「花見自粛」ムードにひとこと言わせて!
今日のお話は、すでに何度か書かせていただいているので、いつも、このブログを見ていただいている方々には重複する内容で恐縮なのですが、今の時期に言いたい事なので、書かせていただく事にしました。
それは、今、一部の方々の間で出ている「花見自粛」の話です。
もちろん、空気を読まないバカ騒ぎはいけませんし、電力不足で計画停電が実施されている中での、やたら大規模なライトアップによる夜桜も考えたほうが良いかも知れません。
しかし、そうではない・・・
日本人が古来から行っていた、本当の花見・・・
それは、現在のようなバカ騒ぎではなく、
最悪の日に、明日への生きる力を得るための行事だった・・・
その事を、是非とも「花見自粛」とおっしゃる方々に知っておいていただきたいのです。
(こんな場末のブログで言っても、拡散はできないでしょうが…(゚ー゚;)
そもそも万葉の昔・・・
旧暦の3月3日か、もしくはその翌日が「花見にでかける日」とされていたのです。
それは、その3月3日が“シガノ悪日”という「何をやっても悪い日=厄日」とされていたからなのですが・・・
記録として残るのは、花が歌に詠まれるようになる万葉の頃ですが、おそらくは、もっと昔の時代から、そのような習慣があったのではないでしょうか?
(万葉の頃の花見は「梅」だったと言われていますが…)
・・・というのも、別ルートで伝わったとおぼしき東北地方にも“シガヨウカ”と呼ばれる最悪の日があって、そこでは4月8日がその日とされ、やはり同じように、この日に花見を行っていたとされているのです。
では、なぜ、最悪の日に花見をするのか?
それが、「タマフリ=魂振り」という儀式です。
これは読んで字のごとく、その場に神を呼び込んで場を清め、自らの魂を奮い立たせる儀式の事で、 わかりやすい所では、神社はもちろん、建築物などの地鎮祭や、その他もろもろの場所で、神主さんが、紙を切ったような折ったようなビラビラが先っぽについた棒のような御幣(ごへい)という道具を左右に振り、お祓いをしますよね。
あれが、「タマフリ」です。
もちろん、あれは、神官となった人が行う正式なタマフリですが、他にも、色々なタマフリがあります。
何も道具を持たない庶民が、衣の袖を振ってタマフリを行い、命がけで旅をする人に「この先、神様のご加護があるように」と祈った儀式が、別れる時に手を振るという行為であったであろう事も、以前のページに書かせていただきました(内容かぶってますが1月31日参照>>)。
タマフリの基本は、空気を震わせて波長を起こす事で、神を呼び、場を清め、魂を奮い立たせるワケですから・・・
そう、神社で拍手を打ったり、鈴を鳴らしたりというのもタマフリなのです。
音が、空間を伝わる波長である事は、近代になってからわかった事だと思うのですが、不思議な事に神代の昔から、日本では音を鳴らすタマフリが行われていたのです。
そして、21世紀の現代に生きる皆さまなら、もう一つ、空間を伝わる波長がある事をご存知ですよね?
そう、光=色です。
目にも鮮やかな真っ盛りの花を・・・
燃えるような青葉を・・・
その目で見る事によって、樹木からその生命力を分けてもらう・・・、
元気な色の波長を浴びて、自らの魂を奮い立たせる力を得る・・・
これが「見るタマフリ」です。
確かに、より元気で美しい花の周りに人が集まり、
そこに会話が生まれ、男女の出会いがあり、
やがては、花の下でお酒を酌み交わすようになって、江戸時代の頃には、現在のようなお花見のスタイルになるわけですが、
本来の花見というものは、決してバカ騒ぎする事ではありません。
それは、辛く悲しい最悪の日に、神様に降臨してもらい、その場を清めるとともに、自らの魂を奮い立たせ、明日を生きるための気力・活力を得る儀式なのです。
もちろん、未曽有の大災害に見舞われた今、被害に遭われた方々の気持ちを思う事も、喪に服して自粛する事も大切な事です。
しかし、「花見自粛」とおっしゃる方々・・・どうか、この本来の花見の意味を考えたうえで、そのご判断を下してください。
「それでも自粛したほうが良い」というのであれば、それは、それぞれお考えによるものですから、外野が口を挟む事ではありませんが・・・
一度、原点に立ち返ってみてはどうでしょう。
バカ騒ぎではない、本当の花見は、古代より、日本人が脈々と受け継いできた、明日への希望と活力を得るための神聖なもの・・・
もしかしたら、今こそ、大和魂を奮い立たせる時なのではないでしょうか?
京都府・八幡 背割堤の桜
場所は本家HPの「歴史散歩・石清水八幡宮」でどうぞ>>(別窓で開きます)
.
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 新年のごあいさつ~茶々の年賀状2022(2022.01.01)
- 新年のごあいさつ~茶々の年賀状(2021.01.01)
- 恵方巻の風習と節分お化けの記憶(2020.02.03)
- 新年のごあいさつ…そして今年は「麒麟がくる」(2020.01.01)
- リニューアル後のココログが変です!(2019.03.22)
コメント
江戸時代の幕政改革でも、倹約令のような緊縮財政と文化振興を繰り返していますね。要するに倹約令が景気を冷え込ませてしまうことにだんだん気づいてきて、むしろ祭りや文化のような「賑わい」を奨励したほうが経済効果もあると、江戸後期になるほど振興されていくような気がしてます。
私は「自粛」できるうちはまだ余裕があるほうだ、と思っているのですよね。被災者のことを思って楽しみは自粛しようと考えるのが従来の震災でしたが、今回は産業の底辺である電力を挫いてしまい、停電や交通機関の乱れで楽しみもままならない、となってきています。
花見くらい、できるうちにやっておいたほうがいいのではないだろうかな、と思うのですが。
投稿: 黒駒 | 2011年4月 4日 (月) 11時44分
黒駒さん、こんにちは~
そうですね。
江戸時代の倹約令は、ことごとく失敗しています。
享保の改革なんて、全国的な人口の減少まで引き起こしてますからね。
投稿: 茶々 | 2011年4月 4日 (月) 15時22分
花見といえば、秀吉の「醍醐の花見」を思い出します。
花見自粛でも規模小さくして桜まつりをやっている所もあります。家族で桜を愛でるくらいならいいと思います。上野動物園も桜が咲いています。ブロ友さんは万博記念公園に行くと思います。
投稿: やぶひび | 2011年4月 4日 (月) 20時14分
関東では満開は今週末のようです。
実は「関東の桜の満開日とプロ野球の開幕日がほぼ同時」なのではないかと、この10年くらいで感じています。意外にも?このジンクスが世間に浸透していないんですよ。
今年は開幕日が順延しましたが、3月上旬の時点でも寒かったので、開花自体も遅れております。
では就寝いたします。
投稿: えびすこ | 2011年4月 4日 (月) 23時26分
やぶひびさん、こんばんは~
醍醐の花見は豪快ですね~
なんさ、花見をするために桜を植えちゃうんですから…
醍醐寺の再建も含めて、まさに天下人のなせるワザですね。
投稿: 茶々 | 2011年4月 5日 (火) 00時59分
えびすこさん、こんばんは~
今夜は近畿地方にも、霜がおりるらしいです。
もう、4月なのに…
なかなか春らしくなしませんね。
投稿: 茶々 | 2011年4月 5日 (火) 01時01分
相変わらず情報に流され、戸惑う人々が多いようです(当然自分も含めて)。ものの始まり、行いの所以を知ることで、自分の今いる位置を確認できるかもしれませんね。数年間このブログを楽しませていただきましたが、一番「ドキリッ!!」とさせられる記事でした。(自分自身が流されている証拠かな…)いつものことですが、「感謝!!」です。
投稿: azuking | 2011年4月 5日 (火) 02時20分
azukingさん、ありがとうございます
何やら、夏の花火も自粛の方向に向いているのだとか…
一方では、被災地の酒屋さんが、「花見をやってお酒を呑んで!」という悲痛な叫びをYouTubeにupして話題になっていますね。
やはり、経済を活性化するためには、物を消費する事ですからね。
かと言って買い占めは良くない…じっくりと腰を据えて、物事に対峙しなくてはいけませんね。
投稿: 茶々 | 2011年4月 5日 (火) 14時38分
本当に批判を恐れているだけの心ない自粛ムードには参りました。
おかげでイベント系の仕事をしている我が社も、キャンセル続きで見通しがたたず休業申請中…基本給が14万しかないのに、六割支給じゃ生きていけねぇーぞ〜!
投稿: やまやま | 2011年4月 5日 (火) 15時13分
やまやまさん、こんにちは~
ホントですね~
イベント系のご職業の方々は死活問題ですね。
外食産業ですら、ぼちぼち潰れる商店が出てきていると聞きます。
不況のうえに更に…ですから、大変です。
投稿: 茶々 | 2011年4月 5日 (火) 15時33分
明日の歴史秘話ヒストリアは「桜特集」です。
大阪と言えば「造幣局の桜」はいま何分でしょうか?
ところで、「東京湾(品川区周辺)花火大会」の中止が3月の時点で決まったのですが、隅田川花火大会の開催がどうなるか気になります。三社祭が中止になったので。
投稿: えびすこ | 2011年4月 5日 (火) 22時55分
えびすこさん、こんばんは~
造幣局の桜は、遅咲きないので、いつも、4月の中旬から下旬あたりですね。
今年は、ソメイヨシノが遅いので、造幣局ももう少し遅くなるかも知れませんが…
祭りが何のために行われるのかを、政治家の方々にも考えていただきたいと思います。
夏の花火大会はともかく、神社の祭りという物は、秋の収穫祭と冬の雪祭り以外は、ほとんどが、疫病の流行や天変地異を鎮めるための物なんですがねぇ…
個人的には、焼け野原の中で祇園祭を再開した戦国の心意気のほうに共感してしまいます。
投稿: 茶々 | 2011年4月 6日 (水) 01時23分
今般の東日本大震災で、奥州は壊滅的状況です。当方も避難指示により、暫く避難所におりましたが、妻の両親の安否確認のため、ガソリンスタンド、コンビニが次々閉鎖される状況の中、決死の覚悟で避難所を出ました。結局、妻の両親も別の避難所で無事であることがわかりました。
現在は、当方は、妻と愛犬を伴い、駿河の国に身を寄せています。
妻の両親の避難所では、今日、近隣の人々が花見会を催してくれたとのことです。やはり、日本人は与えられた環境の中で、桜の花を愛でる一幅のゆとりも欲しいものです。一避難民としても、国民の皆様の、過剰な自粛という心遣いは不要だと考えます。
では、また。
投稿: 奥州・浜の浪人 | 2011年4月11日 (月) 21時12分
奥州・浜の浪人さん、こんばんは~
そうですか…
大変な思いをされましたね。
あれから1ヶ月…現地では、まだまだその爪痕が痛々しい限りですが、西日本では、いっぱい出掛けて、いっぱいお金を消費して、経済を回す事こそが復興につながるのではないか?との意見がそろそろ出てきているようです。
東北の皆さまが、一日も早く通常の生活に戻られるよう、そして、その時には、この日本が経済の発展著しい国になっているようにしておく事が、西日本の役目なのでは?とも思います。
投稿: 茶々 | 2011年4月12日 (火) 01時22分
茶々殿及び多くの方々に、この場を借りて御礼とお願いを申し上げさせて下さい。
今月の初めに、駿河の国のいくつかの商工会の方々が、「焼きそば」の道具一式を担いで、困難な道中にもかかわらず、奥州の避難所にわざわざ出掛けて行ってくれて、避難所の人々を元気づけてくれました。 感謝、感謝です。
私もなんとか、この未曾有の大災害に立ち向かう態勢を整えられてきたところです。
多くの同志も生き残っていることが確認できました。
避難所で、「大人たちが元気を無くした時は、君たちが、大人たちにパワーを与えてくれ」と焚き付けてきた小学生達も、今は元気で、避難先の地の学校に元気に通っています。
自治体も、役所機能を仮設ながら回復しつつあります。
私も、一刻も早く仲間の加勢に戻ることを考えております。
西日本の皆様には、大声で気勢を上げて頂くことが、我々の後方支援につながります。
大いにドンちゃんやって下さい。(でき得るならば、東北の酒と東北産の肴手で)
奥州の民はしぶといです。かなり早い時期に復興を果たします。
では、また。
投稿: 奥州・浜の浪人 | 2011年4月12日 (火) 22時57分
奥州・浜の浪人さん、こんばんは~
先日、大阪府&大阪市は
「関西から元気な日本をアピールし、明るく後押しをする」として、
「自粛はやめよう!」を宣言しました。
こちらから、明るく応援しますので、1日も早い復興へ邁進してください。
>奥州の民はしぶといです
勇気をいただきました!
投稿: 茶々 | 2011年4月13日 (水) 02時30分
被災地陸前高田の皆さんの花見の様子が報じられました。
http://www.youtube.com/watch?v=jw8HCmPNlV8&feature=player_embedded#at=12
これが何よりの答えではないでしょうか。
当時の都知事(=現在の都知事)の自粛要請発言がありました。
まだ昭和の頃、東京に住んでいたことがあり、桜見たさに上野に出向いた経験があります。
昼前に行ったのですが、gero吐きまくり、猛烈なアルコールを帯びた生ごみ臭、それをカラスが漁っているという空の桜と地上のギャップにそれ以降は行こうと思いませんでした。
いまがどうか知りません。
都知事発言が、時節柄一切の歌舞音曲を控えろという趣旨であれば余計なこと言うなという気がしますが、都が清掃する公的な場所を自由気ままに汚すなということの地震に便乗しての発言、つまり節操を持てという意味だったら耳を貸さざるを得ないと思います。
しかし、節操、無節操の線引きは難しいことでしょう。
「基準」というような考え方はできないでしょうが、自主判断で大いに呑むべし!ではないでしょうか(^^)
西日本の花見は大方終了だとは思いますが・・・
投稿: てる | 2011年4月17日 (日) 21時17分
てるさん、こんばんは~
そうですね。
マナーの悪さは自粛していただきたいですね。
ドンチャン騒ぎじゃない花見で、英気を養っていただきたいと思います。
投稿: 茶々 | 2011年4月18日 (月) 01時38分