「信長のシェフ」最終回の感想
「いざ参らん!戦国のキュイジーヌ! 」
・・・て、このクールにテレビ朝日系列で、金曜の深夜に放送されていたドラマ「信長のシェフ」が、とうとう終わりましたね~
個人の感想としては・・・
「いやぁ、オモシロかった~ヽ(´▽`)/」です。
以前、番組が始まって何回目かの頃に、歴史上に登場する、おそらく史実の本物・信長のシェフ=坪内某(つぼうちなにがし)のお話を紹介させていただいた時に、「なかなかオモシロイですよ」と、その感想をチョコッと書かせていただきましたが・・・(2月3日参照>>)
歴史好きですが、ドラマは創作物と思っている茶々としては、
もともと、平成に生きる現代のシェフが戦国時代にタイムスリップ・・・という時点で、荒唐無稽なのですから、姉川の合戦で焼肉パーティをしようが、帝の目の前で包丁を振り回そうが、調理中に上がった炎を見て将軍様が「ファイヤー!」とつぶやこうが、ぜんぜん気になりません。
むしろ、「よきにはからえ~~」と歌うようにおっしゃる帝役の森本レオさんのエエ声に、久々にウットリなんかして・・・
とは言え、そんな細かな描写にはツッコミ所が多々あるものの、意外に歴史の流れそのものを逸脱する事が無いうえに、あまり他のドラマで扱われる事の無いツウ好みの歴史人物がイイところで登場し、うまく絡んでくれたりするのが、歴史好きの私もハマってしまう、このドラマの良きところ・・・
ちなみに、私は、原作の漫画は読んでいませんので、あくまで、ドラマの話としてお聞きくださいo(_ _)oペコッ
・・・で、深夜枠でもありますので、このドラマを1度もご覧になった事が無い方のために、大まかに、最終回への流れをご紹介させていただきますと、
平成に生きる現代のシェフ=「ケン」が、戦国時代にタイムスリップして、「ケン」という自分の名前と料理の事以外の記憶を失くしまっていたところに、家族を亡くしてたった一人で生きて行くため、男のフリをしている「夏」という女性と知り合い、彼女に助けられながら、ひょんな事で知り合った木下藤吉郎(秀吉)を通じて、織田信長の料理人となる・・・
・・・で、今回の最終回の前には、途中、窮地に立たされた場面で、何度もケンを助けてくれた、心やさしき森可成(もりよしなり) を宇佐山城の戦いで失いつつも(9月20日参照>>)、勃発した石山本願寺との合戦(9月12日参照>>)を休戦に持ちこみたい信長の命を受けて、石山本願寺の料理人と料理(今回はスイーツです)対決をする事になる・・・
つまり、「お互いに条件を出し合って、料理対決で勝った方の条件を呑んで休戦する」という展開になるわけですが、この石山本願寺側の料理人というのが、ケンが平成の世で婚約をしていた女性=「瑤子(ようこ)」・・・最終回に来て、ケンはその事を思い出す・・・てな感じです。
(最終回をまだご覧になってない方にはネタバレすんませんm(_ _)mですので、ここから先は最終回を見た後に読んでください)
結局は、帝が「どっちもウマイ!甲乙つけがたい」という事で、どちらの条件も無しに休戦する事となり、結果的に、「なにがなんでも休戦したい」信長の思い通りとなって、石山本願寺の顕如(けんにょ)は不満プンプン・・・
そんな中、「日食の夜に行くと人が消える」という謎の『黄泉の祠(よみのほこら)』の存在を、明智光秀(あけちみつひで)に教えてもらったケンは「そこに行けば平成に戻れるかも…」と、夏にうながされ、瑤子と手に手を取って向うのですが、結局、瑤子に別れを告げ、この時代でカノジョとなった夏のもとに戻って来る・・・
しかし、その瑤子も、結局は平成には戻っていないもよう(←ここは謎っぽくなってます)
・・・て事で、完全に続編アリアリ丸出しの最終回だったわけですが・・・
まぁ、前回に放送した宇佐山城の戦いが元亀元年(1570年)9月、今回の石山本願寺との停戦は・・・
と、実は私・・・石山本願寺との停戦と聞いて、最初は天正三年(1575年)10月の事を考えていたんですが、そのワリには、その間にある、義昭追放となる槇島城の戦い(7月18日参照>>)も、浅井滅亡の小谷落城(8月27日参照>>)も・・・果ては、長篠・設楽ヶ原の戦い(5月21日参照>>)まで描かれていない・・・
これまでの雰囲気でみると、さすがに、こんな重要事項をすっ飛ばすはずは無いと思いますので、ひょっとしたら、今回の停戦は、武田信玄が仲介した元亀三年(1572年)7月の停戦の事???
信玄がまったく出て来てないので、勘違いしそうになってましたが、たぶんそうですね・・・
だとしたら、天正十年(1582年)6月に起こる本能寺の変(6月2日参照>>)までは、まだまだ先は長い・・・って事で、ここで終わるわきゃ無いですね。
いや、むしろ、是非とも「続編作ってください」とお願いしたい!
なんせ、今回の最終回でも、石山本願寺側の瑤子の作ったスイーツの毒味をするのが本願寺坊官(ぼうかん・世話係の僧侶)の下間頼廉(しもつまらいれん)、ケンの作ったスイーツの毒味をするのが秀吉だったのですが、
実は、この頼廉という人・・・信長亡き後に起こる織田家家臣のトップ争い=秀吉があの柴田勝家とあいまみえる賤ヶ岳の合戦(4月21日参照>>)の時に、「なんなら、この本願寺がお味方しまっせ」と、秀吉に囁く人・・・(1月19日参照>>)
ね!!
このように、歴史好きが、クスッとほくそえむような複線が、このドラマには張られているのですよ!
なのでオモシロイ!(゚▽゚*)
深夜枠にしては高視聴率だったこのドラマ・・・ネット上では、早くも続編、しかも、「ゴールデンタイムに進出」なんて噂もありますが、深夜枠の少ない予算で頑張ってはるスタッフさんの雰囲気も大好きだったので、私としては、あの「トリック」のように、堂々の深夜枠で貫いていただきたい気もしないではないです。
ただし、続編があるならば、深夜であろうとゴールデンであろうと、亡くなってしまった可成さんを演じていた宇梶さんに代わるステキな役者さんを、何らかの役でキャスティングしていただきたい・・・
もちろん、秀吉のゴリさんも、家康の竹山さんも頑張っておられましたし、ミッチーはこれまでの誰よりも信長っぽいし、顕如の市川猿之助さんに至っては、空気も引き締まる怪演でしたが、やはり、ワキを固める宇梶さんがいなくなったのが寂しいので・・・
一ファンとして、期待して待っておりますデスm(_ _)m
ちなみに、信長の生きた時代の京都周辺では、天文二十一年(1552年)12月20日の皆既日食と、天正三年(1575年)3月20日の部分日食・・・と、2回の日食があったらしいですが、果たして信長さんは見たのかな??
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コメント
茶々さま
「信長のシェフ」、続編楽しみですねぇ~(*^_^*)
>宇佐山城の戦いが元亀元年(1570年)9月、・・・
>天正十年(1582年)6月に起こる本能寺の変・・・
ってことは、この前出ていた森蘭丸は7歳くらい?
ケンに対して、えらく上から目線だな~と思いましたが、
礼儀知らずでも当たり前ですか(^_^;)
投稿: hana-mie | 2013年3月16日 (土) 23時43分
hana-mieさん、こんばんは~
そうですね。
亡くなった時18歳だったと言われてますので、7歳か8歳くらいですね。
演じてた役者さんも、若い感じでした。
投稿: 茶々 | 2013年3月17日 (日) 01時30分
茶々さん、こんにちは♪
森蘭丸さんが、7~8歳より年上に見えたのは私だけでしょうか?自分(13歳)と同じくらいだと思ってました。
関西ジャニーズJrの方みたいですね。
投稿: あかり | 2013年3月17日 (日) 12時21分
ドラマは見ていませんが、原作の漫画は読みました。干し肉を作る回もありました。いつか未来に帰るかな
投稿: やぶひび | 2013年3月17日 (日) 12時24分
あかりさん、こんにちは~
>森蘭丸さんが、7~8歳より年上に…
確かに…子役という範囲では無かったですね。
そのワリに棒読みでした(笑)
まだ、新人なのかしら?
投稿: 茶々 | 2013年3月17日 (日) 13時06分
やぶひびさん、こんにちは~
そうですね。
まだ、原作も終わっていないようなので、続編をやっても、その最終回をどう持って行くのか?難しいところがありますね。
投稿: 茶々 | 2013年3月17日 (日) 13時08分
茶々様
ありがとうございます。
1度も視聴していないのですが,何かこのドラマの概要がつかめたようで,テレビ見ていたような気分になりました。
信長VS石山本願寺ですが,この戦いは信長の最強軍団と坊さんが戦ったの…?
何で,信長はそんなに手こずったの…?
という感じがするのですが,自分で調べようと思うのですが,茶々様のブログの中に,解答らしきものがありますか…?
投稿: 鹿児島のタク | 2013年3月17日 (日) 16時58分
鹿児島のタクさん、こんにちは~
相手は坊さんと農民&一般人の他に地侍や国人(雑賀衆など)を含んでいますので、なかなかに手ごわいですよ。
加賀一向一揆は100年間も統治してましたし、むしろ、本願寺(一向一揆)に勝ったのは信長くらいで、ほとんどの他の武将(上杉謙信や朝倉氏など)は、引き分けとかで壊滅させるまでに至っていません。
もちろん武田信玄のように、はなから本願寺に味方の武将もいてましたが…(信玄の奥さんが顕如の奥さんと姉妹です)
そうですね~見ていただくとしたら…
本文にもリンクした1月19日のページ>>か、まさに最初の加賀一向一揆のページ>>か、朝倉との九頭竜川の戦い>>とか、…第一次木津川口海戦>>なんかが良いですかね~木津川口なんて、毛利輝元と村上水軍が参戦してますから…
とにかく、一向一揆の本家本元・教祖様がいるのが石山本願寺ですから、戦国時代初期の頃からの年表で探していただいて「一向一揆」とつく物は全部ソレです。
メッチャたくさんありますヨ
投稿: 茶々 | 2013年3月17日 (日) 18時07分
茶々様
ご回答,どうもありがとうございました。
丁寧に答えてくださってありがとうございます。本願寺…すごかったんですね。
投稿: 鹿児島のタク | 2013年3月18日 (月) 17時40分
鹿児島のタクさん、こんばんは~
はい!最強かも知れません。
投稿: 茶々 | 2013年3月18日 (月) 19時57分
茶々様、はじめまして。
ひそかに信長年表を拝読させて頂いおります。
信シェフの最終回の停戦の日なのですが、私はこちらで調べさ頂いて「1570年12月14日正親町天皇による合戦中止の命令が下され講和」と考えました。
その理由は降雪があったことです。確かに最終回のロケで本当に降雪があったようです。情報はこちらhttp://blogs.yahoo.co.jp/tomo526820/10575361.html#10575361
しかしスタッフブログ
http://www.tv-asahi.co.jp/reading/nobunaga/387/
でわざわざ小道具さんが雪を降らせたとあります。
それで私はケンがタイムスリップしたのは、信長が伊勢に侵攻した1568年頃から同12月14日正親町天皇による合戦中止の命令が下され講和の2年間と考えました。
最終話の日食の御前試合の夜満月でしたが、日食のときは天文学的には新月しかありえないそうで、9話予告にもちゃんと「月が半分に欠ける晩」と書かれてあっただけに信シェフのスタッフのドタバタぶりがちょっと残念な最終回でした。
投稿: 紋次郎の姉 | 2013年3月22日 (金) 15時05分
何度も申し訳ないです。出かける前にバタバタして書き込んだので誤記になってしまいました。
正しくは
「それで私はケンがタイムスリップしたのは、信長が伊勢に侵攻した1568年頃から1570年12月14日正親町天皇による合戦中止の命令が下され講和の2年間と考えました。」です。
茶々様の信長年表のここを参考にさせていただきました。有難うございました。
https://indoor-mama.cocolog-nifty.com/turedure/2008/11/post-9908.html
信シェフ公式HPの「戦国時代基礎知識」にも
http://www.tv-asahi.co.jp/nobunaga/ujimaru/0009/
「物語では正確な日付が記されていなかったけれども、おそらくケンがとどまった時代は1570年ごろ。」と書かれてありますね。
失礼しました。
投稿: 紋次郎の姉 | 2013年3月22日 (金) 17時27分
紋次郎の姉さん、こんばんは~
>1570年12月14日正親町天皇による合戦中止…
なるほど…
堅田の戦いでの停止命令ですね。
私としては、堅田の戦いは、対・浅井&朝倉&比叡山というイメージでしたので、ちょっとした盲点でした。
ただ時期的には、姉川から石山合戦の勃発の次に宇佐山城…でピッタリなので、そうかも知れません。
ドラマでは、料理対決寸前に比叡山の僧兵っぽい人たちが瑤子さんを仲間のように言ってたので、「信長包囲網」というくくりで、その代表が顕如という設定なのかも知れませんね。
投稿: 茶々 | 2013年3月22日 (金) 21時59分
茶々さま
初めまして。
森可成で検索してこちらへたどりつきました。
茶々様の博識ぶりと歴史への愛情に感動しております。
私、もともと日本史には興味ナシだったのですが、「信長のシェフ」で信長様自体にハマり、
信長小説を読んでいるところです。
安土桃山とか桶狭間とか、これまではただのコトバだったものに、暖かい血が通いだした思いです。
これからもよろしくお願いいたします。
投稿: momo | 2013年4月10日 (水) 22時12分
momoさん、こんばんは~
>これまではただのコトバだったものに、暖かい血が通いだした思いです。
ステキな表現ですね。
生き生きとした魅力的な歴史人物に、いっぱい出会ってくださいね。
また、遊びに来てください。
投稿: 茶々 | 2013年4月11日 (木) 02時33分
最終回で、日食の日にもかかわらず、夜に満月が出てたという情報がありますね~
http://tb7.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/post-0a6c.html
もうビデオ消しちゃったので確認できないけど、これ本当ならけっこうなポカですね (^^;
投稿: とぉりすがり | 2013年7月 8日 (月) 09時39分
とぉりすがりさん、こんばんは~
私も、最終回は、あのオンエアの時に1度見ただけなので、今となっては詳細な部分は記憶が曖昧なのですが、放送の1週間後にコメントしていただいた『紋次郎の姉さん』も「満月だった」とおっしゃっています(5つ上のコメントです)ので、そうだったんでしょうね。
ドラマの中では、「今は夜ですよ」とか「夜になりましたよ」とか、夜である事を強調したい場面で、いつも同じ満月の映像が使い回しされていたので、最後の夜も、つい、使っちゃったのかも知れませんね。
それか、少ない予算の深夜枠なので、夜を現す別の映像を作れなかったのかも…
投稿: 茶々 | 2013年7月 9日 (火) 00時12分