1月15日は小正月…お粥を食べて、男も女も「嫁叩き」
そもそもは平安時代の宮中・・・
この1月15日にはお粥を食する習慣がありました。
『延喜式』には、米・粟(あわ)・黍(きび)・小豆・胡麻・稗(ひえ)・葟(ものごめ)の7種の穀類を煮て食べた事が書かれています。
しかし、この日の行事は、これで終わりません。
あの『枕草子』には・・・
「十五日 節供まゐりすゑ 粥の木ひきかくして
家の御達女房(ごたちにょうぼう)などのうかがふを
うたれじと用意して
常に後を心づかひしたけるけしきもいとをかししに
いかにしたるにかあらん
うちあてたるはいみじう興ありて
うち笑ひたるはいとはえばえし」
とあります。
つまり、お粥を食べた後・・・
そのお粥を煮た燃えさしや、お粥をかきまぜた棒などを手に手に持って、若い女の子や若い男の子の尻を叩いて追っかけまわした・・・と。
「いとをかし」「いとはえばえし」
なのですから、その顔つきは皆笑顔で、まさに狂喜乱舞といった感じで宮中を走り回りながらの一大イベント・・・
実は、こうして尻を叩くと男の子が生まれるという言い伝えがあり、この日ばかりは無礼講で、身分の上下に関係なく大騒ぎしたのだとか・・・
このイベントは、やがて室町時代頃になると、少し簡素化され、宮中だけでなく、武士や庶民の間にも行われるようになります。
お粥は小豆の1種類・・・つまり小豆粥(あずきがゆ)となり、疫病を祓う祝いの行事となっていくのです。
庶民の間では14日に、歳越(としこし)と称して丸いお餅を杖にはさんで、家々の門を叩いて廻った後、そのお餅を翌日の小豆粥に入れて食べたり・・・と、いわゆる小正月、あるいは、関東では烏追いと呼ばれる行事になっていきます。
もちろん、あの狂喜乱舞の尻叩きも健在・・・
新婚さんの家では「嫁叩き」と称して、例のお粥の棒で、新しくやってきたお嫁さんの尻を叩くのです。
嫁イジメじゃありませんよ・・・上記の通りの、元気な男の子が誕生するおまじないです。
以前、やはり14日と15日に行われるとんど焼き(左義長)のお話を書かせていただきましたが(2008年1月14日参照>>)、そのページでも、とんど焼きがお正月にやってくる年神様のお見送りであるとともに、子孫繁栄を願う道祖神のお祭りであると書かせていただきました。
とんど焼きと小豆粥と嫁叩き・・・単に、同じ日に行われるだけではなく、やはり、何かのつながりのある行事なのでしょう。
この「嫁叩き」は、とんど焼き同様、近代まで全国的に行われていたメジャーな行事で、ひょっとしたら、地方によっては、今も行われているところがあるかも知れませんね。
ちなみに、このお嫁さんを叩く棒・・・
いわいそ 祝い棒
ほいたけ棒 ほたたき棒 ぼんでこ
卯杖 卯槌 粥杖
はらめっそ はらめん棒 こはらめ
御用棒 大の子 大の金剛 大の鉾
嫁祝い棒 よんどり棒・・・などなど、
地方によって様々ではありますが、ちゃんと名前があるそうです。
「粥杖」はそのまんまの名称ですね。
まぁ、「こはらめ」も、まんまですが・・・
ほんでもって、叩いた後は、子づくり・・・
「君・・・痛かったかい?」
「ううん、ちっとも…」(*゚ー゚*)ウフッ
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コメント
「枕草子」で女房たちが逃げまわるという話ですね。 「どんと」や「婿投げ」が行われる所もあります。
投稿: やぶひび | 2011年1月15日 (土) 19時21分
今夜は小豆粥でした。正月からの飲めや歌えや的な食生活(実際はおせちメニューって粗食だけど)に一服入れるのに七草がゆって実に体に良いけど、正月気分がすっかり抜ける今日改めておかゆを食すのも体にいいような気がします。以前母が「年末年始猛烈に働いた女たちを休ませるため」って言ってたような記憶が・・・楽ですもんね。おかゆって。
投稿: Hiromin | 2011年1月15日 (土) 22時36分
やぶひびさん、こんがんは~
>「婿投げ」
雪の上に投げられてはるのを、テレビで見た事あります。
イイ風習ですよね~
投稿: 茶々 | 2011年1月16日 (日) 01時48分
Hirominさん、こんばんは~
おせちもそうですよね。
日もちするように濃いめの味付けにして、3が日は嫁も楽できるように…って、
でも、この小豆粥でいよいよお正月も完全に終わっちゃう気がして、ちょっと寂しいですね。
投稿: 茶々 | 2011年1月16日 (日) 01時54分