろ!」
そばで様子を見ていた4人は、慌てて車から遠ざかります。
すると警官は、サッと運転席に乗り込み、車を安全な場所へ移動させるかのように運転して、雨の中へと消えていきました。
この間、わずか2分・・・
「なんて、勇敢な警察官なんだ!」
と、しばらくは感動すら覚えていた4人でしたが・・・
シーンと静まりかえり、雨の音だけが響く周囲
「んんん???」
もはや煙が出るくらい切羽詰まった状態のはずだったのに、待てど暮らせど、爆発音なんて聞こえやしない。
しかも、車が立ち去った道路には、白い煙もまばらになった発煙筒がポツン・・・
ふと、横に放置された白バイに目をやると、本来、警察が使用するはずのHONDA製ではなく、YAMAHA製のバイクを白バイに似せた物・・・
4人は、やっとここで「おかしい」という事に気付いて、慌てて支店に連絡を入れたのです。
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(このイラストは位置関係をわかりやすくするために趣味の範囲で製作した物で、必ずしも正確さを保証する物ではありません)
・・・で、この事件、
被害総額3億円と言いますが、銀行は保険に入っており、奪われた金額は保証されたので、工場の従業員には通常通りボーナスは支給され、それを支払った保険会社も、海外にある別の保険会社に入っていましたし、そもそも保険会社は、何かあった時に支払うのが仕事なわけで、契約上発生した金額を、事件の被害とは言えないわけで・・・
この事件は「三億円強奪事件」とも呼ばれますが、経過を見た限りでは、殴ったり蹴ったり、脅したりして強奪したわけではなく、どちらかと言えば、だまし取った=詐欺???
って事で、この事件は、3億円という前代未聞の金額を奪われておきながら、実際に被害を被った人が一人もいないという前代未聞の事件となったわけです。
ここまでは・・・
そうです。
事件で直接の被害を被った人はいませんでしたが、実はこの後、被害者と呼べる人たちが生まれてしまうのです。
そもそもは、最初に犯人が乗ってきたバイクをはじめ、途中で乗り捨てられた現金輸送車も、犯人が自分で用意して乗り換えたとおぼしき別の車も見つかり、その遺留遺品の多さ、目撃証言の多さに、ちまたの噂では「捕まるのも時間の問題」なんて事も囁かれもしましたが、これが意外にも難攻するのです。
それに、あの有名なモンタージュ写真です。
事件の11日後に発表されたモンタージュ写真は、本来なら、目・鼻・口など、それぞれ別の写真を組み合わせて合成する物ですが、この三億円事件に関しては、目撃者が「こんな感じだったかも」と言っただけの別の人の写真をそのまま使用・・・しかも、すでに、その人は事件の1年半も前に事故で亡くなっている人物だったのです。
しかし、「これが犯人だ」として発表された以上、多くの人が、これを犯人の顔として認識してしまう事となるわけで、よけいに惑わされてしまう結果となってしまったわけです。
こうして、進まぬ捜査と紛らわしい情報により、犯人ではないかとの疑いをかけられた人たちがいたのです。
不良グループの一人として日頃から警察に目をつけられていた少年・・・
その少年の友人で、出所が不明の大金を持っていた少年・・・
さらに、高い運転技術と地の利を持っていたために疑われた青年・・・
他にも、その事で人生を狂わされてしまった人が、たくさんおられた事でしょう。
もちろん、被害者は警察にもおられます。
進展しない捜査状況による心労で、2名の警察官が過労死したとの事・・・
昭和六十三年(1988年)12月10日、すべての時効が成立し、日本犯罪史に残る未解決事件となった三億円事件・・・
あまりにもあざやかで、暴力的な部分がなく、対岸の火事的な立場からは、不謹慎ながら、痛快にも思える事件ですが、そこには、人知れず苦悩を味わった間接的な被害者がいる事を忘れてはなりませんね。
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コメント
当時は漫画「サザエさん」のネタにもなりましたね。選挙演説会で「3億円事件の犯人はどんな人物だと思いますか?」と候補者に聞く聴衆。イカリングで「300000000」の数字を作るなど。
何年か前に犯人は「男装した女」と言う発想で映画化されましたね。この映画の犯人役が宮崎あおいさん。当時、「男装した女」と言う可能性はゼロだったのでしょうか?もしも犯人が女なら逮捕されないわけです。
「第2次3億円事件」とでも言うべき事件が、1986年11月25日にもありました。翌年に外国人の男が逮捕されました。
最近は明治以降の記事が多いですね。新発見が多いです。
投稿: えびすこ | 2010年12月10日 (金) 08時46分
時効を過ぎるとTVもあまり報道しなくなるんで、
12月10日が3億円事件の発生日と言うのを忘れている人が多いでしょうね。
当然、
私も忘れていましたがw
>しかも、すでに、その人は事件の1年半も前に事故で亡くなっている人物だったのです。
これは知りませんでした。
こんなことでは捕まる者も捕まらないだろうと思いますね。
投稿: onelife | 2010年12月10日 (金) 17時04分
こんにちわ、茶々様。
この事件、以前 北野 武さんが主演したドラマである容疑者が浮かび上がり、警察官が容疑者の自宅を訪れたところ、容疑者が青酸カリをのみ自殺・・・。
よって『逮捕できず』というオチでした。
これを真実と思い込み生きてきた私・・・。
アホでした┐(´д`)┌ヤレヤレ
投稿: DAI | 2010年12月10日 (金) 17時52分
えびすこさん、こんばんは~
サザエさんで扱ったり、おフザケ的な商品が出たりするのは、やはり、深刻な被害を被った人がいなかったからでしょうね。
事件が迷宮入りになるにつれ、本文にも書かせていただいたような間接的な被害者が出て、そういうパロディ的な扱いもなくなったように思います。
投稿: 茶々 | 2010年12月10日 (金) 18時03分
onelifeさん、こんにちは~
そうですね。
時効が来てからは、ほとんど報道されなくなりましたね。
あのモンタージュ写真は、「むしろ捜査を惑わす」として1974年に正式に破棄されたそうです。
投稿: 茶々 | 2010年12月10日 (金) 18時06分
DAIさん、こんにちは~
時効になってからは、「自分が犯人」と名乗る人が、何人かいたようですが、警察は、今も公開していない情報をいつくか持っているそうで…
誰も、その事を答えられないので、今のところ、名乗り出た人は全員偽者という事だそうですよ。
投稿: 茶々 | 2010年12月10日 (金) 18時10分
昭和64年までは完全に歴史です(と思います)また、アンケートされても面白いかも知れませんね。個人的には、外交文書で公開されるようになれば歴史、いや20世紀の2000年(10年前)までは堂々とした現代史でいいと思います。勝手に権力側が都合のいい様に歴史を私物化するのはダンダン出来にくくなる時代が少しでも早く来ることを望みます。
②大津に往ってきましたよ。目的が、地元のバレーボールチームの応援ですから、殆ど観光は出来ませんでしたが・・朝には1時間以上琵琶湖畔を歩きました。紫式部が父と福井の旅に出た処や明智光秀の弟の縁の地。そして『急がば回れ』の瀬田の唐橋等。比叡山の焼き討ちで壊され坂本城等の石垣に使われたお地蔵様を集めて祭ってある処もありました。
③今度は京の紅葉と共に比叡山日吉神社、石山寺、義仲寺なども観光したいなと思いました。
来年は、お江のふるさとで福井、滋賀、伊勢等はブームかな!
投稿: syunchan | 2010年12月13日 (月) 21時41分
syunchanさん、こんばんは~
昨年、安土城や彦根城など、湖東にある城を巡って来ましたが、長浜城こそ「天地人」推しでしたが、すでに「浅井三姉妹」という「ゆるキャラ」も誕生していて、町はずいぶん盛り上がってました。
来年はスゴイでしょうね。
投稿: 茶々 | 2010年12月13日 (月) 23時56分