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2011年6月 8日 (水)

戦国女戦士の必須アイテム「薙刀」~なぜ女性の武器?

 

昨日の鶴姫の関連で書かせていただきます。

戦国シュミレーションゲームが人気の今日この頃・・・ゲームでは勇猛な武将に交じって、ちょっぴりセクシーな衣装で登場する女戦士たちも大活躍ですね。

つい先日ご紹介させていただいた立花誾千代(ぎんちよ)(5月28日参照>>)井伊直虎(いいなおとら)(8月26日参照>>)などなど・・・鎧の意味をなしてないやん!とツッコミたくなるような露出度で登場して、場面を華やかに彩ります(目の保養(゚▽゚*))

もちろん、実際に、戦国期に活躍した女性戦士は、数多くいたわけで・・・

昨日、ご紹介した上野隆徳(たかのり)の正室=鶴姫(6月7日参照>>)
城主の留守を守った吉岡妙林尼(みょうりんに・妙麟尼)(3月8日参照>>)
若武者のごとく颯爽と現われてダンナを救う富田信高夫人(8月25日参照>>)
武田勝頼に最後まで味方した高遠城で奮戦した諏訪勝右衛門(すわかつえもん)の妻(3月2日参照>>)
城攻めの天才・秀吉にひと泡吹かせた忍城成田氏長夫人甲斐(6月16日参照>>)

実際には戦ってないけど、完全装備の姿がカッコイイ真田の嫁=小松姫(7月25日参照>>)や、あの淀殿も、大坂の陣では甲冑姿に身を包み、ヤル気満々だったとか・・・

ほかにも、まだブログに登場していなくて、これから書いていきたい女武者たちは数多くいるのですが、そんな彼女たちに共通する武器が薙刀(長刀=なぎなた)・・・

これは、戦国時代だけでなく、その後の江戸時代を通じても、奥女中がタスキをかけて鉢巻きをして薙刀を持って夜回りをする・・・なんてシーンが時代劇にもよく登場します。

そもそもは、狩猟をしていた古代の頃から長柄の武器=いわゆる(やり)は、生活に根付いていたわけですが、そんな槍の先端に反りのある刀を装着した薙刀は、殺傷能力が高い事から、南北朝以前は薙刀を重用した武将も数多くいました。

源平合戦の時代に活躍した、あの武蔵坊坊弁慶が薙刀で奮戦する姿は、なかなかカッコイイものです。

ところが、戦国時代になって、その戦い方が個人戦から集団戦に代わった事で、おおがかりで振り回しがちな薙刀は、人が密集している場所では使い難い・・・となって、足軽の登場とともに、薙刀は戦場から姿を消していくのです。

かと言って、戦場では刀が主流になる事もありませんでした。

戦国期には、その戦い方も変わると同時に、防具の仕様もどんどん進歩しました。

進歩した甲冑は、それまでよりはるかに軽量となり、かつ、防御にも優れているうえ、簡単な物なら、けっこう安価で手に入る事から、下級家臣や足軽たちも身につけるようになりますから、ちょっとやそっと刀で斬ったくらいじゃ、相手にダメージを与えられなくなります。

そこで、戦国時代の合戦の主流となったのが槍です。

これなら、鎧の隙間を狙って相手を殺傷する事も可能ですし、戦闘技術の未熟な足軽や農民兵にも、リーチが長いぶん有利となり、充分に戦えるからです。

戦国の後半には、鉄砲も登場しますが、日頃の訓練も含め、様々な条件が整わないと効力を発揮しない鉄砲よりはなんだかんだで、やっぱり槍が主流だったのです。

そんなこんなで、戦場から消えた薙刀は、女性の武器として生き残るのです。

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粟津戦線から退く巴御前

薙刀&女武者と言えば、やはり源平合戦の頃の巴御前(1月21日参照>>)が目に浮かびますが、あの勇姿そのままに、戦国女性に受け継がれていたのですね~

薙刀が女性の武器となった理由は・・・
おそらくは、彼女たちの主戦場が城であったからでしょう。

殿さま以下、男たちが合戦へと向かった場合、城を守るのは、わずかな城兵と、奥さん以下、女性たち・・・

以前、大河ドラマ関連からの政略結婚(4月22日参照>>)のところで書かせていただいたように、男尊女卑より、身分の上下のほうが優先された戦国時代では、城主のいない城内で最も上の身分となるのは、その城主の奥さま(城主が独身の場合は生母)ですから、力弱くとも、主人として城を仕切らねばなりませんし、いざ、という時には、戦わねばなりません。

なんせ、ダンナが合戦に出てるという事は戦時下なのですから、いつ何どき、城攻めを受けるかわかりませんから・・・

そこで、城で戦う女性にとって、薙刀は好都合だったのです。

なんせ、城は、野っ原の戦場と違い、集団戦にもつれ込み難いです。

また、刀先が重いので、扱いづらそうに見えますが、かえってその刀先の重さが遠心力を産む事で、グルグルとふり回すだけで、かなりの殺傷能力が出ます。

しかも、その重さのために、どうしても下に行ってしまう先っぽは、逆に、相手の足を狙う事になり、これがなかなか・・・戦場での合戦に慣れてる普通の男兵士は、上からの上半身への攻撃には敏感ですが、足はけっこう無防備なのです。

昨日の、鶴姫率いる女軍団に、しばらくの間、毛利方が翻弄されるのも、そういった、男と女の戦い方の違いがあったのですね。

戦国時代に薙刀をふるって武勇伝を残した彼女たち・・・そんな彼女たちの勇姿が語り継がれ、「薙刀を持った女性は強い!」・・・と、江戸時代には、「女性は薙刀」という観念が定まっていったものと思われます。
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コメント

そういえば「おひさま」でも、主人公が薙刀の稽古をしている場面がありました。薙刀は剣道と戦い方が違うんですね。男女の身長差も薙刀の利点かも。
今日の記事に出ている女性の誰かが、今夜の歴史秘話ヒストリアに「戦う女性」として登場するかも?宮沢りえさんも大河ドラマで、甲冑を身にまとう事があるのかな?

投稿: えびすこ | 2011年6月 8日 (水) 17時06分

いや~!!
楽しい!面白い!!
知りませんでした。武器一つ取ってみてもここまで歴史の流れがあるとは…。
剣と矛、片刃と両刃、反りの有無など以前調べましたが完全に忘れました…。(いや?調べたのかな…?覚えてまへん!!)
「妖刀村正」の話なんてのは、少しは覚えてるかも…。
また色々ご伝授お願いします。(スミマセン…リクエストばっかりで…)

投稿: azuking | 2011年6月 9日 (木) 00時09分

えびすこさん、こんばんは~

ヒストリア…先週は再放送で見なかったので、今日が「女戦士」の話だというのは見るまで気づきませんでした。

「おあん物語」>>で沢山の方の訪問をいただきました。

投稿: 茶々 | 2011年6月 9日 (木) 02時15分

azukingさん、こんばんは~

>妖刀村正

ありましたね~
すねに傷持つ徳川にはイロイロ気になる事もあっての怖い伝説なのでしょうね。

いつか書きたいと思ってます(*^m^)

投稿: 茶々 | 2011年6月 9日 (木) 02時18分

昨日見ました。(*^-^)
この記事の女性が何人か出てきました。
おあんさんも出ていましたね。

投稿: えびすこ | 2011年6月 9日 (木) 16時37分

えびすこさん、こんばんは~

今日は、「佐久間信盛」のキーワードで訪問してくださってる方が多いです。

何かあったんでしょうか???
よくわかりませんが、訪問して下さる方が増えるのはウレシイです。

投稿: 茶々 | 2011年6月 9日 (木) 19時43分

>佐久間信盛
「小牧山城跡で佐久間信盛の墨書が見つかった」と言うニュースだと思います。日本最古の物らしいです。

投稿: えびすこ | 2011年6月 9日 (木) 22時28分

えびすこさん、こんばんは~

そうなんですか~
ニュースは全然知りませんでした。

ありがとうございましたm(_ _)m

投稿: 茶々 | 2011年6月 9日 (木) 23時27分

剣道の段位を持っていますが
マジに薙刀の「脛」は防御不能です!
(;^_^A アセアセ

投稿: 桃色熊 | 2011年6月14日 (火) 11時23分

桃色熊さん、こんにちは~

やっぱり…
薙刀の「脛」はスゴイですか~

投稿: 茶々 | 2011年6月14日 (火) 12時19分

お久しぶりです。
この記事に惹かれました。

私も前から、源平時代には僧兵や雑兵がよく装備していた薙刀が、戦国期には何故女性の武器になっていったんだろうと疑問に思っていましたが、納得できました。

最近のなんだかわけのわからない露出の多い甲冑を身にまとった姫武将はアレですが、まぁ、そんなのでも実際の歴史に興味を持ってもらうきっかけになってくれればいいですね。

さすがにあの格好を史実と思うようなことはないよう願うばかりです(笑)

投稿: よっすぃー | 2011年6月20日 (月) 01時14分

よっすぃーさん、こんばんは~

>さすがにあの格好を史実と思うようなことはないよう願うばかり…

確かに…( ̄ー ̄)ニヤリ
さすがに、アレじゃ、槍で突かれまくりだという事は、すぐに想像できますもんネ

投稿: 茶々 | 2011年6月20日 (月) 01時35分

なるほど。なぜ「薙刀は女性の武器」なのか?を検索していてここに来ましたが
わかりやすい説明でした。
ありがとうございます。

投稿: 阿部 | 2018年5月 6日 (日) 11時32分

阿部さん、こんばんは~

ご訪問とコメント、ありがとうございました。

投稿: 茶々 | 2018年5月 6日 (日) 23時44分

久しぶりにコメントを書き込みます。薙刀の歴史と女性の武器となっていったプロセスはたいへん興味を持って拝聴させて頂きました。ところで薙刀の活躍と言うと、私が真っ先に思い浮かべるのは、1990年代に日本テレビ年末時代劇「白虎隊」(1986年:昭和61年)の再放送を見て初めてその存在を知った、会津戦争における会津娘子軍(あいづじょうしぐん)です。あのとき岩崎良美さんが演じた中野竹子の凛々しさと討死のシーンは今も覚えています。

投稿: アッチ君 | 2018年5月 8日 (火) 23時12分

アッチ君さん、こんばんは~

そのドラマは見ていないので、中野竹子さんの最期が、ドラマでどのように描かれていたのかは存じませんが、史実として残っている薙刀に結ばれた辞世の句のエピソードは泣けますね~

投稿: 茶々 | 2018年5月 9日 (水) 02時56分

レポート製作に使わせて頂きます。
とても助かりました、ありがとうございます。

投稿: mokara | 2021年1月24日 (日) 11時20分

mokaraさん、コメントありがとうございます。

レポート、頑張って下さいませm(_ _)m

投稿: 茶々 | 2021年1月24日 (日) 16時37分

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