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2012年2月15日 (水)

釈迦の入滅~涅槃会と涅槃図の見どころ

 

紀元前383年?の旧暦2月15日、仏教の開祖である釈迦が入滅しました。

・・・・・・・・・

今から2500年ほど前、ご存じ、仏教の開祖釈迦(しゃか)が、最後の教えを残して80歳の生涯を閉じました。

日本では、その日を旧暦の2月15日とし、釈迦の教えや徳に感謝する『涅槃会(ねはんえ)という法会が、各お寺で行われます。

旧暦の2月15日という事なので、月遅れの3月15日に、この行事を行う寺院も多いです。

涅槃とは、煩悩(ぼんのう)煩悩の数え方は除夜の鐘のページで>>)すべて取り払った悟りの境地の事を言いますが、ご存じのように、お釈迦様が亡くなる時は、その悟りの境地に達していたわけですから、この涅槃会の場合の涅槃は、「お釈迦様が亡くなった」という意味で使われます。

この日は、各寺内に、お釈迦様が亡くなった時の姿を描いた『涅槃図』を掲げて、僧が、お釈迦様の最後の説法を記したとされる『遺教経(ゆいきょうぎょう)を読み、参拝者が礼拝します。

頭を北に、西に向いて横たわるお釈迦様の姿を描いた涅槃図は、究極の悟りの世界を表していると言われ、この時のみ公開される涅槃図を拝みに、多くの善男善女が集まるのです。

日本での記録としては、天平勝宝(749年)頃から始まっていた奈良興福寺の記録が最古の物で、貞観二年(860年)には、尾張(愛知県西部)出身の僧・寿広が、舞楽などを交えて盛大に行った事から、「涅槃会と言えば興福寺」と言われるほど有名になりますが、その人気とともに、行事そのものも全国各地に広まっていったのだとか・・・

ちなみに、元祖の興福寺の涅槃会は、毎年2月15日10時から、本坊の北客殿で行われ、誰でも参拝できるうえ、甘酒の接待もしてもらえます(゚ー゚)
(興福寺への行き方は本家HP・奈良歴史散歩「東大寺・春日野めぐり」へ>>

あと、さすがに、今日の2月15日のには、間に合いませんが、冒頭に書かせていただいた通り、3月15日に行われる所もありますので、本家HPの「京阪奈・歳時記」でチェック>>

・‥…━━━☆

では、京都・東福寺の涅槃図を例に、「涅槃図の見どころ」をご紹介しましょう!
ちなみに、この東福寺の涅槃会は毎年3月14日~16日です。

Nehant1a750c (←画像はクリックすると大きくなります)

まずは上部にある
沙羅双樹(さらそうじゅ)の木
この沙羅双樹の「双樹」というのは、お釈迦様が亡くなった時に、その四方に沙羅の木が2本ずつ計8本あったという意味で、沙羅双樹という木ではないわけですが、その花が、お釈迦様が亡くなると同時に、季節外れの花を咲かせたり、すぐに散っては、その花びらでお釈迦様の遺体を覆ったと言われています。
青の点線で囲んだ部分が枯れているのに、まだ青々としている木もあります。

●お釈迦様
中央の宝台の上に、頭を北にして横たわるお釈迦様が描かれていますが、これが、「北枕」の由来とされ、右脇を下にしているのは、西方浄土に向かうという意味だとされています。

●薬袋(やくたい)
これは、お釈迦様の母・摩耶夫人(まーやぶにん)が、病気の我が子のために天から投げたとされる薬の入った袋・・・しかし、残念ながら、沙羅双樹の木に引っ掛かってお釈迦様のもとには届きません。
これは、例えお釈迦様であろうと誰であろうと、死ぬ事は免れないという事を意味していると言われます。
現在でも、薬を与える事を「投薬」と言うのは、ここから来ているそうです。

●動物
お釈迦様の周囲に描かれた弟子や、見守る人たちとともに、図の下の方には十二支をはじめとする様々な動物たちが描かれます。
これは、もちろん「動物たちも、お釈迦様の死を悲しんでいる」という意味で、人だけでなく、生きとし生ける物すべてに慈悲の心を持ったお釈迦様の徳を表しています。
ちなみに、東福寺の物は50種類以上の動物が描かれているのだとか・・・ただし、鼠がお釈迦様の使いとされている事から、猫が描かれた涅槃図は非常に少ないらしいです。

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・・・と、ご紹介しましたが、もちろん、涅槃図そのものは、それぞれのお寺によって大きさも画風も違います。

ただ、上記のようなポイントは同じですので、もし、ご覧になる機会がありましたら、参考になさってみてください。

ところで・・・
涅槃会では、正月飾りに使った鏡餅に砂糖や醤油をかけて炒ったあられが授与される事があります。

これを『花供御』または『花御供』と書いて「はなくそ」と呼ぶことから、関西では、『お釈迦さんの鼻糞』なんて言われたりしますが、「これを食べると1年間無病息災でいられる」という、ありがた~いシロモノですので、大事に食べてくださいね。

では、本日は、お釈迦様に思いを馳せながら・・・ちょっぴり静かに過ごしましょう。
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コメント

お釈迦様って、80歳で亡くなったそうですが、ちょっと信じられません。
それから、2/16は日蓮上人の誕生日ですが、お釈迦様の生まれ変わりと言うのも。

投稿: やぶびひ | 2012年2月16日 (木) 14時36分

やぶびひさん、こんにちは~

日づけがそうだと、何かの縁があると思いたくなりますね~やはり…

投稿: 茶々 | 2012年2月16日 (木) 16時16分

茶々さん
初めまして。
実は以下の様な経緯で、この3月16日に私の住む東海市から割合近い阿久比町の徳川家康の生母於大の方の遺髪を祀られたお墓のある洞雲院で、「釈迦涅槃図」を見て来ました。
それで、涅槃会や涅槃図に興味を持ち、インターネットのサイトを探し、たどり着いたのが、茶々さんのこのブログです。
良く解りました。素晴らしい力作のブログですね。
訪ねた経緯
私のホームページの「洞雲院」を見た妻の知人が、「3月16日午後洞雲院で『釈迦涅槃図』が開帳される」ことを教えてくれました。

毎年3月16日は、洞雲院の於大の方が戦国の女の哀しみが二度とおきないようにと、洞雲院で祈願されたのが始まりとされてい涅槃会に営まれる「観音懺摩法会」通称「おせんぼ」の日でした。
この日に『釈迦涅槃図』が開帳されるとのことで訪ねて見ました。
午後3時から始まる「おせんぼ」の前、午後2時に会場となる本堂「大悲殿」の内部と『釈迦涅槃図』を見せてもらって来ました。
参考
http://www.aimix-z.com/gbbs.cgi?room=white

http://www.medias.ne.jp/~siroisi/

http://whiteworld7.web.fc2.com/whitehome45_145.htm

投稿: white | 2013年3月18日 (月) 23時22分

whiteさん、こんばんは~

コメントありがとうございます

そうですか…
洞雲院も3月なのですね~

お雛様とか七夕とかお盆とか…関西より東の方は何かと1ヶ月早いので「2月にするところが多いのかな?」なんて勝手に思ってましたが、関西でも2月の所と3月のところがあるように、ソチラでもそれぞれなのですね~

投稿: 茶々 | 2013年3月19日 (火) 02時19分

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