京都・大覚寺にて「空薫」体験してきました
昨日は、チョイと、おでかけをしておりました。
以前、『香りの記念日』に、「平安時代の人たちは香にうるさかった」というお話をさせていただきましたが(10月30日参照>>)、
おそらくは、仏教伝来とともに伝わったお香・・・
なんせ、香木の原産地は東南アジアかインドかアフリカ・・・どこも熱帯に近い場所で、四季が分かれる温暖な気候の日本には、匂いの強い草木は、ほとんどありませんから、香を焚くという文化は、それまでは無かったでしょうね。
そんなお香が最初に流行したのが平安時代の初期です。
上記のページにも書きました通り、その人自身が作るオリジナルな香りは、その人のセンスの良さを判断する物で、それが上手という事は、ステータスでもありました。
あの清少納言は、『枕草子』の中で、
「よきたきものたきてひとり臥したる」
(イイ香りを焚いて、一人で寝そべる)
事を、「心ときめきするもの」と称してします。
また、紫式部の『源氏物語』では、
「そらだきもの、心にくく薫りいで
名香の香など、匂ひみちたるに
君の御追風、いと殊なれば…」
と、そこはかとない香りを漂わせている源氏の君(光源氏)を、追い風のようについて回る香りが、女性たちを魅了した様子が描かれています。
と、長い前置きになりましたが、
昨日は、京都・嵯峨野にある大覚寺にて、その源氏物語に出て来る「空薫(そらだき)」なる物を学んで参ったのであります。
もちろん、最近は「アロマ」がブームになった事もあって、「香をたく」という行為が珍しくも無いわけですが、現在のものではなく、平安時代の「練香(ねりこう)」でのやり方を体験して来たのです。
まずは、お香の原料となる香木や根茎などを粉末にして練りあわせた物を、適量を手に取って、お団子のように丸めます。
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お香の原料というのは、漢方薬として使用される物も多いので、丸めた団子状の物は、見た目も香りも、まるでラッパのマークの正露丸そのもの(もちろん口に入れてはいけませんが…)・・・
この団子状の物を練香と言い、現在の香木店では、この状態で売られていますが、平安時代は、皆がオリジナルのブレンドを楽しんで、自分自身で練りあげていたんですね。
次に、あらかじめ、香炉灰(こうろばい)という灰を入れておいた香炉を用意しておいて、そこに火をつけた香炭団(こうたんどん)という小さな炭を入れ、灰が温まるのを待ちます。
灰が温まったら、そのそばに火箸で、先ほどの練香を、そばに置くのです。
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そばに置き過ぎると、練香が熱くなり過ぎて煙が出てしまうので、適度な場所に・・・あくまで、煙を出す事無く、ゆっくりと、そこはかとなく香ってくる香りを楽しみます。
平安時代の頃は、この香炉の上に、洗濯物を干すように衣装をかぶせて、香りをしみこませていたようです。
このように、衣装や部屋全体に香りを焚きこめて楽しむ事を空薫=そらだきと言います。
香木の焚き方には、大きく分けけて、この空薫と、一定の作法のもと、香炉を顔に近づけて、香りの違いを楽しむ「聞香(もんこう)」とがあります。
いつか聞香も体験してみたいですが、今日のところは、平安貴族のお姉さま方に思いを馳せながら、いい香りを部屋に漂わせてゆっくりと・・・心ときめきする事にいたしましょう( ̄ー+ ̄)
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コメント
お香というと「匂宮」を思い浮かべます。
投稿: やぶひび | 2012年2月25日 (土) 19時43分
やぶひびさん、こんばんは~
twitterでも、「匂宮」というお話をいただきました。
やっぱ「匂宮」ですからね。
平安の男子は、香りで勝負ですね。
投稿: 茶々 | 2012年2月26日 (日) 04時08分
「鳩居堂」でお香を買う女の子が多いそうですね。消臭剤よりおしゃれです。
投稿: やぶひび | 2012年2月26日 (日) 10時04分
やぶひびさん、
確かに、消臭剤や芳香剤より、なんとなく良いです
投稿: 茶々 | 2012年2月26日 (日) 16時09分