江~姫たちの戦国~第1回「湖国の姫」でちと残念
いよいよ始まりましたね。
NHK大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」
第1回は「湖国の姫」と題して、織田信長の妹・お市の方が、浅井長政のもとに嫁ぐところから、浅井三姉妹が誕生した後、信長に攻められた父・長政が亡くなるまでの数年間を一気に・・・という感じでした。
(くわしくは【織田信長の年表】で>>)
その大河人気にあやかって、このブログにもたくさんの方に来ていただいてうれしい限りですが、1番HITしたのが、2011年の大河が「江~」に決まった時に、その期待を込めて書かせていただいた2年も前のページ(2009年6月19日【「江~姫たちの戦国~」への期待】を見る>>)で、感想を期待しておいでくださった方を落胆させてしまったのではないか?と、本日、書かせていただく事にします。
そもそもは、未だ主人公が活躍できない誕生前と幼少の頃という事で、まるで歴史番組の再現ドラマのようなたたみかけるようなスピード展開も、それはそれで、息をもつかせぬ感じで良かったのではないでしょうか…
ただ、長政を演じていた時任さんが、けっこうナイスだったので、1回で死んでしまうのは、ちと残念かな?
あと…寺田農さんや中山仁さんもアッ言う間に亡くなってしまいました。
ところで、金ヶ崎の退き口での有名なエピソード=袋の小豆の一件(4月27日参照>>)が、やはり登場していましたが、これまでとは違った演出になっていましたね。
越前(福井県)の朝倉を攻める兄・信長に、北近江(滋賀県北部)の浅井が同盟を裏切った事を知らせる・・・「このままだと挟み撃ちに遭いますよ」という事を、小豆を入れた袋の両端を縛って、「袋の鼠」ならぬ「袋の小豆」として、お市が陣中見舞いに送るって話ですが、ドラマでは、そのアイデアが女中の提案でお市がそれを拒否する・・・
つまり、結局は、陣中見舞いが送られなかった話になっていましたが、以前のページにも書かせていただいた通り、この話自体が創作色の強い物なので、なかった事になろうが、女中のアイデアになろうが構わないわけで、
おそらくは、「お兄ちゃん大好き!」の萌え萌えキャラだったお市の心が、夫・長政のほうへ移った=ブラコンからの脱却を強調するためのエピソードとして盛り込まれたのでしょう。
合戦のさ中に赤ちゃんの泣き声が聞こえる秀吉の耳の良さ、比叡山焼き討ち(9月12日参照>>)をイヤイヤ感丸出しでやってる光秀など・・・今後の展開の複線のために、ちょっとオーバーな部分も見えましたが、そんな表現はドラマなら当たり前・・・
ともあれ、一昨年の「天地人」と違って、ある程度の合戦シーンも入り、いつもより長い事を感じさせないおもしろさもあって、「また来週も見たい」と思わせる楽しい第1回だった事は確かです。
・・・と言いながらも、一つだけ気になる事が・・・
一応、このブログも自称「歴史ブログ」なわけで、「ドラマでは、あぁだったけど、実際はどんな感じ?」と思って、見に来られている方もおられるやも知れませんので、チョイとだけ・・・
それは、浅井三姉妹の兄・万福丸の完全無視!
おそらくは、この万福丸を側室の子供というていで無視されたのかも知れませんが、実際にはお市の方の息子だったという説もあります。
事実、この時、お市の方は、さんざん信長に万福丸の命乞いをしてましたし、それを無視してわずか10歳の幼子を処刑した事は、戦国の世のならいとは言え、お市の方の心を深く傷つけたなんて話もありますから、できれば無視してほしくはなかったですが・・・やはり、今年も都合の悪い人物はいなかった事にされるのか心配です(天地人の上杉憲政を思い出した)。
・・・で、万福丸がお市の産んだ子供であるのか?ないのか?・・・実は、これ、長政とお市の結婚の時期がはっきりしないので、今も謎とされている事ですが、ドラマでは、二人の結婚が、長女・茶々が生まれる前年(永禄十一年・1568年)の説をとっていたので、そうなると、それ以前に生まれている万福丸は、側室の子という事になるので、完全無視となったのでしょうが・・・
しかし、ワタクシ個人的には、もっと以前に結婚していた説のほうが有力だと考えています。
・・・というのは、浅井家は、もともと六角氏と同盟を結んでいて、その頃の長政は、その名も、六角義賢(よしかた・承禎)の一字をもらったとおぼしき賢政(かたまさ)と名乗っていて、永禄二年(1559年)には、その重臣の娘と結婚もしています。
しかし、その結婚は、わずか4カ月で離婚となり、翌年にはその六角氏と野良田(滋賀県彦根市)で戦って勝利(8月18日参照>>)、これが長政の初陣とされています・・・つまり、ここで六角氏から離れる決意をしていたという事ですね。
しかも、さらに翌年=永禄四年(1561年)には、その堅政の名を捨て、長政に改名しています・・・これは、おそらく信長の「長」の一字をもらったと思われますよね。
もちろん、その翌年も、さらに翌年も、長政はどんどん六角氏の領地に進攻していますから、もし、お市の方の結婚が、通説で言われている通りの織田と浅井の同盟の証なのだとすれば、少なくとも、このあたりで結婚していないと、戦国の政略結婚として成り立たないのでは?と思うのです。
・・・となると、茶々より6歳年上の万福丸も、お市の方の産んだ子供である可能性も出てくるわけですし、もし、側室の子だったとしても、ご存じのように、この時代は、側室の産んだ子も正室の子と変わりなく育てられます(今のところ後継ぎですし)から、生まれた時から我が子としてともにいたのなら、それなりに情は移りますし、妹たちとの関わりもあったかも知れません。
まぁ、ゴールデンのドラマとしては、子供の処刑に目を覆いたくなる気持ちもわからないではないのですが、ちょっと残念な気もしました。
PS:ひょっとして、万福丸が別の場所にいたという設定で来週は出て来るかも知れませんので、あくまで現段階の感想という事で…
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コメント
(o^-^o)9日の「ごうせん」見ました!
衣装の豪華さ、テレビの画の明るさ、人物の個性、戦いの場面のスケールなどいきなり盛りだくさんでしたね。オープニングCGの鮮やかな所もいいですね。なかなか良かったです。今後が楽しみです。(*^-^)第2回から森3兄弟が出ます。
あと鈴木保奈美さんが11年のブランクを感じさせない演技でしたね。w(゚o゚)w(誉)
途中の芦田愛菜ちゃんの演技にはホロッときました(ノ_-。)
第1回は73分でしたが、夢中で見たためか時が早く過ぎた印象です。
関東で21・7%でした。
万福丸の件は誰かの口か回想で出るでしょう。
投稿: えびすこ | 2011年1月11日 (火) 17時29分
福田千鶴さんの「江の生涯」は読んで、三姉妹周辺でもいろいろ新説があるのを知りました。
大河は史実との相違や美化が批判されがちですが、個人的な印象ではそれほどひどい史実無視はめったに無いけれど、とはいえ最近の学説動向を積極的に取り入れることもあまりしない、保守的であるなぁという印象はあります。
側室・・というか正妻以外の出子を正妻の子として扱うことは実は江が将軍御台所になった草創期大奥でもあったのではないかというのが福田さんの新説展開なのですが、個人的にはこのあたりに身分・格式が基本の近世社会の確立ではないかと思いますね。
考えてもみれば去年の大河では、そういう頑然たる身分制度が社会の隅々にまで行き渡っていた近世社会の解体を描き、今年は確立過程の歴史であるのだなぁと思います。
ただ、そういう小難しいことは一般のドラマ視聴者にとって限りなくどうでもいいですし、それよりは坂本龍馬に憧れたとか、明治陸軍の戦いぶりを誇りに思ったとか、天璋院篤姫の気丈な生き方に感動したとか、虚飾かもしれないけど現代人に元気を与えるような歴史のほうが、大事なんじゃないかなぁというのが最近の考えです。
江も史実に忠実であるかよりも、現代人にとって有益な人物像を出せてるかどうかで判断したいすね。
投稿: 黒駒 | 2011年1月11日 (火) 20時04分
こんにちは。ドラマといえ、子供の処刑は、語りだけになるのかな。
サスペンスドラマも、刺殺少ないようです。通り魔事件の余波でしょうか。
投稿: やぶひび | 2011年1月11日 (火) 20時23分
やぶひびさん、こんばんは~
そうですね~
来週が「父の仇」という題名だったので、信長と父の戦いぶりなどを知る時に、同時に兄の事も知るのかもしれません。
語りだけでもあると良いと思います。
投稿: 茶々 | 2011年1月11日 (火) 21時09分
黒駒さん、こんばんは~
私も、ドラマはドラマなので史実である必要はないと思っています。
その史実も、現在有力となっている事が、本当に有力がどうかもわかりませんからね。
見ていて楽しいドラマを期待しています。
投稿: 茶々 | 2011年1月11日 (火) 21時12分
えびすこさん、こんばんは~
そうそう、
書き忘れてましたが、芦田愛菜ちゃんの演技はスゴかったですね~
志田未来ちゃんが出て来た時もスゴかったですが、さらに年齢が小さいですから、ホント、将来が楽しみです。
投稿: 茶々 | 2011年1月11日 (火) 21時15分
茶々さん、明けましておめでとうございます。
「江」の初見はいかがでしたか?
私も母共々、大河は視聴しているのですが、自分の専門分野だけに知ったかぶっらないで、母が疑問に思った事だけを分かり易く説明していく-といった感じに徹しています(笑)
今回の個人的な注目は江の2番目の旦那、小吉秀勝とその娘、完子です。小吉秀勝は兄の秀次の陰に隠れ、あまり脚光を浴びませんでしたので、多少なりとも描いて欲しいところ…また、完子は「葵・徳川三代」においてやっと初登場した程度なので、期待感は大きいですね!
そうそう!芦田愛菜ちゃん、「トイレの神様」での演技も良かったので、注目してましたが、すっごく、印象残りましたネ!!
ps.こちらが書いた記事を2件ほどTBさせて下さいm(_ _)m
投稿: 御堂 | 2011年1月11日 (火) 23時58分
御堂さん、
あけましておめでとうございます
ウチもそんな感じですね~
家族は誰一人として歴史好きではないので、普段はほとんど歴史の話をしませんが、大河ドラマで不思議に思った事はチョイチョイ聞かれます。
今回は、光秀の年齢でしたね(笑)
信長の家臣という事で、勝手に年下だと思い込んでいたようで、市村さんと豊川さんの年齢差に違和感があったみたいです。
確かに13歳は離れ過ぎのような気がしないでもないですが、光秀の出生自体が謎なので…
それにしても芦田愛菜ちゃんがいてくれて、ドラマが盛り上がりましたね。
投稿: 茶々 | 2011年1月12日 (水) 01時48分
(*^-^)コメントが殺到していますね。
御堂さんご指摘の豊臣秀勝と完子は、ガイドブックに名前があるので出ると思います。私が気になるのは秀忠の庶子の長丸の方です。母親の名前が今日わからない(腰元らしいです)ので、番組内での存在がどうなるかな?
おととしの加藤清史郎君のように、芦田愛菜ちゃんは誰かの役でまた出る(小さい時の千姫かも?)のかも。
あと番組のHPもなかなか楽しいです。(o^-^o)
ところで現時点(1月11日)で歌舞伎役者の出演がまだ決まってないのをご存知ですか?もしも、今年の「江 姫たちの戦国」で歌舞伎役者が登場しないとなると、NHK大河ドラマ史上初めてかも?まだ後半分の登場人物がいるので、「起用なし」は確定ではないです。
投稿: えびすこ | 2011年1月12日 (水) 08時59分
えびすこさん、こんにちは~
後半部分に登場するかもしれませんね。
今のところ、歌舞伎役者さんは、代役・穴埋めに忙しいのかも知れません。
投稿: 茶々 | 2011年1月12日 (水) 14時52分
あれだけの豪華キャストに期待したけどやっぱり「平成の人たちが戦国時代にタイムスリップした」という感じがしちゃって、戦国時代の空気は伝わってきませんでした。NHKは今度の大河は恋愛ドラマとして描く、と言ってたけどそれにしても「薄いな~」という感想でした。でも、篤姫も後半良かったし一応期待したいです・・・
投稿: Hiromin | 2011年1月15日 (土) 22時42分
Hirominさん、こんばんは~
「恋愛ドラマとして描く」ってプロデューサーさんがおっしゃってましたね。
個人的には男気のあるドラマが好きですが、おっしゃるように篤姫がおもしろかったので、やっぱり期待しちゃいます。
投稿: 茶々 | 2011年1月16日 (日) 02時00分
「ごうせん」は滑り出しは織田信長を中心、春以降は豊臣秀吉を中心、年央以降は徳川家康を中心とした展開でしょう。今年のこの3人はなかなか特徴・個性があっていいですね。いい意味合いでニヒルな信長に、ユーモラスな秀吉に、貫禄十分の家康。向井君や斉藤君の登場はGW後かな?
思うに私は「脱天地人」方針かなと考えます。屋外での場面は今後も多く出る予定です。
あと今年はBGMが音量は小さめで、ゆったりした曲調だと思います。これは昨年の反省かな?年配者にも配慮した演出ですね。隣に住む知り合いのおばあさんも見ています。
以前、記事で出ていた大河ドラマと株価の法則で、昨年は「大河ドラマの年間平均視聴率が前年比で下がり、日経平均株価も12月末時点では前年末比で(わずかに)下げた」となりました。今年は両方とも上がるといいですね。
投稿: えびすこ | 2011年1月18日 (火) 10時56分
えびすこさん、こんにちは~
江はなかなかの滑り出しのようですね。
ここ何年かの大河で、色々な反省点があったのでようね。
視聴者が期待しているぶん、スタッフさんも大変です。
投稿: 茶々 | 2011年1月18日 (火) 18時11分
始めまして。TV-Rockerと申します。
実は、昨年からちょくちょくお邪魔させてもらっていまして、記事の参考にさせていただいていました。
「四境戦争」の詳しい内容など、ほかのブログや書籍でもなかなかないような細かい内容まで載せてくださっているので、非常に参考になります。
今回、勝手ながらリンクさせて頂きました。
今後もよろしくお願いします!
投稿: TV-Rocker | 2011年1月18日 (火) 18時26分
TV-Rockerさん、はじめまして
こちらこそ、よろしくお願いしますo(_ _)o
投稿: 茶々 | 2011年1月19日 (水) 01時28分
今週の某週刊誌で「上野樹里扮する江がのだめみたいに見える」と言う記事がありますが、江さんが今はまだ子供なので、はしゃいでも不思議ではないです。記事を書いた人は大河ドラマでの江さんが、「現在10歳」であると知っているのかいないのか、知っているとしたら視聴者にはわかりきっている事です。この後、江さんが30歳を過ぎて何人も子供を持っても、「あの調子」が続くとはあまり思わないんです。
最近10年間では戦国作品が、内容や演出などで「議論の的」に特になりますね。幕末作品ではあまりないです。「出来事」以外の点に関して、「許容範囲内」の事まで週刊誌ネタ(「週刊朝日」での天地人の記事)になる事もありました。
逆手に取るとそれだけ注目されていると言う事でしょうね。
投稿: えびすこ | 2011年2月18日 (金) 11時39分
えびすこさん、こんにちは~
いくら若手の演技派でも、そういくつも幼さを表現できるキャラを演じ分けれるわけではありませんからね~。
「のだめ」になっちゃうのは仕方ないです。
ここのところの大河は、何やら新しい物に挑戦しているかのようですが、良い方向へと脱皮できる事を期待します。
投稿: 茶々 | 2011年2月18日 (金) 12時56分